オトナの食育 
所感編 第95回(通巻133回)2017/6/10号掲載 千葉悦子(高28)

「夜ご飯」という言葉は、悲しい現実を写す


 私の実母がおります介護施設で、隣の部屋から次の会話が聞こえました。
「○○さん、夜ご飯ですよ」
「エッ?」
「夜ご飯」(大きく、はっきりした発音で)

 若い介護士さんには、耳の悪い高齢者としか思えなかったことでしょうが、私は「夕ご飯」でないと通じないのでは?と思いました。施設の夕食は17時と早く、まだ明るくて「夜」という感じがしませんし、私の年齢以上ですと「夜ご飯」という言葉はなじみがないです。

手持ちの辞書には「夜ご飯」が載っていないので、ネットで「夜ご飯」の辞書検索をすると、<[補説]比較的、近年になってできた語とされる。>とあります。

 学生のレポート等には、夕食の意味で「夜ご飯」という言葉がよくあります。どうやら、若い人を中心に広く使われるようです。学生はバイトで帰りが遅くて、夕食の時刻が遅くなりがち、勤め人も帰宅時刻が遅くなりがちで、夕方ではなく夜に食事をとるようになり、「夜ご飯」という言葉が定着したのだろうと推察されます。そうだとすると、悲しいことです。夜遅い夕食や間食は、体に悪くて肥満になりやすいです。


 私が最近購入した「食行動の科学」という本の「筆者のダイエット体験記:結びにかえて」の部分に、減量の方法の1つとして「午後9時以降に食事をとらないこと」が書かれているし、これは常識と言って良いほどですよね?

 「理想だけ書くのは簡単」という批判もあるでしょうが、科学に基づく理想を時折思い出して、自分や自分の家族の生活を点検するのは大事と思い、書かせて頂きました。かく言う私も、夜遅くに何か食べることはありますけれどね。(笑い)




■主な参考文献等
今田純雄・和田有史編「食行動の科学」朝倉書店 2017
おいしい健康 第3回夕食編 時間栄養学を知ろう

   https://oishi-kenko.com/articles/meals_timenut_dinner



■■オトナの食育 全メニューへ