二度の製作中止を乗り越ての長い道のりでした。 やっと公開に辿りつけたな〜、との感慨があります。 幸運なのは、公開に合わせる様に、エンディングテーマソングを唄っているグループ「ファンキーモ ンキーベイビーズ」の人気が大変な上り調子に成って来ている事です。 その上、映画客層と彼らのファン層が見事に重なっている様です。 彼らとの音楽タイアップは、珍しいケースですが、ヒョットしたら成功するかもしれません。 公開が迫る不安感の中で、楽しみな要素が一つ出てきました。 ベージュのセラー服を着た北乃きいチャンがジャケット写真になっている「希望の唄」ですね。 東京国際映画祭では、ミニライブも行われ大盛況だったとか。いい曲ですね。 きいチャンはW主演の林遣都(けんと)君と共にピッタリな配役だったと思いました。 キャスティングはどのようにされたのでしょうか? 今回は、製作委員会と呼ばれる製作出資グループの代表としての幹事機能を持つ会社ミコット・エン ド・バサラに企画を持込みました。 主役のキャスティングは通常は、出資社代表として幹事会社が主導して決めていきます。今回は企画持込の経緯から、幹事会社と私と監督の三者の合意で決めていきました。 最初に林遣都君が決まりました。 亜紀役は、ホリプロ主催のタレント発掘全国キャラバンの昨年のグランプリの少女が候補に上がりま した。 監督面接を終えて、所属のホリプロとは出演内定した後に、本人がどうしても出演出来ないとの辞退 劇になってしまいました。 脚本にある二度のキスシーンは、どうしても出来ないとの事。 彼女に合わせた脚本変更はやめて、キスシーンをいとわない別の役者の再キャステングをしようと幹事会社を説得しました。 そこで北乃きいちゃんが浮上した訳です。
大沢たかおさんは、成島監督から声を掛けた上で、幹事会社が条件交渉してすんなりと決定しました。 その他のキャスティングは、製作プロダクションの代表者でもある私が、監督と相談して決めていきました。 大沢たかおサン初プロデュースということですが、主に宣伝部門を担当されたそうですね。 原作「聖母少女」(まきのえり)を映画化されようと思った動機は? 初めて原作に出合ったのが9年ほど前になります。 主人公二人のキャラクターが、独創的で比類ない設定に驚き、読み終わって「これは映画だ」と興奮 した事を鮮明に覚えています。 当時は女子プロボクシングがない時代でした。 原作では、それでも男を殴り飛ばしたい一心でボクシングを始める15才の少女の存在感が圧倒的で した。 現在のボクシング界は女性のプロボクシングへの道を開いています。 脚本では原作の良さを損なわない上で、キャラクター設定の修正やドラマ展開の工夫が必要でした。 原作は廃刊になっていましたが、映画化をきっかけに、10月15日に講談社文庫より再刊行された ばかりです。 原作者まきの様の「文庫化に際してのあとがき」に映画化の事も触れられています。 興味のある方はチェックして下さい。 「ラブファイト」と命名されたのは渡辺さんだそうですね。 あのまさに手が届きそうな飛行機を真下から撮影した場所は? 伊丹飛行場の着陸サイドの境界フェンス沿いの小路です。 元々地元の農道で、現在も使用しているので閉鎖できないとの事です。 休日には多くの人が訪れるウォッチングには絶好のポイントで、マニアにとっては国内で一番近くで 飛行機が見える名所だそうです。 撮影は当然平日に行いました。 ベテランマニアの指導?の元に機種選定をして、パイロットと管制塔との交信を傍受しながらの撮影 でした。 8年前のシナリオハンティングの時は、伊丹空港にはまだジャンボが就航していました。 映画の様に石を投げる余裕はなく、大きさと爆音で地面に押しつぶされそうな威圧感を体験しました 。 現在、ジャンボは騒音により就航していないので、あの程度です。 ぜひ映画館で観て頂きたいシーンですね。これだけは伝えたいというものはありますか? 映画は成立するまでに多くのハードルや障害があり、準備にも長い時間がかかります。 その上で文化系の製作物としては、大変に製作費がかかってしまう宿命を持っています。 従って、映画製作を推し進めて完成をみるには、最初に夢があり、次に志があって、情熱があって、 強い義務感があってやっと完成に到達する訳です。 更に映画は結果の成否が明確です。 「終わりよければすべてよし」「終わり悪ければすべてダメ」ということです。 だから途中でやめるのは一番損、関わったら徹底的に最後までやり抜き、よい終わりを獲得することです。 よい終わりとは人々に一人でも多くみて貰い、愉しんでもらい感動して貰えることです。11月15日からの公開です。 みる機会がありそうならば是非一度みてください。 もし面白かったならば知り合いに薦めて下さい。 渡辺さんの映画に対する姿勢は、作品にしっかりと表れているような気がします。 「ラブファイト」も、高校生はもちろんのこと、私たちが観ても心に響き 見て良かったと思えるものでした。 ボクシングに対する見方も すっかり変わりました。 今のところの上映劇場はこちら。県内では、静岡ミラノですね。ぜひ足をお運び下さい。 最後に今後のご予定は? 乃南アサ原作小説の「しゃぼん玉」です。 小説は丁度4年前に朝日新聞社より刊行されました。 宮崎県と熊本県の県境の、椎葉村という過疎辺境地のお話です。 私は刊行されて直ぐに企画書を原作者に送り、映画化の許可を貰いましたが、翌年の2005年9月 の台風で村が大被害を受けてしまいました。 死傷者5名をはじめ、損壊家屋36件、260箇所の道路崩壊で映画撮影どころの状況では無くなっ てしまいました。 復興が見えてきた昨年の終り頃から企画準備を再開しました。 旨く行けば来年3〜4月あたりに撮影に入れたら良いなと思っています。 企画者としては今が一番重要な時期です。 原作は今年の2月に新潮社より文庫として再刊行されて、多くの書店で見られる様になりました。 感動的な小説です。 興味のある方は、こちらもぜひどうぞ。 公開は早ければ来年秋あたりでしょうか? 楽しみにしています。 前回へ 龍城のWA!へ |