オトナの食育 
所感編 第68回(通巻102回)2014/10/10号掲載 千葉悦子(高28)

開封済み・室温保存の小麦粉製品の廃棄

 

 良い季節となりました。まだ夏に使った物の片づけが残っている場合は、早めに対処したいものです。

 今月のワンポイントアドバイスは、開封済みで冷蔵庫に入れておかなかった小麦粉やそのミックス粉の廃棄です。ダニが大繁殖している可能性が高く、重篤なアレルギーを発症する場合があるからです。加熱料理をしても、ダニアレルギー症状を防ぐことはできません。

 ダニは、体調0.30.5mmと小さいので、開封したわずかな隙間から侵入し、常温ですと短期間で繁殖します。特に、お好み焼き粉やホットケーキミックス粉のように栄養豊富な原料が入っていると、小麦粉より繁殖しやすいです。白っぽい粉物の中に、同じような色の小さなダニがいても、見えないそうです。

 一般的に冷蔵庫の過信は禁物ですが、ダニは冷蔵庫のような低温では繁殖できないので、使い切れなかった小麦粉やそのミックス粉を密閉容器に入れてから冷蔵庫に保存するのは、意味が大きいです。

 これは、今年94日開催、食品安全委員会の講座で、石井克枝先生(千葉大教授・食品安全委員会委員)のお話で拝聴したことです。

 冷蔵庫に入れたいものは他にもたくさんあり、詰め込み過ぎを避けるために、少人数家庭で小麦粉をたくさん使わない場合、割高であっても500g程度の小袋を購入する方が良いと考えます。各家庭や個人の生活の様子に合わせて、商品を選び、適切な保管をしたいと改めて思います。

 なお、猛暑でした夏が過ぎ、「食中毒は、もう大丈夫だろう」と気を抜かないようにしましょう。10月は気が緩むことにより、案外、食中毒が発生しやすいです。


主な参考文献等
一色賢司編「新スタンダード栄養・食物シリーズ8 食品衛生学」東京化学同人(2014
食品安全委員会 食品を科学する―リスクアナリシス(分析)連続講座 
 平成2694日資料 石井克枝 「冷蔵庫に入れれば大丈夫?~食品の保存を理解する~」
 http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20140904ik1

東京都保険福祉局「食品衛生の窓」東京都の食品安全情報サイト
 「開封後の粉製品は早めの消費を!~粉製品に繁殖したダニによる即時型アレルギー」平成248
 http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/anzen_info/others/dani/
NHK
ためしてガッテン 2013529日放送「カビ・水虫・ダニ まとめてやっつけちゃうよSP
 http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20130529.html

 


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