毎年のことながら、寒い日が続きます。それで、体が温まるポタージュに、春を待つ気持ちを表した浮き身を添えたものの提案です。頂き物の八つ頭で、煮物以外の料理としてポタージュを作ったところ、生クリームを入れなくても大変クリーミーでした。しかも、カルシウム豊富な牛乳を無理なくとれて、健康的です。
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材料分量 約4~5人分
・八つ頭(皮をむいて) 250 g
・玉ねぎ 50 g
・セロリ 5 g (なければ入れなくてもよい)
・バター 8 g
・水 200 mL (八つ頭等を煮るとき)
・牛乳 350 mL
・コンソメ塩分控えめ 1個 (1個、5.3 gの食塩相当量は1.4 g)
・白コショウ 少々
作り方
1.八つ頭を洗って皮をむく。
包丁使いに慣れない人は、けがをしないよう厚めに、場所によっては「切る」という感じで
むく。赤い部分や、非常に筋の強い部分等、悪い所は捨てる。2センチ角程度に切る。
2.玉ねぎは薄切り、セロリは細かめに切る。
セロリは細い部分を使うと無駄がない。
3.厚手の鍋にバターを入れ、強過ぎない火力で玉ねぎとセロリを焦がさないように炒め、
玉ねぎが透き通ったら、八つ頭・水・コンソメスープの素を入れ、蓋をして
八つ頭が軟らかくなるまでしばらく煮る。
蓋が本体とピタッとついて、蒸発量が少ない鍋なら、八つ頭がところどころ水面から出ても可。
4.3と牛乳をミキサーにかけ、鍋に戻し、鍋底が焦げないよう、ヘラでかき混ぜながら加熱する。
5.味見をし、塩味が濃い、あるいは、とろみが強い場合、牛乳あるいは水を足して調節する。
蒸発分にもよる。好みで、白コショウを足す。
6.盛り付け
浮き身として、緑の野菜(写真は、ゆでたきぬさやの繊切り)の繊切りや、みじん切り
を載せると、春を待つ気持ちが伝わるのでは?
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試食して
八つ頭は、品質が良いせいもあるでしょうが、ゆでこぼさなくてもコンソメや玉ねぎやセロリのせいか、そのままでもあくを感じなかったです。私も家族も「八つ頭を使った」と言われなければ、「じゃがいものスープかな?」と感じるほどでした。
セロリを入れた理由
食品の香気成分の研究をなさっている久保田紀久枝先生(現在、東京農業大学教授)が「セロリはスープやシチュー等をおいしくするのよね。」と私に話されたことがあります。また、久保田先生の研究室で研究なさった黒林淑子氏の「においと味のコラボレーションによる風味形成―セロリを例に―」というお話を、平成23年の日本栄養・食糧学会大会で拝聴したので、セロリの風味を気が付かない程度に少し入れました。
なお、「地域食材大百科第2巻野菜」のセルリーの部分p.171に次の記述があります。
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香味野菜としての効果がある。スープ、シチューなどの煮込み調理に用いると、他の食材の好ましくないにおいをマスキングし、消臭効果がある。また、料理に爽やかな風味を与える。
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栄養面・・・八つ頭や里芋はカリウム豊富
八つ頭や里芋は、じゃがいもやさつまいもよりカリウムが豊富です。(八つ頭100 g当りのカリウムは630 mg、サトイモ640 mg、じゃがいも410 mg、さつまいも480 mg、レタス土壌栽培200 mg)八つ頭や里芋のビタミンCは少なめですが、いもはどれも食物繊維も豊富です。
高血圧を気になさっている方には、特に召し上がっていただきたい食材です。「カリウムの摂取量が増えると血圧の上昇が抑制され、脳卒中のリスクが減る。」と「基礎栄養学」p.143にあります。
なお、八つ頭は里芋よりはぬめりが少ないので、扱いが楽な面があります。
従来「和の食材」というイメージのあった物が、洋風料理に使える場合もあります。柔軟に考えて、いろいろな料理にしてみせんか?
■引用文献
農山漁村文化協会編「地域食材大百科
第2巻 野菜」(2010)
池田彩子・鈴木恵美子・脊山洋右・野口忠・藤原葉子編
「新スタンダード栄養・食物シリーズ9 基礎栄養学」東京化学同人(2015)
■主な参考文献等
山崎清子・島田キミエ・渋川祥子・下村道子共著「新版 調理と理論」同文書院(2003)
久保田紀久枝・森光康次郎編「新スタンダード栄養・食物シリーズ5 食品学―食品成分と機能性―」東京化学同人(2016)
日本栄養・食糧学会「第65回日本栄養・食料学会大会講演要旨集」(平成23年)
オトナの食育 所感編第4回(通巻33回) 2009年1月号
「やつがしらの含め煮」を例にとって煮物について思う
http://www.nirako-dosokai.org/melmaga/shokuiku/shokan4.html
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