オトナの食育 

所感編 第134回(通巻181回)2022/1/10号掲載 千葉悦子(高28)

食品を含む値上げの年に、
米や牛乳や新技術の再評価を



 

今年は、じわじわと食料の値上げがあるようです。私は、調理実習用の同じタイプのベーコンを10年以上購入してきて、ステルス値上げ(1パックの価格は据え置き、内容量を減らす)を経験してきました。その反面、スーパーマーケットをはじめとする末端の食品の価格は、全体的にはそれほど上がらない印象でした。しかし、昨秋あたりから、世界的な食料を含む原料やエネルギーの値上がりだけでなく、日本国内でも値上げの動きが報道されるようになりました。

 長年、「オトナの食育」の編集をしてくださる同窓生が「イチゴは減ってかつ高くて、手が届かないです。」と先月、私へのメールに書いてくださいました。スーパーマーケットで買い物しながら、私もアボカドが3割程度高くなったし、肉や魚も高くなったなどと思います。

 唯一、安くなっているのは米ですし、もう少しご飯を多く食べるようにするのが第1と考えます。小学校教員免許取得のための科目で、学生に文化鍋で炊飯をさせる実習をし、そのレポートにご飯1膳のエネルギーと、学生自身の好きな菓子・菓子パン・清涼飲料水のエネルギーとを比較させています。すると、単位重量当たりのエネルギーは、菓子や菓子パンよりご飯の方が少ないです。しかも、小さめの菓子1袋や菓子パン1個と、ご飯1膳と比べても同様です。また、甘くて、高甘味度甘味料を使わない清涼飲料水500 mL程度の場合も、ご飯1膳と同程度です。つまり、「ご飯を食べると太る」という考えを改めるのをお勧めします。

 また、冬休みは学校給食がなく、コロナ禍で外食が振るわないことから、牛乳が余って捨てるしかないという報道にも胸が痛みます。そのせいか、小中学校の冬休み期間に入る頃から、牛乳のセールが増えてようです。カルシウムが不足する人が少なくない状況なのですから、比較的安価に各種栄養成分をとれる牛乳を飲み物や料理に使いたいものです。

 多くの食品は、何年分も買いだめするわけにはいきませんから、「オトナの食育」のバックナンバーの知恵も含めて、上手に使っていけると良いのでは?と思います。食品の品質や保存性を高めるには、保存料や遺伝子組換え、ゲノム編集、放射線照射といった技術についての知識をきちんと得て、安心して取り入れることも必要です。これらの誤解を解くよう、今年も、食に関することを少しずつ書かせて頂きたいと存じます。


■参考文献等

日本経済新聞202211日朝刊 「食料高騰、世界揺らす」「異常気象・脱酸素で10年ぶり高値」
                      「格差懸念、政情不安も」「インフレ 低所得層に重荷」


日本経済新聞20211229日朝刊 「上がりきらない店頭価格」「転嫁進まず今夏以降横ばい」
                       「食品、割安PBシフト」「日経POS


日本経済新聞20211228日朝刊 「コロナ禍2年 きしむ市場 ㊦」<在宅定着 需要「コロナ前」遠く>
                        「賃料やコメ、下落鮮明」


日本経済新聞20211225日朝刊 「食品値上げ、響かず株安」「原材料高が招く消耗戦」

日本経済新聞20211225日朝刊 「日本にも物価上昇の流れ」<11月「携帯」除けば2%超に>

日本経済新聞20211224日朝刊 <「ミスド」10円値上げ>「原料高、全商品の9割 ダスキン」

日本経済新聞20211223日朝刊 <「牛乳を飲もう」大号令>「生乳廃棄回避へ官民一体」

日本経済新聞20211219日朝刊 「世界の穀物 中国買いだめ」「過半の在庫手中に」「貧困国に余波」

日本経済新聞20211215日朝刊 「大豆、豊作でも高値リスク」「米期末在庫、低水準続く」
                        「資料・バイオ燃料 需要旺盛」


日本経済新聞20211130日朝刊 「ラード、3年半ぶり上昇」「豚脂品薄 バイオ燃料利用増 余波」

日本経済新聞20211125日朝刊 「ちくわ・かまぼこ紀文が値上げ」「来年2月末、平均8%」

日本経済新聞20211119日朝刊 「牛乳・飲料パック値上げ」「日本製紙輸入原紙高で3年ぶり」

日本経済新聞20211119日朝刊 「イチゴのパック12粒少なく」「高齢化で生産減 / 原油高」
                        「製菓店、需要期控え痛手」


日本経済新聞20211117日朝刊 「新米店頭、下げ5%止まり」「値下げでも売れず 小売り、採算懸念」

日本経済新聞20211113日朝刊 「砂糖 今年3度目値上げ」「来月から DM三井製糖が3% コスト転嫁」

日本経済新聞2021115日朝刊 「しょうゆ14年ぶり値上げ」「キッコーマン 原料高・物流費上昇で」

日本経済新聞20211030日朝刊 「化学肥料、13年ぶり高値」「天然ガス高騰 / 中国の輸出削減」
                        「穀物価格押し上げも」


日本経済新聞20211023日朝刊 「食品にも供給制約の影」「鶏肉・ワイン・エビ…輸入に支障」
                        「■東南ア生産停滞 ■海上輸送に遅れ」


日本経済新聞20211020日朝刊 「トウモロコシ、需要底堅く」「中国養豚の大規模化で」
                        「国際価格なお前年上回る」


日本経済新聞20211019日朝刊 「スパイス・ハーブ高値続々」「天候不順・人手不足で減産」
                        「メーカーの収益圧迫」

■■オトナの食育 全メニューへ