オトナの食育 
所感編 第106回(通巻146回)2018/8/10号掲載 千葉悦子(高28)

暑い日に、冷たい卵豆腐

  

     
 

 この夏は記録的猛暑が続きます。このようなときに、さっぱりしていながら栄養豊富、身近な材料で作れるものとして、卵豆腐はいかがでしょう?

 このまま猛暑が続くと卵価が上がる虞はありますが、このところ卵の供給量が多く、生産者が気の毒なほど安価でしたので、思いつきました。

何十年も前なので、どの店か忘れましたが、冷やした卵豆腐と共にアスパラガス(卵豆腐の中に入っていたと記憶)と蟹の身を組み合わせ、マヨネーズを添えたものを食べ、絶妙な組み合わせと感動しました。アスパラガスと蟹は、缶詰でもOK。買い物に行く時間がない、あるいは、猛暑や台風で出かけられない場合にも役立ちます。また、缶詰のアスパラガスは非常に柔らかいので、「親知らずが生えてきて、よく噛めない」などという際にうってつけです。

 今回は、アスパラガスは生の緑色の物が安価でしたし、彩りも良いのでそれを使い、蟹は買い置きがなかったので、赤いものとして人参を用いました。涼しい秋を待つ気持ちを込めて、菊の型で抜きました。日常食としては、これもありでしょう。

 材料分量は、調理学の世界で非常に頼りにされる「調理と理論」と同じです。作り方は、「面倒は省略・暑さは出来るだけ避ける」という手抜きで省資源・省エネの方法です。
 

 
  材料分量(4人分)

卵豆腐

 卵(Mサイズ)4個 200 g (200 mL)

 だし汁(昆布と鰹節で取るのがお勧め)200 mL  卵と同量
      2 g (卵+だし)の0.5%
     市販のだしは塩が含まれる物が多いので、その分減らす。
 しょうゆ  2 mL (卵+だし)の0.5%
 みりん   16 mL(大さじ11 mL)(卵+だし)の4 %

添え物
 アスパラガス 適量・・・栄養的には多めが良いが、「前盛り」なら、
               少なめの方が見栄えが良い。
 人参     少々・・・同上
 マヨネーズ  適量

卵豆腐の作り方

1.   だし汁を冷ましておく。

2.   卵を泡立てないように溶き、だし汁と調味料を加える。
丁寧に作る場合は裏ごしでこすが、面倒な場合はそのままにする。

3.   流し箱またはそれに代わるもの(茶碗蒸し用の茶わんに入れる方法も)に2の卵液を流し入れ、
表面の泡を除く。
流し箱の端の泡を除き切るのが面倒な場合は、そのままにして気にしないか、
固まってから切り落とす方法もある。

4.   基本の加熱方法は「8590℃で約1520分蒸す」ですが、次の方法も。
 鍋とふたがぴったりつき、熱容量が大きい、流し箱が十分入る大きめの鍋では、
足の付いたすのこ状の物を置き、その下まで水を入れ、ふたをして沸騰させる。
やけどしないように注意しながら、3の流し箱を入れ(写真)、ふたをする。

コンロに置いたまま消火し、15分間放置。ただし、分量が少ない場合は、時間をやや短く調節する。
 なお、我が家のコンロはスイッチを切っても余熱の続くタイプです。
余熱のないIHの場合は、もう少し長く加熱する方がよいでしょう

 卵液の表面がなめらかになり、串を刺しても濁り汁が出なければ、完全に固まったと考えてよい。
固まっていなかったら、加熱し過ぎて「す」が立たないよう様子を時々見ながら、加熱を続ける。
ちょうど良い加熱条件を見つけられれば、次回からは省エネで楽に作れる。

5.   容器から取り出し、適宜に切って器に盛り、添え物もあれば盛る。
夏は冷やした卵豆腐が食べやすいでしょう。冷蔵庫に入れれば、翌日まで持ちます。
透明のガラスの器なら、涼し気。ご飯にもそうめんにも合う。


添え物の作り方
・生のアスパラガスは塩ゆでにする。
・人参は季節に合わせた抜型で抜き、2番だし(1番だしを取った後のだしがらで、水から煮だす)と
 みりんや砂糖を少し、あるいは少量の塩を入れて煮る。人参はなくてもかまわない。

 
   卵のコレステロールを心配する方へ

 医師や管理栄養士から、厳格な指示を受けている場合を除き、卵のコレステロールを心配し過ぎず、
良質なたんぱく質・鉄・亜鉛・カルシウムをはじめ、栄養豊富な卵も食べることは重要です。
「データ栄養学のすすめ」の「卵 血中コレステロールにとっては要注意食品か?」の結論を抜き書きます。
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どのくらいの確からしさで心筋梗塞を予防したいかによります。

 コレステロールをたくさん食べれば血中コレステロールは上がります。ところが、習慣的な卵の摂取量と
心筋梗塞との間にはほとんど関連が見られず、1日当たり1個半くらいまでなら心配はなさそうです。
(後略)
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 暑いからと、そうめんと麺つゆと、わずかな薬味だけという食事より、卵料理や野菜料理も組み合わせる方
が健康的なのは明らかです。気を付けて手作りすれば減塩も出来ますから、作ってみませんか?



■引用文献
佐々木敏<佐々木敏の データ栄養学のすすめ―氾濫し混乱する「食と健康」の情報を整理する>(2018)女子栄養大学出版部

■主な参考文献等
山崎清子、島田キミエ、渋川祥子、下村道子、市川朝子、杉山久仁子著「New 調理と理論」同文書院 (2012)
日本農業新聞201854日「鶏卵価格過去10年で最低水準 供給過多、低迷長期化もhttps://www.agrinews.co.jp/p43979.html
JA全農たまご株式会社「過去の卵相場」http://www.jz-tamago.co.jp/a02_1.php

 

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