オトナの食育 

資料編 第32回(通巻194回)2023/4/10号掲載 千葉悦子(高28)

わたしがつくる  朝ごはん」 改訂版


 
 先月に出来た「わたしがつくる朝ごはん」改定版のお知らせです。旧版については「オトナの食育20113月号」に取り上げまして、大まかなところは同様ですから、主な変更点を載せます。新版の副題は「自分で料理できる人になる」で、昼食にも夕食にも応用できます。

 初版から10年以上たち、学習指導要領や食事摂取基準が改定され、それらに合わせた教科書となり、主に中学生用の副教材である上記冊子も修正することとなりました。ほとんどの日本人に必要な減塩を考慮し、みそやしょうゆ等の量を減らしました。調味料は種類により食塩濃度が異なるので、材料分量を示すのが難しいですが、味が薄い場合は足せる反面、薄くするのは難しいことから、少な目にしました。

 調理は多種多様な食材を扱うので、純度の高い試薬を用いる化学実験とは異なり、最終的には味見をして、各人・各家庭で調節することが必要です。とは言え、調理経験が乏しいと目安なしには作れませんから、各担当者が再考して今回の改定をしました。

 今どき、店頭では洗卵済みがほとんどなので、卵料理の準備の「流水で洗う」を削除しました。そして、ハムエッグの注意事項に「卵が汚れている場合は流水で洗います。洗ってから水分をしっかりとふき取ります。水分が付くと殻表面にある気孔からサルモネラ菌などが卵の中に入りやすくなるので注意します。」と加えました。

 さらに衛生上の注意として、ゆで卵のページに「ゆで卵(調理した卵)より、生卵の方が保存がききます。」と載せました。殻付きのままのゆで卵は、ゆでる前と外観が同じなので、念のために加筆しました。知識や経験が豊富な人にしてみると「そこまで書くの?」と感じるでしょうが、ここ3年、コロナの影響で学校での調理実習や調理を伴う様々なイベントが中止となったので、知識や経験が不足することでしょう。

 なお、本冊子は、印税が著者に入らない契約でして、私利につながらないので、同窓会HPに冊子について載せてもかまわないと存じます。

 ところで、6月初めに予定される関東地区同窓会に、冊子を持参予定です。予め、私にお声がけ頂ければ、その場で差し上げます。主に中学生用ですが、料理に興味のある小学生や、料理に慣れない高校生以上にも役立ちます。見開き2ページで料理1種が作れ、薄い冊子なのでA4クリアーファイルに入れられて、冊子を汚さず調理中に確認しやすく便利です。本冊子について、ご検討頂けると幸いです。

☆追記:44日テレビ朝日モーニングショーの信岡誠治(元東京農業大学教授)のコメントを受けて

 卵の価格の高騰を受けて、上記テレビ番組で「卵が汚れている場合は、洗わないでふき取ってください」ということでした。この番組は、視聴率が一番高いモーニングショーなので、突っ込まれそうですから追記します。

 洗卵済みの場合は、万一汚れている部分があっても洗わないのが良いですが、自宅で飼う鶏では、卵に糞が付くことがあります。その場合は、洗わざるを得ないと思います。なお、業者の洗卵は、単なる水道水ではなく、5060℃の次亜塩素酸ナトリウムで殺菌することを含めた方法なので、外側の菌を中に押し込まずに済むそうです。

 科学は、条件を制限するときにしか言えず、身近な食品についても同様です。今回紹介した冊子は初心者向けで、短く要点を伝える必要があり、厳密に正確な記述は無理です。長過ぎる難解な説明では、読む気になれなせんしね。

 とにかく、卵の価格が年単位で高止まりするという信岡氏の予測を基に、消費者も卵について正確な知識を得て、衛生的に大事に扱い、食品ロスを減らしたいものです。

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■参考文献等

・一色賢司編「新スタンダード栄養・食物シリーズ8 食品衛生学 2 東京化学同人(2019

・地域教材社HPの、この本の説明 http://www.chikyo.co.jp/k/c-book.html

  オトナの食育 資料編 第14回(通巻59回)20113月号
   共著「わたしがつくる 朝ごはん」の紹介
    www.nirako-dosokai.org/melmaga/shokuiku/date14.html


・オトナの食育 所感編第65回(通巻99回)20147月号
   「夏です!食中毒対策をお忘れなく…卵の扱い」

     www.nirako-dosokai.org/melmaga/shokuiku/shokan65.html


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