オトナの食育 
所感編 第86回(通巻124回)2016/9/10号掲載 千葉悦子(高28)

紫人参を使ったポテトサラダ
…科学に興味を持つきっかけにも


 残暑が厳しく、せめて見た目が秋らしい、紫がかった1品を提案します。

ポテトサラダに入れる人参を、紫人参にして、じゃがいもと一緒にゆでます。
ヨーグルトや調味料と和えれば出来上がり。お好みで、レーズン等も入れてください。色合いに変化が出るよう、ミント等、何か緑色の野菜やハーブを添えるか、器の色を合うものにするなど工夫します。

料理としては、ゆで汁を捨てますが、お子さんに楽しく科学に興味を持たせたいと願う場合、そのゆで汁をとっておき、写真のように透明の器2つに入れます。片方に酸性になる酢などを入れると、鮮やかな赤紫色に変化し、最初の黒っぽい紫色と比較できます。アントシアニン色素は、酸性では赤色を示し、アルカリ性(せっけん水等を入れる)では青っぽくなることは、朝顔の色水遊びでおなじみのことでしょう。

「色が変わる実験を部活紹介で見せると、化学部入部者が増える」と、私が高校生の頃、化学部の先輩が話していました。色が変化するというのは、どなたにもインパクトが強く、興味を持って頂ける方法の一つと思います。

私が人参には紫色など様々な色があることに気付いたのは、本年6月号で紹介した「アルカナ東京」をはじめ、レストランで珍しい野菜に出会ったことです。それがきっかけとなり、デパ地下や表参道にある国連大学前広場でのファーマーズマーケットなどで、珍しい野菜に注目するようになりました。

 今回の写真の紫人参は、今春にデパ地下で購入したものです。「地域食材大百科第2巻 野菜」によると、ニンジンの出回り時期は「春ニンジン」(鹿児島、宮崎、徳島)「夏ニンジン」(北海道、青森)「冬ニンジン」(関東各県、長崎、熊本)とあり、これからの時期にも紫人参を得られるかもしれません。出会った時はチャンスです。

 紫人参がない場合は、中まで紫色のサツマイモやジャガイモでも、似たようなのが出来そうです。サツマイモでしたら、所感編 第67(通巻101)2014/9/10号掲載「野菜高騰の対処法…かぼちゃのヨーグルト和え」を参考になさってください。

 10月末のハロウィンの食卓に、紫色の料理やデザート等が上ったら、楽しい気分になれるのでは?今から、変わった食材を買えそうなお店を気にしておくと、準備万端!

 夏の自由研究でテーマ選びに困らないよう、日常の料理をしながら子どもたちに、おもしろいことを見せられると理想です。色に関する興味深い料理例を、今後もときどき書く予定です。特に、お子さんやお孫さんのいる方々、家族や友人を驚かせたい方々は、どうぞご期待下さい。

 

■主な参考文献等
農山漁村文化協会編「地域食材大百科第1巻 穀類,いも、豆類,種実」農文協(2010
農山漁村文化協会編「地域食材大百科第2巻 野菜」農文協(2010
久保田紀久枝・森光康次郎編「
新スタンダード栄養・食物シリーズ5 食品学―食品成分と機能性―」東京化学同人(2016
オトナの食育 所感編 第65(通巻101)2014/9/10 野菜高騰の対処法・・・かぼちゃのヨーグルト和え」
http://www.nirako-dosokai.org/melmaga/shokuiku/s67/shokan67.html

 



   
 
           
     紫人参・ポテトをゆでたところ         紫人参 ゆで汁
                                左:そのまま  右:酢を添加



オトナの食育 全メニュー


■■オトナの食育 全メニューへ