「韮山塾について」
                   小野啓一(高12回)

T.設立に至るまでの考え

 韮山高校12回の卒業生を中心に昨年「韮山塾」プロジェクトを立ち上げました。
私は大学を卒業してから定年を迎えるまで高等学校の教師をしてきました。
教育に携わっ たものが、その経験で得たひとつの結論が「韮山塾」の設立でした。
そこに至るまでの気持ちは次のようなものでした。

1.人生には出会いが大切である。
出会いは人との出会いだけに限らず、仕事や歴史風土そして文化芸術への出会いも大切で、 その機会を青少年の時期にどれだけあったかが、将来の生き方に大きな影響をおよぼすも のです。

2.学校で得た知識の定着は学校外の学びの場で完成する。
学校で得られた知識は荒削りな知識である。この荒削りな知識を精錬する場は学校以外の ところでもおこなわれることが大切です。昔は学校でならった知識を実地に試す場面がた くさん用意されていました。たとえば子供同士の遊びや大人の助言、早く社会に出た仲間 との交流、地域社会の中での役割の分担などであるが、今その場が失われています。 
学校教育ではその一翼を担うべく「総合学習」が考え出されてきました。しかし知識の量、判断力の未熟、時間的制約から学校で実りある総合学習を実践することは難しと思われま す。

3.共生社会は地方からの再構築していかなければならない。
交通機関やメディアの発展でグローバル化は必至であるが、その流れに正しく対処してい く前提条件として、中央の真似事ではない地域の共生社会を再構築していくことが求めら れている。そのためには現状を見据え、地域の発展に寄与できる人々を育ていくことが必 要となっている。各界の実績のある人に直接ふれ、討論することで、この課題に答えるこ とができる。

4.少人数教育を試みる。
いろいろな課題を整理し、議論しともに学びあうためには少人数でなけらばならない。 生徒と講師がお互いに意見を出し合い、討論していき、自分の意見をまとめ発表できるよ うな場が必要となる。そのためにいろいろな形式を取りれる。たとえば講演会、討論会、 懇談会、交流会、フィールドワーク、ワークショップなど。そしてひとつのテーマに十分 時間をとっていきたい。

5.講師は広く各界の実績のある人にお願いする。
幸いにして、韮山高校の卒業生は多方面で活躍をしています。そして三島田方地区ひい ては伊豆という地域に大きな愛着をもっております。その方々から理系、文系のバラン スをとってボランティアでお願いする。ともに学ぶという考えから講師というよりは話 題提供者として参加してもらう。

6.運営資金は有志の寄付でまかなう  
韮山塾基金(仮称)を設立。趣旨に賛同する個人の寄付および団体企業の協賛寄付を募 る。

U.実際に行って
 
 私の気持ちはは少し気負しすぎた内容かもしれませんが、この考えをもとに もっと気楽に「話したい先輩がいて、その話を聞きたい高校生と対話をする場」を作っていこうということで、12回の卒業生を中心に前後約10年間の卒業生から協力いただき、「韮山塾」を発足することができました。
なお「韮山塾」という名前も、この協力 してくれた仲間たちからの発案です。 
 構想から約1年経て、第1回韮山塾を2004年8月27日,28日に韮山高校の教室 をお借りして行うことができました。
第1回の話題提供者(スピーカーと呼んでいます)は4人の方でテーマ次のとおりです。

 1.「いろいろな出会い」 鈴木久雄(韮山高校10回卒)(横浜ゴム株式会社副社長)
 2.「私の映画人生」   山下暉人(韮山高校13回卒)(映像プロデュ-サ 小学館)
 3.「実験ってなんだ」  松村昭作(韮山高校12回卒(武蔵工大教授)
 4.「コンピュータで出来ること,出来ないこと」五味幹常
    (韮山高校12回卒)(元日本 IBM 潟fジタルスタッフ代表取締役)  

       
  
 参加してくれた生徒は韮山高校の生徒6名でしたが、ほかに傍聴者として韮高の先生や 卒業生やそのご家族が約30名ほどでした。
スピーカーの方々はOHPやパソコンソフト(パワーポイント)を駆使して、熱をもっ て生徒に気持ちを伝え、参加生徒や傍聴の方々も食い入るように聞いていました。
夏休みの終わりの時期ということや部活との競合があって参加生徒は残念ながら少数で した。また講演会や授業とは違って円陣形式で、しかも両隣があまり付き合いのない生徒 同士で戸惑いのため期待した議論には発展しませんでしたが、出会いを作ったということ では成功したと考えてます。  
後のアンケートでは「授業とは違った内容で面白かった」、「興味ある内容でよかった」 とに答えてくれました。
 教育現場や企業に携わる人たちから「今の若者は指示をしなければ何もしない」「自ら 行動を起こさない」という話を耳にし始めてから久しくなります。生徒たちの行動を見て いるとその片鱗はうかがえるのですが、強制ではなく自らの意志で参加していくことの大切さを知ってもらうことも「韮山塾」の課題として気張らずに続けていきたいと思ってい ます。

V.これからの予定

2回目は2005年1月16日(日) 韮山高校 有慶館をお借りして、次のテーマとス ピーカーで行います。

 1.「宇宙開発 過去・現在・未来」 石井 隆次(韮山高校12回卒)(京都大学大学院教授)
 2.「社会学と心理学」 望月 哲也(韮山高校14回卒)(立正大学教授)

傍聴歓迎です。同窓生の皆さん、保護者の皆さんの参加をお待ちしております。
(お申し込みは、下記の韮山塾運営委員会まで)
   

3回目は4月に予定しています。      第2回の様子はこちら

W.韮山塾設立趣意書(要旨)

はじめに
人生には出会いが大切である。特に青少年期の出会いにはその後の生き方や物の見方,考 え方に多大な影響を与えるものである。

目的
 
出会いは人との出会い,仕事の出会いにかぎらず,優れた芸術文化,自然風土との出会 いも含まれる。韮山塾はそのような場や機会を提供するものとして運営される。 韮山塾は韮山高等学校卒業生を中心に各界で活躍している人の業績,人柄,生き方を通じ て相互に学びあう場であり,「遊び」の場である。  
注)「遊び」とは本義的には「神遊び」を指すが,ここでは「魂をふれあう」という意 味で使用している。

対象

韮山塾に参加する対象は当面は韮山高等学校の生徒を中心として志あるもの人とする。 志ある人とは自ら進んで参加しようとする人であり,その意志のある人ならば何人も参加 できる。
ただし,会の趣旨及び運営に支障のある人は退塾していただくことがある。 定員は設けないが物理的(会場の都合等)で人数制限を行うことがある。その場合には参 加できないこともある。

運営主体

運営主体は韮山塾運営委員会(仮称)とする。運営委員は韮山高校十回卒から二十回卒位 (現在五十五歳〜六十五歳位)がその主体となる。当面は十二回卒が中心になるが,順次 若い方に移行していく。

運営費用

韮山塾運営基金(仮称)を設立し,趣旨に賛同する個人の寄付および団体企業の協賛寄付 を募る。

    
    
韮山塾運営委員会   代表 小野啓一 (韮山高校12回卒)
 
    〔連絡場所〕
     〒411-0837  三島市南田町9−4 小野方 韮山塾運営委員会
     FAX:055-976-2656   e-mail:nira-mail@jka.jp

     郵便振替口座 00840-2-112717  名称 韮山塾運営基金


                
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