今年に入ってからも、週刊誌の中に、食に関するごく小さなリスクを過大に報道する特集が複数ありました。週刊誌を手にとらなくても、新聞の下の方や地下鉄内の広告が目に入ることでしょう。そういう危険情報は人々の耳目を集めがちです。「火のないところに煙は出ない」が当てはまならないことが、食情報には多々あると知っておきましょう。
食の専門家は「間違っている」と気がついても、本業を置いてまで一つ一つ反論するのは難しいです。また、たとえ科学的に正しいはずであっても、「名誉棄損などと訴えられると面倒」という心配もあります。そういう危険に自分をさらしてまで書く人はなかなかいそうにありません。
こういった困難な事情の下「NPO法人 食の安全と安心を科学する会」が、ホームページ上で<『食べてはいけない「超加工食品」実名リスト』⇒「フェイクニュース(レベル4)>と題して解説をしていることをお知らせします。この会はファクトチェックの基準を公表し、今回のレベル4は「一番問題が大きい」という意味の分類です。私があまり時間や労力や心労をかけずに出来ることは、良心的な論を知らせることと考え、今月の話題としました。
人間1名が食べきれないほどの大量を、仮に食べ続けた場合のリスクのことを心配するより、受験生や休めない仕事をしている人などは、たとえば次のことに注意するのが大事です。
・インフルエンザ対策
・寒い時期に多いノロウイルス対策
たとえば、牡蠣等の貝類を中心部までしっかり加熱。十分な加熱は他の食中毒予防にも有効。
・娯楽を主眼とする料理番組の手法を安易にまねない。
オシャレで斬新な盛り付けでしょうが、やり方によっては食中毒になりかねない場合や、
料理人でない人の不衛生なやり方も散見されます。昨年12月号にも書きましたが、
またの機会にさらに解説予定。
社会全体としては、節分の恵方巻きをはじめとする季節商品を含む「食料廃棄」の問題の方がよほど重要と思います。
重要度の低い情報に振り回されず、冷静に重要なことを判断し、それを基に行動していきましょう。
■引用文献等
山崎毅~SFSSが週刊新潮記事(2019年1月31日号)をファクトチェック!~NPO法人 食の安全と安心を科学する会
「食・健康・医療のファクトチェック」http://www.nposfss.com/cat3/fact/shincho_20190131.html
■主な参考文献等
日本経済新聞2019年2月1日夕刊「恵方巻き 廃棄に待った」「料理教室で手作り SNSで削減運動」
「消費・販売の意識改革を」「全国の食品ロス 毎日トラック1770台分」
朝日新聞2019年2 月5 日朝刊「恵方巻き 今年も作りすぎ」<「廃棄するな」コンビニ写真自腹も>「食品リサイクル まだ4割」
佐藤達夫「『週刊新潮』と『女性自身』」FOOCOM.NET 2018年6月1日
http://www.foocom.net/column/metabo/17002/
井出留美「クリスマスケーキ 大量廃棄の実態 一日500kgがブタのエサに 家庭ゴミにはホールの半分が捨てられ」
2018年12月26日 https://news.yahoo.co.jp/byline/iderumi/20181226-00109060/
千葉悦子 オトナの食育 所感編第109回(通巻第149回) 変わった料理方法にご注意
http://www.nirako-dosokai.org/melmaga/shokuiku/shokan109.html
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