韮山高校の歴史とその周辺 
第26話


韮高図書館
      
桜井祥行(高32)


60年前の韮高図書館

 

 6月になると龍城際が終って文化部の生徒たちは受験勉強に入ります。運動部も同様で県大会が終わる時期で、場合によっては東海大会もある月ですが、大方は受験体制に組み込まれていく時期かと思います。
 これまでと違って急に勉強時間が増えるため、自宅勉強部屋だけでなく図書館を利用することが多くなってきます。小生の時代はたまに放課後図書室で勉強をしたりしました。

 韮山高校図書館については既に「有慶館の歴史」で述べたように、大正〜昭和戦前は有慶館の中に図書室がありました。それが昭和286月7日に本館と共に新たに図書館が落成したのです。今から60年前のことになります。

 この図書館の使用規定序文には次のようにあります。

  本校図書館は学校教育並びに地方文化向上のため、本校職員、生徒、韮山村々民に対して勉学研究調査の手段を提供する目的を以て設備されている。
 さらに第一条には、
 本校教職員、生徒、韮山村々民及び特に許可を得たものは本館所蔵の資料とその設備を利用することができる。
 とあります。学校図書館法が施行されるのは昭和29年4月からで、この第3条に「学校には、学校図書館を設けなければならない」と謳いました。韮山高校では既にその1年前に設置し、しかも地域住民への利活用という画期的な試みがなされたのです。先見の明だけではない、地域と共に存在する韮山高校の姿勢がみえます。

 やがて校舎管理棟が創立100周年に併せて昭和48年に竣工すると、現在の図書室に蔵書・書籍等が移管され、ここで読書や学習に利用されるようになりました。これとてもう40年の歴史を刻んでいます。

 近年は志龍講堂2階に自習室が設けられ、ここでも生徒たちが勉強できるようになっています。おまけに1階はカフェテリアになっていますから、素晴らしい環境下にあるといえるでしょう。

 東大合格者何名、有名私大合格者何名という週刊誌的な進学目標が喧伝されますが、将来に向けての貴重な人材育成の空間を大切にしていきたいものです。

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