オトナの食育 

所感編 第154回(通巻209回)2025/2/10号掲載 千葉悦子(高28)

「PFASの健康リスクは小さい」のお知らせ

 

 家族に幼い子、とりわけ乳児や妊婦がいると、危険情報にアンテナを高くしがち
でしょう。しかし、小さなリスクに振り回されて、より大きな諸々のリスクを忘れてはなりません。


 PFASについて、1月末に、NHKテレビで「平均で米基準値の7.5倍超」などというニュースがあり、怖く感じたかもしれません。しかし、 「PFASの健康リスクは小さい 誤解続く環境汚染と健康リスクの違い―最新の科学と報道の乖離」というネット上の文章をお読みになると、安心できます。

 本年128日配信NHKニュースの「PFASのうち、WHO=世界保健機関のがん研究機関が「発がん性がある」としているPFOAの、血液中の濃度が最も高かった人は、1ミリリットルあたり718.8ナノグラムでした」の部分は、予備知識がないと大きなリスクに感じそうです。

WHO=世界保健機関のがん研究機関」と表現すると、WHOなので全面的に信頼を寄せがちでしょう。しかし、畝山智香子氏も著書等で説明なさるように、この機関はIARCとも称され、発がん性のハザード(有害性)があるかないかを述べているだけで、リスク(ハザードだけではなく暴露の程度も含める)は説明しないです。よって、IARC の発表により実生活の対策をする必要はないと言えるでしょう。IARCInternational Agency for Research on CancerJECFAFAO/WHO Joint Expert Committee on Food Additives)との発がんに関する見解が異なることが散見されます。JECFAは暴露量も考慮するからです。それで、この2つの機関の名前を覚えておくと、適切に情報を捉えられます。

 なお、今回紹介した文章の冒頭に書かれているEPAは、FTAに比べてそれほど耳にしないかもしれません。EPA(経済連携協定)は、外務省HPに次の説明があります。

EPA:貿易の自由化に加え、投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルール作り、様々な分野での協力の要素等を含む、幅広い経済関係の強化を目的とする協定

 安全情報は売れないので、商業ベースに乗りにくいからこそ、同窓会HPに載せようと思いました。長く書くと誰も読まなくなるので、切り上げますが、ぜひ、紹介した文章をお読みください。


■引用文献等

NHK 岡山県 「岡山 吉備中央町 PFAS検出で住民などの血液検査結果を公表
    平均で米基準値の7.5倍超 」 2025128

    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250128/k10014706071000.html


外務省HP 我が国の経済連協定(EPA/FTA)等の取組|外務省


■主な参考文献等

唐木英明(東京大学名誉教授)
 【PFASの健康リスクは小さい】
 誤解続く環境汚染と健康リスクの違い―最新の科学と報道の乖離 2025123


  https://wedge.ismedia.jp/articles/-/36411?page=4


畝山智香子 「食品添加物」 小島正美・山崎毅 『食の安全の落とし穴』
        女子栄養大学出版部(2024



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