「大進撃」作曲者
     
高33 小島健昭 さん


 会報「龍城 Vol 27」に載っていた「大進撃」の楽譜とお名前が目に
留まり、ネットで検索してみると、高校野球 夏の大会で耳慣れた曲。
偶然 小島さんが お世話になっている税理士さんだったこともあり、
さっそくメールインタビューをお願いしました。
「早稲田の曲についてとりあげてもらって大丈夫ですか?
 私は、その世界で現在活躍しているというわけでもないので・・・」
と謙虚なお返事を頂きましたが、
改めて 同窓生の活躍の幅の広さに感激させられました。



韮高に寄贈された小島さん直筆楽譜


大進撃」は小島さんが 早稲田大学応援部吹奏楽団指揮者だった昭和59年に
作曲されたそうですが、まずはがどのような曲かというと
 http://www.youtube.com/watch?v=WGeg8qVoDOo
各校 耳コピーで演奏しているので 微妙に違うそうですが、この演奏は正確ですか?

ああ、これは「ブラバン甲子園」のCDの演奏ですね。
メロディは、まあ正確なのですが、編曲はずいぶん変えられちゃってます。
でも雰囲気はわかるので、いいんじゃないでしょうか。
少なくとも聞いたことのある人には通じますよね。

ブラバン!甲子園」というのは、昨年2007年に発売されたCDですね

「ブラバン甲子園」には、ちょっと複雑な思いがあります。
あのCDは、こういった企画ものとしては異例のヒットになり、 10万枚以上も売れて、レコード大賞
企画賞も取ったそうです。 おかげで大進撃も、より多くの人に聞いてもらえたと思います。
しかし、編曲はばっさり変えられちゃってるんですよ。 そこはちょっと残念です。
とはいえ、こういう曲の場合は、 いろいろに変えられながらでも広まっていくということの方が、
本望
だといえるかもしれません。

じつは、本家の早稲田大学でも、作曲から25年も経っていれば、 ずいぶんと細かい点が違ってきていたんです。 1ヶ所などコード(和音)まで変わっちゃってました。 今年、三島で早稲田大学校友会の県大会があり、 そこに応援部を招いて応援ステージを披露してもらったのですが、 その機会に、応援部のコーチに作曲当時のテープをお聞かせしたところ、 現在の学生たちとも話し合って、もとの形に戻してくれました

でもそんな違いは、演奏者にはわかっても、応援に夢中な学生たちには たいした問題ではないのかもしれません。 高校野球の応援でも、たくさんの学校が演奏してくれていますが、 どこかで聞き覚えて自前の編曲をした、というものが大半なのです。 それでもメインのメロディーが残っていれば、充分ですよね。 ありがたいことです。

実は、韮高校歌にも同じようなエピソードがあって、それをご指摘下さった大先輩もいらっしゃいました。作曲者のお気持ちを考えると修正するのが当然だと思いますが、
変わってからの校歌を歌いつないできてしまった私たちにとっては、少し複雑ですね。
でも、韮中時代の卒業生の伯父は、今でも正しいメロディーで歌っていますよ。


ところで、今では韮高から常葉菊川まで 多くの高校が「大進撃」演奏されていますが、
それを聴いたお気持ちは?


申し訳ありませんが、幸せに身体が震える思いです。 大進撃は、「私の曲」というより、「早稲田大学応援部が長年育ててきた曲」 といっていいと思います。つまり、私は最初のところでちょこっと触っただけで、 あとは応援部と、野球好きな大学生や高校生たちが みんなで育ててくれたものなわけです。 それなのに、自分が幸せに思ってしまうなんて、やっぱりごめんなさいですね。
それから、高校生たちにとっては、野球の応援に行くと、 自動的かつ強制的に歌わせられちゃう曲なんですよね。 ほんと申し訳ありません。 でも、音楽って脳みそに刷り込まれちゃうんですよねえ。
しめしめ。

高校時代何部だったのですか?

ブラスバンド部で、バスクラリネットという地味な楽器を吹いていました。
(だから大進撃の編曲でも、低音部はないがしろにしてません!)

では、実際に高校時代 野球応援もされていたのですね。
気高さを感じる「大進撃」ですが、誕生エピソードがあれば教えて下さい。

気高いなんて、そんな。「調子がいい」くらいにしてください。 大学3年の時に、先輩から「新しい応援曲をつくれ」と命じられたのが始まり なのですが、早稲田大学にはすでに、ご存知「コンバットマーチ」があり、そんな有名な曲があるのに新しいのをつくるなんて、と戸惑いました。 コンバットマーチは迫力と威圧感のある曲ですから、 開き直って雰囲気の違う曲にしたつもりですが、どうでしょうか。 脳天気に盛り上がれる明るい曲と感じてもらえたら嬉しいです。

私たちの時代は「コンバットマーチ」が主流でした。今から思うと いい意味で泥臭い感じで
あくまで個人的な感想ですが、「大進撃」の方が スマートで時代に合っているような気はします。

現在の早稲田大学の応援パターンですが、ランナーが1塁に出ると 大進撃を演奏するのです。
したがって名曲コンバットをさしおいて、 演奏回数はいちばん多くなっているんです。
ほんと申し訳ないです。
「大進撃」というタイトルですが、私がつけたのではありません。 後輩たちと喫茶店で話していたときに(ガクランの暑苦しい集団です) 「なんかいい曲名、ないかなあ」とつぶやいたところ、 狙っていたのでしょう、氏家(ウジケ)という男が、すかさず、 「大進撃はいかがでしょうか」と、暑苦しく言い放ったのです。 私は一発で気に入ってしまい、ありがたく頂戴したというわけです。 タイトルというのは曲のイメージにも大きな影響を与えますよね。 ここにも「私の曲」じゃない理由の一つがあります。 ウジケの暑苦しい命名センスに、心から感謝しています。

本当に多くの方の思いが込められた曲ですね。最後に同窓生、後輩の皆様に一お願いします。

高校野球のシーズンになると、大進撃があちこちの高校の応援の中から テレビを通して聞こえてくるのです。これはほんとうに嬉しいことです。
しかし、なんといっても二桁アップくらいに滅茶苦茶嬉しかったのは、 あの夏、甲子園での韮山高校応援席から大進撃が聞こえてきたときです。 鳥肌が立ちました。
母校って、やっぱり母校なんだ、と強く思いました。
またいつか、みなさん大進撃を、甲子園に連れて行ってもらいたいですね。

本当ですね。お忙しい中 ご協力ありがとうございました。

今年の甲子園は終わってしまいまいましたが、9月13日(土)からは東京六大学野球秋リーグが始まります。小島さんの後輩 早稲田大学応援部吹奏楽団の生演奏をお聴きになりたい方は、ぜひ神宮球場に足をお運び下さい。


他にも早稲田の応援歌には、三島出身の児童文学者 小出正吾(中17)氏が作詞された『大地をふみて』があり、箱根駅伝の際 歌われているそうです。

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