オトナの食育 

資料編 第29回(通巻184回)2022/4/10号掲載 千葉悦子(高28)

もしもがんを予防できる野菜があったら 「遺伝子組み換え食品」が世界を救う』のご紹介

 


 山根精一郎氏が本年2月出版なさった 『 もしもがんを予防できる野菜があったら 「遺伝子組み換え食品」が世界を救う  の紹介です。遺伝子組換え技術の利点をご存じなく、その技術に危惧を抱く人に、特にお勧めします。難しい専門用語はあまり使わず分かりやすいので、読み物という感じで読み進められるでしょう。

 第1章は「遺伝子組み換え食品に対する8つの誤解」として、各誤解について説明しています。誤解の1つに「自然ではない感じがして、なんとなく気持ち悪い?」があり、私も20年近く前、文科省後援の再教育講座で学ぶまでは、そういう気持ちでした。しかし、作物は人為的に交配を繰り返した物で、仮に人が交配させようとしなければ、なかなか出来なかったと考えると、「自然なものとは、どういうものか?」という疑問が生れました。そもそも農業自体も本当の自然ではないです。私自身、学ぶうちに、自然の定義は難しく、自分も含めて多くの人が、なんとなく自然とイメージするに過ぎないと考えるようになりました。

 本書に次の部分があり、ウクライナ関係の問題が長期化する今、日本に住む私たちにとっての「食料安全保障」について、以前より多くの人が本気で考えられるのではないか?と思います。


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 「遺伝子組み換え技術=悪」だとする根拠なき誤解が蔓延することによって、日本の食料安全保障上、不利な選択をしてしまうことだけは避けなければなりません。日本は国土が限られているうえ、農家さんの平均年齢が67.8歳といった状況の中で、将来的には、GM作物により一層頼らなければならないのは明白だからです。

※千葉注:GMとはgenetically modified の略で、遺伝子組換え

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 韮高の同窓生は、草取りの経験のある人が多いかと存じますので、たとえば農業での除草作業の大変さをよくご理解くださると思います。労力の割に収入が少ないなら、農業を継いだり、起業したりする人はいないことでしょう。生業として農業が成立するには、いろいろな技術も必要で、その一つが遺伝子組換えと考えます。

 消費者の立場としても「食料安全保障」を考慮し、新技術を毛嫌いせずに知る努力をして、十分安全性が高いと納得しながら新技術も取り入れたいものです。






■引用文献

山根精一郎
  『もしもがんを予防できる野菜があったら 「遺伝子組み換え食品」が世界を救う』
     (20222月)幻冬舎



■参考文献等

日本経済新聞2022331日朝刊
 <小麦高騰 迫る「夏の崖」>「ウクライナ・ロシアで収穫減」「世界経済、下押し要因に」

日本経済新聞202241日朝刊
 「食品値上げ 店頭波及9割」「主要品目調査 物流・原料高で」「4月以降も加速」



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