オトナの食育 所感編 第99回(通巻139回)2017/12/10号掲載 千葉悦子(高28)
「直虎」の家臣、直之における「考え方の切り替え」に思う
今年も最後の月となり、私のお気に入り、NHK大河ドラマ「直虎」も終わるので、直虎の家臣、直之のことから始めます。 「殿は男性」と思っていた直之は、女性が「直虎」と名乗って殿になることを、最初の内はあからさまに嫌がりましたが、その内に、直接には頼まれなくても自分から殿を守るようになりました。つまり、主君が女性であることを受け入れたのです。殿を守りつつ、井伊を守るのが自分の役割と懸命になっていたのですが、主君が「家を潰す」と言い出し、考えを切り替えることが非常に辛そうでしたが、最後にはそれを受け入れました。そして井伊谷の番人となることを受け入れ、さらに、家康に仕える万千代の元へ行くことになります。このように直虎にさんざん振り回されて、非常に辛い気持ちの切り替えを乗り越え、その時、その時の状況に合わせる姿を見て、現代に通じるものを感じました。 今でも食品添加物、残留農薬、遺伝子組換え、放射線照射食品等について、「危険に決まっている」と必要以上に感じる人がいたら、食品安全委員会や日本食品照射研究協議会等のHPを読むなどして、現在の様子を知って頂きたいと願います。50〜60年位前は、○○ヒ素ミルク事件とか、人工的な甘味料の問題とかがあり、添加物の不純物や発がん性の問題が確かにありました。そういった問題の反省を基に、法律や制度を変えてきたという歴史があります。その結果、食について安全性が十分高い技術だけが使われるようになりました。そのような技術を使用しない場合、かえって他のリスクが高まる「リスクのトレードオフ」も考え合わすべきです。 「事実が変わった場合、私は意見を変える」というケインズのことばを、孫引きで申し訳ないですが、最近の朝日新聞の付録で見つけました。そして「オトナの食育」基礎編
第6回掲載の、家庭科教育法の恩師である武藤八恵子先生のことば「もしも、自分が間違っていたと分かったら、それを認め、また新たに進めばよいでしょう。」を思い出しました。 家族の健康や安全を願って、週刊誌や一部の生協のチラシをはじめとするメディアで「△△が危険」という情報に敏感になり、それを避けてきた場合、その情報が間違い、あるいは、針小棒大と知ると愕然とし、悲しくなりがちでしょう。残念ながら、かつて私もその一人でした。しかし、科学技術は進展するので、仕方ないことと割り切り、「悲しいのは自分だけではない」と気持ちを楽にし、直之のように辛い気持ちを抱えつつも柔軟に考えを切り替えて行きたいものです。 「やってみねば分かりませぬ」という直虎のことばのように、来る年がより良くなるようにと諦めず、期待しながら、私なりに書き続けたいと思います。 ■主な参考文献等 |