昨年12月中旬に、三島市へのふるさと納税の返礼品として、非常に大きな段ボール箱入りの「箱根西麓三島野菜セット」が我が家に届きました。白菜、キャベツ、ニンジン、レタス、ほうれん草等、どれも美味でした。たとえば、ロールキャベツを作ったところ、キャベツに甘味があって、これまで何十年間も料理して食べてきた中で一番美味で、何にも増して「ご馳走!」と感じました。なお、ロールキャベツの作り方は、「オトナの食育
第4回2006年4月号」をご覧ください。さらに、レタスも苦味が少なく、食べやすかったです。人参も、確かに甘味があって、食べやすく、また、白菜もえぐみがなくておいしかったです。
ほうれん草をゆでたところ、えぐみが少なく、食べやすかったです。私は、職業上の興味から、ほうれん草の重さの7~10倍の熱湯でゆでては、ゆで水の硝酸濃度を簡易テスターでこれまでに20回程、測定しています。上記ほうれん草のゆで水は25~50 mg/Lの硝酸濃度で、低い方でした。単なる私の感覚だけでなく客観的にも、おいしさの一つの指標で実証できました。
どれもこれも、たった1つあるいは1袋ずつですから、一般論として言うことはできません。また、この時期は、全国的に野菜が大豊作で、市場に出回る野菜も、たいがいどれも品質が良かったですから、箱根西麓三島野菜もいつもより美味だったかもしれません。さらに、新鮮なうちに食べれば、どの野菜もおいしいことでしょう。とはいえ、白菜やにんじんは長く冷蔵庫に入れておいてからも食べましたが、美味と感じました。聞いたり読んだりしていた以上に、既に食べたことのあるメークインだけでなく、他の箱根西麓三島野菜が非常においしいと感じました。
ところで、久松達央氏が著書で書いているように、「有機栽培でなくても、非常においしい野菜がある」ことを実感できました。久松氏自身は有機栽培をなさっていながらそう述べているので、信頼が置けそうと以前から思いましたが、今回、実体験でき、他の人にも知らせようと思いました。さらに、農業コンサルタントの岡本信一氏は「おいしさ」「栄養価」の基本条件として次の5条件をあげています。
① 栽培に適した地域・条件で作られていること
② 旬の物
③ 新鮮なもの
④ 品種
⑤ 栽培方法
加えて、「栽培方法というのは有機栽培や、〇〇農法というものも含んでおり、場合によっては〇〇という資材を使用しているという様な事も含む。(中略)上記の4つの条件を乗り越えて栄養価やおいしさでまさる栽培方法というのは、まったくと言ってよいほどない。簡単にいえば適地適作で旬に作られたおいしく栄養価が高い品種を新鮮な状態で食べることが、栄養価が高く、おいしい農産物を食べることのできる秘訣といえる。
①から④までが同じ条件であると、栽培方法や栽培する農家の腕によって差が出てくるというのが実情である。」と述べています。
この考え方を基にすると、②③④については、他の地域の野菜と違いがあまりないのでしょうが、①こそ、まさに今回私が感動した要因だろうと考えました。
「ふるさと納税に返礼品があるのは、世の中全体として問題だ」という意見もありますし、私も疑問な面があるとは思いますが、「おいしかった!!」という感動をもとに、野菜についての大事な情報もお伝えしたいと願いました。
■引用文献
岡本信一<第3章 日本農業の地平線はどこへ ―農業への基本的誤解を解く―>
シリーズ・いま日本の「農」を問う①「農業問題の基層とはなにか いのちと文化としての農業」
ミネルヴァ書房(2014)
■主な参考文献
久松達央「キレイごとぬきの農業論」新潮新書538 新潮社(2013)
関澤純<これ、食べたらからだにいいの? 食と健康「安全」と「安心」のギャップをうめる>
日本生活協同組合連合会(2010)
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