オトナの食育
所感編 第135回(通巻186回)2022/7/10号掲載 千葉悦子(高28)
おまけが多過ぎる事例を基に、食料の大切さを再考
今年は6月に梅雨明けとなり、異常な酷暑が続くにもかかわらず、学校や職場に通い、いつも通り仕事をするのは、とても大変です。 ところで「オトナの食育 1月号」に書きましたが、食料価格の上昇があった上に、ロシアによるウクライナ侵攻が4か月以上も続くので、両国による生産や輸出が多い小麦等の価格が上昇し、エネルギー需給もひっ迫します。また、円安も進行し、食料やエネルギー等を輸入に頼る国としては、辛いことが重なります。 6月に、ドミノピザの宅配でLサイズのピザ1枚を買うと、Mサイズ2枚のピザが付くキャンペーンを耳にしました。上記のような世界や日本の状況で、そういうキャンペーンをすることに違和感を覚えました。さらに、ネット上で井出留美氏の<「1つ買うと2つ無料」ごみ捨て場に廃棄されるピザ 疲弊する従業員 どこが持続可能なのか>という文章が目に入りました。もしも井出氏の記述が本当で、余ったピザを冷凍をして後で食べるなどの有効利用をせずに廃棄するなら、深い悲しみと怒りを感じます。「自分のお金で購入した物は、どうしようと自分の勝手」としか考えないとしたら、あまりに自分勝手と思います。作物の栽培や畜産や、産物の運搬には、人の労力だけではなく、多量の水やエネルギーや多くの資源<肥料(輸入が多い)・農薬・雑草防除のシート、輸入飼料等>を使い、それらの元をたどると二酸化炭素等の排出もあるからです。その上、廃棄して燃やすにはエネルギーが必要で、二酸化炭素の排出もあります。 もちろん、おまけが全ていけないとは申しません。筆者が子どもの頃のグリコの小さい玩具とか、お茶漬けの素に入っていた東海道五三次の絵とかは、家庭用ゲームもパソコンもない時代に、子どもが楽しみながら、成長を促されて良かったと思います。また、甘栗屋さんが小さい栗を小袋に入れて、子連れのお客におまけとして渡すのもほほえましいと思います。 また、ピザの宅配自体は、家族全員が新型コロナにかかるなどで買い物に出かけられず、料理をする元気もないような場合には助かるので、社会貢献の一つと思います。 しかし、今回の「おまけ」はあまりに多過ぎるし、上記のような不心得な行動を誘発しかねません。消費者の責任ある行動のみならず、企業の売り方も責任ある方法が望まれます。 大多数の人が「好きな時に、好きな物を、好きなだけ食べられる」時代は、昭和の中頃をリアルタイムで知っている私にとりまして「長続きしそうにない、異常な状態」と感じます。これを機に、食料を大切にすることについて再考しませんか?
■参考文献等
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