5月号の続きとして、料理というほどでなく簡単に、食材から栄養を摂る工夫を書きます。
加熱しなくてもビタミン、無機質、食物繊維等をとれる果物を忘れずにとりましょう。
親元を離れた学生は「果物は高くて、なかなか買えない。」と言いがちなので、「旬で比較的安価な果物を召し上がれ」と私は話します。
妻に先立たれた男性は、ご自分の年金等があるでしょうから、健康のために季節の果物を購入するのをお勧めします。
5月まではイチゴを洗うだけで食べられました。今月からは「キウイフルーツ」や「すもも」なら、一人分を比較的手頃な価格で買えます。包丁で皮をむくことさえハードルが高いなら、キウイをよく洗って半分に切り、スプーンですくって召し上がってはいかがでしょう?キウイは特に、ビタミンCが豊富です。
キウイが硬い場合は、追熟で軟らかくし、甘くなってからが食べ頃です。早く追熟させたいなら室温で、バナナ、あるいは、その皮や軸と一緒に袋に入れておきます。バナナがない場合は、エチレンガスが出ればよいので、既に追熟したキウイやリンゴやメロン等でも同様の効果があるはずですが、この時期の安価な果物とすると、バナナが手頃でしょう。
スモモ・キウイ・ブルーベリー・バナナ等は鉄も含むので、肉や卵以外の食材から鉄を少しずつとれるという利点もあります。スモモはよく洗い、歯が丈夫なら皮のまま召し上がると、抗酸化作用があるアントシアニンも含まれるので、美容と健康に良いでしょう。もちろん、ブルーベリーにもアントシアニンが含まれます。
電子レンジの利用で野菜も十分食べましょう
5月号に書きましたように,500ワットの場合、食品100 g当り3分程度。
出力に合わせた加熱時間にします。
名残の時期でしょうが、空豆も電子レンジでうまく加熱できました。一人分といった分量が少ない場合は、省エネ・時短になり、電子レンジの活用がお勧めです。ただし、空豆の皮が破裂しないよう、あらかじめ、皮に包丁で切れ目を少し入れます。食べる前に皮をむく際、切れ目があるとむきやすいので、「急がば回れ」で、面倒がらずに行いましょう。なお、空豆は鉄が豊富です。
夏野菜のピーマンは、よく洗ってから縦半分に切り、種を取って、耐熱皿に置いて加熱してください。種は食べても問題ないとはいえ、ヘタの辺りの汚れが心配なので、種の辺りも取るのがお勧めです。なお、緑黄色野菜を十分とるという意味で、1回の食事で2つ以上が理想です。
5月号のじゃがいもの食べ方と同様、食塩を摂り過ぎない様に、胡椒等の香辛料やオリーブオイル少しを使うといった工夫をなさってください。主食がご飯の場合は、醤油少しと胡椒といった組合わせも美味です。
なお、赤ピーマンやパプリカは、緑色のピーマンより栄養豊富です。
6月1日開催、関東地区会同窓会の食事で気付いたこと
アルカナ東京の立食で、今年は、茶色いソースが下にあり、パイナップルの輪切りや切った赤いパプリカの上に、少し焦げ目の付いた鶏肉が乗るという色どりの良い料理がありました。しかし、1回目に取りに行くと、鶏肉がなく、2回目は、鶏肉がわずかに残り、大量のパイナップルとパプリカが残っていました。
お召し物が汚れるのを恐れたのかもしれませんが、肉ばかりではなく、野菜や果物も召し上がってほしいです。特に、アルカナ東京の野菜料理はたいへん美味なので、今後はトライなさるのをお勧めします。
■主な参考文献等
吉田企世子(女子栄養大学名誉教授)監修
『春夏秋冬 おいしいクスリ 旬の野菜の栄養辞典』エクスナレッジ(2016)
本間清一・村田容常編
『食品加工貯蔵学』 東京化学同人(2016)
『8訂 食品成分表 2021』女子栄養大学出版部(2021)
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