オトナの食育
資料編 第23回(通巻135回)2017/8/10号掲載 千葉悦子(高28)
食品や食品中の化学物質の量に注意
「効かない健康食品 危ない自然・天然」のお薦め
先月、2015年8月に1歳児が食塩中毒で亡くなった事件についての報道がありました。朝日新聞2017年7月12日朝刊によると「1歳児ならば小さじ1杯程度(5~6グラム)ほどの食塩を摂取すると、死に至る恐れがある」 ここ10年余りの食品安全委員会でのモニターによる意識調査では、食品の安全性に関して正しい認識になってきたとはいえ、まだ、専門家が捉えるリスクの大きさとは異なったイメージを持っている人が少なくないです。また、私が小学校教員免許取得用の家庭科の科目で教えてきて、同様の傾向を感じます。しかも、私の講義を受ける前の学生は、食塩の過剰摂取に対しての警戒心が非常に不足しています。 上記の事件は特殊と思いたいですが、健康についての最低限の知識や知恵として、身近な食品の量について注意することを再確認したいものです。 「敵に塩を送る」という言い回しがあるように、塩(主成分は塩化ナトリウム)は大事ですし、ナトリウムは必要です。しかし、日常の食事で不足する可能性はきわめて低いです。成人に必要な量は、食塩に換算して1日に1.5 g程度と非常に少ないからです。たとえば、家庭科の教科書で一般的な0.8 %食塩濃度のみそ汁(私の夫は、この濃度では物足りないです)を150 mL飲むと、1.2 gの食塩を摂取することになります。ゆえに、食塩不足でなく、過剰摂取について心配しましょう。 「疾病の成り立ち」によると、「ナトリウムはおもに食塩として食事から摂取される。食塩の過剰摂取は高血圧の原因になる。ナトリウムには水分を保持する作用があるため、浮腫をみることもある」とあります。また、「応用栄養学」によると、がんとの関連がおそらく確実とWHOの2003年の報告で判定された項目の中に「塩蔵品および食塩で胃がんのリスクが高くなること」もあります。要するに、食塩を多めにとることは、じわじわと健康をむしばみがちです。 猛暑が続き汗をかきますが、高温下で重労働や激しいスポーツをしない限り、いつもより多く塩を摂る必要はないとされます。お店に「熱中症対策」と書いた塩飴や飲み物が売られますが、一般的にはお勧めできません。 ただし、暑いからと冷たいものを飲み過ぎ、汗をかいて冷房で冷えて下痢などという場合は、スポーツ飲料を薄めて飲むとか、野菜スープを飲むなどして、ナトリウムも含めて電解質と表現されることもある無機質(ミネラル)を摂る必要はあるでしょう。 ご自分の状況をよく考え、新しい知見を得て、健康に注意した食生活をしたいものです。そこでお勧めしたい本は、 夏には同期会・クラス会等で出掛ける機会があることでしょう。そういう時にでも、携帯に便利なこの新書をぜひお読みください。 ■主な参考文献等 内閣府食品安全委員会 食品安全モニター課題報告 |