韮山高校の歴史とその周辺
 
第22話 

  有慶館の歴史
 
     
      桜井祥行(高32)



 
 現在の有慶館が建てられたのは昭和53年(197810のことですから、今から34年ほど前になります。実はこれより前、大正4年(1915に最初の旧有慶館が建てられておりますので100年近い歴史をもっています。

 旧有慶館は1階が図書館(室)、2階が生徒集会場兼収容娯楽室ということでしたから今日の志龍講堂に近い存在であったのかもしれません。

 重要なことはこの図書館になります。実は韮山高校の図書館は田方郡で最初に設置されたものだからです。これは『田方郡誌』に「明治三十七八年戦役戦捷紀念図書室を以て嚆矢となす」と記載されており、地域に根ざした図書館教育ということで、旧制韮山中学校時代の明治39年(1906)に創設されました。このことを受けて田方郡下の小学校では大正時代に続々と図書室が設置されるようになります。例えば韮山小学校にできた図書室は村立韮山文庫と呼ばれました。

 旧有慶館大正天皇即位事業の一つとして、積立金や寄付金による受益者負担で建てられ、生徒たちに利活用されていきます。そして昭和44年(1969)まで旧有慶館は存在したといいます。野中良久(18回卒)「地域に開かれた本校図書館」『龍城論叢第24号』には、開学80周年記念に昭和28年(1953)に図書館を建てたとあります。これも昭和29年の学校図書館法に先駆けており、やはり当時韮山村民にも開放した図書館であったことが謳われております。

 この図書館が建てられたため、旧有慶館の図書館は会議室等の利用に代わり、生活館としての機能をもつ現在の有慶館に近い存在となっていきました。

 今日、様々な部活動が合宿等に利用したり、同窓会の集いが行われていますが、歴史ある建物であることを知っていただければと思います。ちなみに小生は在学中に部活動合宿利用したのは、2年次夏休みはプール横にあった合宿所であり、2年次から3年次にかけての春休みはまだ新築間もないこの有慶館でした。


 
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