オトナの食育 

所感編 第159回(通巻218回)2025/12/10号掲載 千葉悦子(高28)

高齢になるにつれ、より栄養摂取にご注意を



 10月号では「たんぱく質も十分とりたいものと」書きましたが、他の栄養素も高齢になると、十分とる必要があります。『応用栄養学』に次の部分があります。
(重要部分を赤字にしたのは千葉です。)

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 高齢者では、骨吸収が骨形成より盛んであるため、骨量減少を防ぐために十分なカルシウム摂取が必要である。高齢者では年0.21%の割合でカルシウム吸収率が低下するため、その欠乏には注意する。

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 体のあちこちが痛くなったり、毎日は勤務先に行かなくなったりすると、運動量が減りがちで、食欲が落ちるかもしれません。食事の量が減れば、各栄養素の摂取量も減ることになります。また、高齢者は、消化・吸収率が低下しますから、もしも、食事が以前と同様であったとしても、栄養素の吸収量が低下していることになります。

 私自身がこのところ上記のことを体感しています。減った体重が増えなくて困りますが、ストレッチ等を少しでもすると、食欲が増すのも確かです。健康の3要素「食事・運動・睡眠(休養)」を見直す毎日です。

ただし、高齢者といっても年齢の幅が広いですし、個人差が大きいです。さらに、 高齢者は何らかの疾患やその手前の問題を持ちがちなので、ご自分の課題に合った食生活にしたいものです。たとえば、体重が多過ぎて膝が痛むなら、エネルギー(カロリー)を減らしつつ、たんぱく質・無機質・ビタミンは十分とれるよう、工夫が必要です。

なお、栄養素の過剰摂取の問題もあり得るので、医師や管理栄養士に従う必要もあるでしょう。たとえば、たんぱく質を十分とるのは必要ですが、「過度のタンパク質負荷は腎臓の負担になり、また、尿中カルシウムの排泄を促進する」と『応用栄養学』の「加齢と栄養素」の部分にあります。

また、健康食品の安易な摂取で、栄養素の過剰摂取にならないよう、冷静になることもお勧めします。

師走なので短めに書くことから、高齢者の栄養摂取に関して、一部分しか説明していませんが、「高齢者は、消化・吸収率が低下」という大事な点は伝わるのではないかと期待いたします。



■主な参考文献

 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書

  https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html

  上記の中のⅡ各論 2対象特性 高齢者 001316473.pdf

株式会社 南江堂(2024.12)日本人の食事摂取基準(2025年版)の概要  
   S9784524231454.pdf

 公益財団法人長寿科学振興財団

 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/koureisha-shokuji/taberu-nouryoku.html


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