オトナの食育 

所感編 第136回(通巻188回)2022/9/10号掲載 千葉悦子(高28)

新米が豊富に出回るまでの工夫


 

 残暑が続く9月は、食欲が低下したままの場合があることでしょう。その上、早場米でないと新米にならない時期で、白米の白飯の味が今一つと感じるかもしれません。

 そういう場合は、味付け飯・炊き込みご飯等はいかがでしょう?『調理学』によると「一般的に塩分量は米の1.5%、加水量の1%炊き上がり飯の0.7%が基準」です。具体的な作り方は、バックナンバーの1「炊き込み飯の基本」や所感編108「長野県のお土産・・・きのこご飯の素」をご覧ください。日常食としての「ちらし寿司」は所感編126<「お雛様を思い起こす箸」と「ちらし寿司」>を参考に、気楽に作ってください。

 調味料を炊き水に入れると、吸水が悪くてご飯が硬くなりがちで、特に食塩分の場合は粘りが少なくなりがちなので、吸水を十分させてから加熱直前に調味料を加えてかき混ぜるのが要点です。また、古米になると粘りが減少してポソポソしがちなので、この時期、粘り気がほしい場合は、もともと粘りのある品種を選ぶか、あるいは、もち米を少し混ぜるという方法もあります。後者は、私の実母も行いましたから、昔から知られているのでしょう。

 実は、私の卒論は「米の調理に関する研究―古米の食味改善について―」で、炊き込みすし飯(酢などの調味料を、炊き水に混ぜてから炊く方法)を試しました。酢を炊き水から入れると、ご飯に粘りが出るので、古米の食感が改善されます。ただし、古米臭は消えませんが・・・

 新米が出るまでは、昨年収穫された米を古米とは言いませんし、近年はたいがい玄米を冷蔵保存するので、古米臭のようなのはほとんどしませんから、十分おいしいはずです。

 精米した後は、酸化した糠の臭いがだんだん強くなるので、もしも、頻繁に買い物ができるなら、1回に購入する米の量を減らすのがお勧めです。また、糠臭を減らすために、新米の時期より洗米回数を増やすのもアリです。

この秋は、食品の値上がりが問題で、安定した価格の米を上手に使う知恵はタイムリーかと思い、今回の話題といたしました。

        

■引用文献

 畑江敬子・香西みどり編『調理学』東京化学同人(2016

 

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