オトナの食育 
所感編 第105回(通巻145回)2018/7/10号掲載 千葉悦子(高28)

スポーツ観戦しながらの飲食に注意

     
     サッカーのワールドカップが始まる頃、新聞に「応援フェア おつまみ片手に応援しよう!!」というスーパーマーケットのチラシが入りました。ビールをはじめとしたアルコール類、清涼飲料水、鶏の唐揚げ、フランク盛り合わせ、焼き豚、たこ焼き、焼うどん、餃子、焼売、ピザ、チーズ、スナック菓子、チョコレート菓子、アイス、ゆでてある枝豆等が載っていました。どれも調理なしですぐ食べられて、おいしそうです。商売をする側にとって、商機をつかむことは大切でしょうし、そういう意味のお手本となる宣伝と思います。

 しかし、消費者とか、生活者の視点では、塩や油あるいは砂糖のとり過ぎになるのでは?と不安です。たとえば、フランクの盛り合わせは、3名以上で食べるなら問題ない量ですが、1人で食べるとしたら多いと思いました。食品成分表によると、フランクフルトソーセージやウインナーソーセージの食塩相当量は、100 g1.9 gです。しかも、これより多い商品もあるようです。チラシの写真は大きく見せているかもしれませんが、1100 gくらいでしょう。また、市販のゆでた枝豆が薄味とは思えませんし、どの惣菜も同様でしょう。

 前回の朝ドラ「わろてんか」の主人公が寄席の増収を目指し「冷やし飴」といった飲料がもっと売れるようにと、塩味の濃い煎餅等の販売を提案し、姑に褒められるシーンがありました。売り手と買い手の利害が相反する象徴的な例と私には思えました。

日本の食事摂取基準では1日当たり男性8.0 g、女性7.0 g未満の食塩ということで、1食当たり男性でも2.6 g程度までなのに、フランク1盛だけで大半を摂取することになります。あれこれ他のおかずも食べたら、食塩の過剰摂取です。ただし、他のおかずを食べないわけにはいきません。肉ばかりでなく、野菜や豆やいもなども食べる方が微量栄養素や食物繊維等も十分摂れるので、そういう種類の食品は組み合わせて食べる方が良いです。

 油で調理したものや、肉のように素材に脂質の多い食品はおいしいですが、脂質の過剰摂取が問題となっている現在、よほど気を付けないと理想的な量にならないです。

 アルコールをとり過ぎると抑制が外れて、つい、おかずやおつまみもたくさん食べがちでしょう。たくさん食べれば、エネルギーのとり過ぎで太るという問題が生じるだけでなく、上記のようなメニューですと、塩や油の摂り過ぎも問題です。

 各自に合うスポーツをすることは健康的でしょうが、スポーツ観戦で量や質を無視した飲食にならないように願います。宣伝や商魂に流されるだけになりませんように。

■主な参考文献
香川芳子監修「七訂 食品成分表2016」女子栄養大学出版部(2016)

    
     

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