オトナの食育
所感編 第88回(通巻126回)2016/11/10号掲載 千葉悦子(高28)
カレーこそ減塩! 減塩商品を応援しましょう
減塩の主な方法に「香辛料を上手に使う」があるので、カレーの際にこそ減塩を実行したいものです。市販のルーでなく、香辛料から作れば(参考:オトナの食育 所感編61回2014年3月号「さば缶のスパイシーカレー」)減塩できますが、時間がなくて減塩のルーを使いたい場合があります。そこで、昨年発売されたハウス食品の「ヘルシーオカレー」が選択肢の一つと思います。「ヘルシーオカレー」は、1皿分の食塩相当量が1.4 gで、従来のルーは2 g以上です。WHOは1日5
g未満の食塩を勧告していますから、カレー1皿で2 gを越してはダメです。 このカレールーは、以前、自宅近くのスーパーにありましたが、置かなくなり、ハウス食品のホームページの相談コーナーで販売していそうな店を聞きました。1・2軒目では、既に置いておらず、さらに遠くにあるスーパーでやっと手に入れました。しかも、商品の量は多かったけれど、ひざ下の位置にあり、見つけにくい置き方でした。「日本人の健康に資する食品なのに、冷遇」と残念に思いました。 消費者が、本当に良い商品を買わないことには、良い商品が広まりません。売れないものはお店に置いてもらえないのでしょう。しかも、スーパーのカレーコーナーをしげしげと見て「ルーよりレトルト(具も煮えていて温めるだけでカレーがすぐに食べられる)の方が多い!」と気付きました。定年近い年齢になった家庭科の教員としては、憂います。「そこまで手作りしなくなったのか。手作りすれば、野菜も肉等もたくさん入れられるのに。」と。ルー自体が商品棚に置かれないようになると、減塩のルーまで置けないのかもしれません。 今回、ネットで調べた<『カレーライス』に関するアンケート>は、2008年と古い調査なので、無理もないでしょうが、「市販のカレールウに重視する点」の項目の中に「食塩分」はありませんでした。調査項目にさえ上らないのは、とても残念です。今後は上るようになると理想です。 同窓会のHPですから、出来るだけ公平な立場で書きたく、1企業の商品をお勧めするのは控えたいですが、今回はご容赦頂きたいです。このままでは「減塩ルーは売れない」ので「同業他社が追随しない」とか、「減塩食品の開発の意欲がそがれる」といった悪循環が、日本の社会に根付いてしまうのではないか?と心配になります。杞憂であることを祈ります。 8年間近く食品照射について研究していて、放射線照射殺菌した香辛料と過熱水蒸気殺菌した香辛料とを比較してきました。それらを使ったカレーを作り、違いを確かめました。ぐつぐつ煮るカレーであっても、非加熱殺菌である放射線照射による殺菌の香辛料の方がスパイシーでした。 実は、私自身は「ヘルシーオカレー」よりもっと減塩しても十分美味と感じます。それでも、面倒で実行できないより、1歩ずつ減塩に慣れていくという意味で、まずは市販の減塩ルーを試してはいかがでしょう? 私の論文「放射線照射香辛料に関する官能検査」のお知らせ
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