オトナの食育 

資料編 第37回(通巻228回)2026/10/10号掲載 千葉悦子(高28)


「バイテク農業の未来」のお勧め



 今年は、遺伝子組換え作物の流通が始まって30年とのことで、9月10日に『遺伝子組み換え とことんディスカッション』が開催され、私も参加し、書籍「バイテク農業の未来-遺伝子組換え作物とゲノム編集食品」を頂きました。
今回は、その本のお勧めです。上記イベントのレポートは、プレスリリースとしてまとめています。なお、「バイテク」とは、バイオテクノロジーの略です。

 ところで、今年は、欧州等の熱波やライン川の渇水、日本の特に西の方の渇水がニュースになり、線状降水帯の停滞や長雨で関東でも洪水が起きるなど、異常気象による災害が続きます。二酸化炭素等の排出を減らして気温や海水温の上昇を食い止めることが最重要対策とはいえ、日本1国だけの努力では解決できない現実があります。

 こういう現状で、将来にわたり食料の確保をするには、高温や乾燥に強い作物や強風に耐える穂の短い作物や、収量の多い作物を創り出す、つまり品種改良が欠かせません。従来の交配といった方法では、何十年もかかりますし、不可能な場合もあります。望む改良を短い年月で行うには、遺伝子組換えやゲノム編集等が有効です。

 「何かあったら、どうするんだ!」と新技術反対派は言いがちでしたが、「遺伝子組換え農作物を30年も使ってきて、問題が起きていない」という事実を素直に受け止めたいものです。

 そもそも、生産性向上という利点があるからこそ、遺伝子組換え農作物が考えられ、使われてきました。さらに、除草剤耐性を付与することにより不耕起栽培が可能となり、肥沃な表土(外国では非常に薄い)の流出を防ぐという土壌保全やCO2排出削減が出来ます。
「バイテク農業の未来」の第3章、山根精一郎氏が次の説明をしています。
「不耕起栽培の拡大による温室効果ガスの削減効果は、2018年には二酸化炭素として2300万トンで、これは乗用車1520万台が1年間に排出する量に匹敵している。」
しかも、2018年以降も世界では遺伝子組換え農作物の作付け面積は増え続け、バイテク普及協会HPでは
「2025年現在、遺伝子組み換え(GM)作物は世界30カ国で合計2億1,600万ha以上の農地で栽培されています」とのこと。

 日本は、外国から大量の遺伝子組換え作物を飼料や食用油等の原料として輸入する反面、一部の花を除き、遺伝子組換えの商業栽培をしていません。この状況の理由や歴史について知るには、冒頭の書籍がうってつけです。

 9月のNHK朝ドラのセリフに「正しく怖がることが大事」がありました。そのためには、「新技術(と感じるもの)は怖い。子どもや孫に何かあったら心配。」で終わらずに、上記書籍等をお読みになり、真実に近づき、適切な判断に向かうことをお勧めします。

■引用文献等

小島 正美編「バイテク農業の未来-遺伝子組換え作物とゲノム編集食品」 
   ウェッジ(2026年8月)

バイテク普及協会HP https://cbijapan.com/about_use/cultivation_situation/


■主な参考文献等

ウェッジブックスHP バイテク農業の未来 - ウェッジブックス –

PR TIMES
 遺伝子組み換え作物流通30年 斎藤幸平氏・須賀川拓氏・田部井豊氏・小島正美氏・
 徳本修一氏がReHacQ(リハック)とコラボで「食料安保・環境・農業の未来」をとことん議論
 バイテク情報普及会のプレスリリース 
 「賛否を超え、対話から見えたバイオテクノロジーの可能性」
  https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000074703.html

農林水産省HP 農地土壌の温室効果ガスの吸収源としての機能の活用
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kihyo03/gityo/kihon_sisin/sisin1-2-5.html?utm_source=openai


オトナの食育 資料編 第15回(通巻62回)2011/6/10号掲載 
  DVD「1600万トンのトウモロコシはなぜ、海を渡るのか」
  パンフレット「1600万トンのトウモロコシはなぜ、海を渡ったのか」アメリカ穀物協会
  のお知らせ
 https://www.nirako-dosokai.org/melmaga/shokuiku/date15.html

オトナの食育 所感編 第47回(通巻79回)2012/11/10号掲載 

  食品表示の法律改正の前に その1 iPS細胞は、遺伝子組換えの一種
 nirako-dosokai.org/melmaga/shokuiku/shokan47.html

オトナの食育 所感編 第98回(通巻138回)2017/11/10号掲載 
 「ゲノム編集イネ収穫」の記事に思う
  花粉米についての公開セミナーのお知らせ
 https://www.nirako-dosokai.org/melmaga/shokuiku/shokan98.html

オトナの食育 所感編 第116回(通巻158回)2019/10/10号掲載
  ゲノム編集(技術応用)食品、心配し過ぎは問題
  https://www.nirako-dosokai.org/melmaga/shokuiku/shokan116.html

オトナの食育 所感編 第137回(通巻190回)2022/12/10号掲載
   2023年4月から遺伝子組換えに関する任意表示制度改正
  「食品表示の最近の話題」Zoomオンライン学習会のご案内
  https://www.nirako-dosokai.org/melmaga/shokuiku/s137/shokan137.html

オトナの食育 所感編 第138回(通巻191回)2023/1/10号掲載 
  遺伝子組み換え作物等、食糧の安定供給への準備に理解と協力を
  https://www.nirako-dosokai.org/melmaga/shokuiku/shokan138.html



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