オトナの食育
所感編 第163回(通巻222回)2026/4/10号掲載 千葉悦子(高28)
CMに惑わされず、野菜・果物・いもを十分摂取しましょう
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新年度が始まりました。私は3月で定年となり、「主婦」となりました。現役の家庭科非常勤講師でした頃は、時間に追われて書けなかったことがあるので、「オトナの食育」は続けさせて頂こうと存じます。なお、少しずつでも学び続けないと、古い情報になるので、今年度は内閣府食品安全委員会のモニターになりますし、既に入っている学会や消費者団体の会員は続けます。 テレビの日中のコマーシャルは、いわゆる健康食品を扱うものがよくあり、 オトナの食育所感編 第69回(通巻103回)2014年11月号に、写真入りの具体例を載せました。この写真を講義用にプリントアウトして、教育学科の女性スタッフに「(料理をしてもらって)出されたら、食べられますか?」と伺ったところ、「食べられます!」という返答でした。 つまり、自分で料理するのは大変と思うかもしれませんが、どなたかが料理して目の前に出して下さるなら、1日に野菜350 g、いも100 g、果物200 gは食べられる量と考えます。 昨夏の猛暑やその後の水不足等で、じゃがいもや人参等は高値ですし、ホルムズ海峡を簡単には通れないことから物価高が問題になっていますが、このところ葉物は手に取りやすい価格となってきました。上手に使いましょう。 いわゆる健康食品の宣伝は、「初回限定半額!」などと言いがちですが、2回目以降は1月分5000円前後であることが散見されます。2人暮らしなら、月1万円かかることになります。仮に1袋平均200円の野菜やいもを購入するなら、1万円で50袋買えます。1日1.5袋以上です。このように考えると、「野菜が高くて買えない」と言いながら、健康食品を求めるのは、理屈に合わないと言えましょう。 野菜・いも・果物には、5大栄養素の無機質やビタミンが豊富に含まれ、食物繊維が多いことは、「オトナの食育」で繰り返し述べましたが、先月の 多量の「天然の発がん性物質」が(野菜に)存在するという事実は一見恐ろしく思えますが、エイムズ教授はこれこそが野菜が健康に良い理由の裏返しであると説明しています。私たちの体には、DNA修復酵素やグルタチオンS-トランスフェラーゼといった、有害物質を無毒化する強力な防御システムが備わっています。少量の「天然の毒」を常時摂取することで、これらの防御システムが常に「オン」の状態に保たれ、結果としてがんや老化の原因となるダメージから体が守られる、「ホルミシス」という効果が得られるのです。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ なお、ホルミシス効果とは大量では有害な作用をするものが、わずかな量だと人体に生理的な刺激を与えて活発化させる現象です。毒物学には昔から「少量の毒物は刺激的である」という法則があるくらいで、薬品や抗生物質はこの法則に照らして使われているのだとか。また、ラドン温泉もこの効果を期待してのことです。 少なくとも、野菜を十分とると健康に寄与するというデータはずっと以前からあります。「時間がない」「面倒」「野菜はあまり好きではない」などと言わず、おいしくする工夫をして十分召し上がることをお勧めします。 この時期の具体例として、オトナの食育 第4回 2006年4月号の「ロールキャベツ」や「お惣菜風豚の蒸し煮」も参考になさってください。 私は野菜の買い置きが少ない日に、キャベツを洗ってから適度な大きさ切り、スープの素と共に煮て、好みでトマトケチャップをかけるというシンプルな料理を作ったことがあります。案外、おいしく頂けました。難しく考えずに、家庭料理を楽しめると理想です。 |