オトナの食育 所感編 第83回(通巻121回)2016/5/10号掲載 千葉悦子(高28)
熊本の赤酒
私が赤酒を知ったのは、昨夏開催、日本調理科学会大会における赤酒についてのポスター発表です。発表者から「赤酒を使うとおいしくなる」と伺い、興味を持ちました。それがきっかけとなり、赤酒の料理酒を購入してみると確かに赤く、本みりんほどではない丁度良い甘みで、かつ、非常に深い味わいがあり、すごくおいしいです。アルコールに弱い私が、身体のことを考えなかったら、キッチンドリンカーになりそうなほど美味です! 製造元のホームページを見ると、次の説明があります。 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 赤酒に代表される「灰持酒(あくもちざけ)」は、酸を中和し保存性を高めるため、もろみを搾る前に「木灰」を入れることが最大の特徴です。(一般の清酒は、加熱する<火入れする>ことにより保存性を高めることから「火持酒(ひもちざけ)」と呼ばれます。「木灰」を使うことにより、独特の芳香を持つようになり、またその性質は微アルカリ性かそれに近いものとなります。このために時間の経過とともに、糖分やアミノ酸が反応し、自然に赤色を帯びてくることから「赤酒」と呼ばれるようになったと考えられます。 気温の高くなる熊本で、お酒が悪くならないように木灰を入れるということなので、冷蔵庫に入れなくてもある程度持ちそうで、省エネタイプではないか?と思います。しかも、同サイトによると煮物が冷めても照りがよいとのことですし、普通の日本酒やみりんと同時に作って比較したわけではないですが、野菜でも魚でも煮物がおいしく出来るので、私はたいへん気に入りました。 「プロの料理人に赤酒が料理酒として、選ばれる5つの理由」に次のようにあります。 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ”微アルカリ性”の赤酒は、他の料理酒とは違い、素材のたんぱく質を固めずに仕上げることができます。魚や肉の身を締めずふっくら柔らかく仕上げる、これが赤酒独自の効果です。 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::: そこで、手持ちのpH試験紙で調べたところ、赤酒は7.0以上(7.0までしか測定できないものなので、それ以上は不明)、手持ちの日本酒は4.9程度、本みりんは6.1程度で、差が歴然とありました。「調理学」によると、肉の等電点はpH5付近で、このとき肉の保水性は最低になり、肉のpHを等電点より離すと、肉の保水性が高くなり、肉が軟らかくなるそうです。マリネでは酸性側にして肉を軟らかくしますが、赤酒でアルカリ側にすれば、その場合も軟らかくなるはずです。理論的にも赤酒.comの記述は合っています。 残念ながら、赤酒を作る会社も地震の被害が大きく、出荷できないようです。工場が整って、出荷できるようになったら、購入することにより復興支援をしては?と思います。 ********************************** 今すぐに役立つ応援方法としては、日本調理科学会メール・ニュース2016年4月25日号と5月5日号に紹介されたNPOキャンパーの炊き出しのための募金があります。まず、熊本の尚絅大学短期大学部食物栄養学科の学生が炊き出しをし、その後、福岡市の中村学園大学栄養科学部栄養科学科の学生さんたちの応援も加わったそうです。 詳細はNPOキャンパーのHPに掲載されています。ご覧ください。 なお、NPOキャンパーは、「オトナの食育2013年1月号」に取り上げました本を日本調理科学会と一緒に作った団体です。 早く、熊本やその周辺の地震が終息するようにと祈りつつ、今月号といたします。
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■引用文献等 瑞鷹株式会社サイトhttp://www.zuiyo.co.jp/ 赤酒.com http://www.akazake.com/riyu/ |