オトナの食育 
所感編 第93回(通巻131回)2017/4/10号掲載 千葉悦子(高28)

国産柑橘類を買いやすい状況にして、食を楽しみたい



 今年2月下旬、河津町の河津桜を初めて見に行きました。新幹線でなく、東海道本線に乗るのは久し振りでしたし、熱海から先に行くのも何十年ぶりでした。小田原のあたりから目的地まで、車窓から花や海だけでなく、柑橘類の実りを楽しめました。途中、稲取で降りて、つるし雛を見ながら海岸まで行くと、その時期の柑橘類が格安で販売されていて、美味でした。

 河津桜まつりは平日でも人が多く、ジューススタンドが何軒かあり、並んで買うほど人気でした。目の前で、手動のジュース絞り機を使って、好みの柑橘類のジュースを搾ってくださり、1300円(ミックス)から500円位でした。ミックスと言っても、他の果物を混ぜるのではなく、柑橘類だけでした。飲んでみると、確かにおいしかったです。これぞ英語のjuiceと満足。

 この体験から、小田原や伊豆をはじめとする国産の柑橘類が店頭に少ないことを、東京の自宅近くのスーパーマーケットに行っては確認しています。たくさん置いてあるのは、カルフォルニア等のオレンジやグレープフルーツです。

 3月後半には、知人が西浦の黄金柑(ゴールデンオレンジ)を送ってくださり、これも美味でした。某生協でも、神奈川のゴールデンオレンジなら買えるので、食べたことがあります。どちらも良い香りで美味です。ただし、残念なことに、生協以外では、ほとんど見たことがありません。

 ネットの「果物情報サイト」によると、柑橘類の輸入量が輸出量に比べて桁違いに多いことが分かります。さらに、1 ㎏当たりの価格差が大きいことも見て取れますが、それでも何とか、国産の柑橘類を国内で販売できないのでしょうか?消費者の一人としては、近くのスーパーで買える状況を望みます。
店頭にあれば、香りも味も良く、季節限定の種類を楽しめますから、買う人がいそうと思います。

 私は、ここ10年余り「食の安全」に関心を持ち、輸入品より国産が安全とは限らないことや、「地産地消」がどのような場合も最善とは限らないことも存じています。しかし、そういった観点とは別に、栄養や機能性成分豊富な柑橘類を大事にするなどして、各地域の食文化の良い点を継承するとか、食の多様性を大事にしながら楽しむといったことも大切にしたいです。

 「販路を広げる」という表現を見かけるので、それは難しいのでしょうね。私は流通とかについて素人で、どうしたらよいか?については分かりませんが、この様なことを考える、都市に住む消費者がいる、ということを知らせたいと思いました。

        
 黄金柑は8つ割にカットして食べるのがおススメ♪ (ドラえもん)

■主な参考文献等

久保田紀久枝・森光康次郎編「新スタンダード栄養・食物シリーズ5 食品学―食品成分と機能性―」東京化学同人(2016
農産魚村文化協会編「地域食材大百科 第3巻 果物・木の実・ハーブ」農文協(2010
果物情報サイト 果物ナビ カンキツ類のランキング
http://www.kudamononavi.com/graph/category/ca=14


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