10月後半は、ハロウィーンのお祭り気分でした。デパートの中には、仮装した子どもにお菓子を配布していたところもあるとか。東京ディズニーランドでは、その期間は大人も仮装OKだとか。当日は、渋谷に仮装した若者が集まったというテレビニュースもありました。
深く考えない欧米のマネは、食以外にしておきたいものです。欧米の食事は、脂質やエネルギーの過剰が問題です。そういう意味では和食が良いです。とはいえ、塩分摂取の多さは、和食の大きな欠点です。
塩分とり過ぎの現実を知る
本年9月14日のNHKクローズアップ現代で、佐々木敏・東京大学大学院教授が、尿を全てためるという方法で測定をなさり、従来言われたより日本人が多く食塩をとっている(男性14.0g、女性11.8g)という研究結果を示し、減塩運動の推進についてお話しなさいました。現在の食生活は加工食品の占める割合が高いので、イギリスで行われているように、国策として加工食品の減塩を企業が進めなくては、大きな改善は難しいということでした。
それに異論はなく、減塩商品を選ぶ意識を高めることも必要ですが、個人や各家庭で手軽にできる対策や、それが急務である理由をおもに書きます。
日本の食事摂取基準2010版は、食塩について成人の目標量、男性9.0g/日、女性7.5g/日未満、2015版では男性8.0g/日、女性7.0g/日未満です。また、日本高血圧学会では1日6g未満を推奨し、WHOは世界の減塩目標を5g/日にしています。
私は大学生に調理実習を指導しながら、自分たちの作った料理の塩分計算をさせたり、みそ汁の塩分を測定したりします。「食事摂取基準2010版の基準を守ることでさえ困難」とほとんどの学生が感想を書き、また、私自身もそう思います。そうであるからこそ、日常的に意識をして減塩に取り組まないことには、生活習慣病になりがちでしょう。
塩分を減らさないと、ナトリウムの摂取量が多くて、高血圧をはじめ胃がんの発症リスクが高まるなど、健康に悪影響を及ぼします。しかし、これを知ってはいても、食習慣を変えるのは難しいです。
血圧の上昇を抑えるカリウム豊富な、野菜やいも等の料理を
そこで、減塩しきれない分を、いわば、ナトリウム帳消しをしてくれるカリウムをしっかり摂取することで、カバーをするということを考え合わせましょう。カリウムが豊富なのは、野菜・いも・豆・果物等です。
「スタンダード栄養・食物シリーズ9 基礎栄養学 第3版」東京化学同人(2011) p.142に、次のようにあります。
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日本人では食塩の摂取量が多いほど高血圧の割合が増加する。(中略)
カリウムの摂取量を増やすと、血圧の上昇を抑える。カリウム(マグネシウムやカルシウムも)の摂取は電解質代謝に影響を与え、かなりの人で降圧効果がある。健常者では、低カリウム食は逆に体内のナトリウム量が増加し、高血圧になる。(後略)
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野菜・いも・果物の少ない現実も知る
栄養計算をすると、おかずを減らせば塩分も減ると気付きますが、それでは栄養不足になり、カリウムもとりにくいです。日本の基準は、成人1日当り野菜350g、女子栄養大学の香川芳子案ですと、いも100g、果物200gです。今回、この例を写真で載せますので、参考になさってください。キャベツの千切りや、レタス主体のサラダといった生野菜ですと、かさが多くて食べにくいですが、この例のように加熱料理主体なら比較的食べやすいです。
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1日、野菜350g(内1/3は緑黄色野菜)・いも100g・果物200gの献立例
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