編集デザインによせて
                              水口 満(中50回卒)

 卒業生や在校生のお手元に、この愛唱歌集をお届けすることができて、ホッとしていますが、これで完成したとは思っていません。
 というのは、80歳に手が届こうという鈴木功先輩は、驚くような情熱をもって宝物の歌を発掘し続けているからです。いつか、新しい歌が発見されて歌集がさらに充実するならば、製作者としてこんなに嬉しいことはありません。
 ’98年の同窓会会報に、鈴木先輩が学校の愛唱歌集を自費でまとめておられるという小さな記事を見つけました。その日のうちにハガキを投函して、1部をプレゼントして頂きました。汗の結晶がにじんでいるような手書きの歌集は、宝の詰まった宝石箱のように感じられたことを覚えています。
 早速、同期で芸大の作曲科をトップで卒業した、親友の飯田正紀君にコピーを送ったところ、編曲の上コードネームをつけた楽譜が、コンピュータで制作されきれいなレーザープリントで送られてきました。しかも、音楽理論上から修正までしてくれた素晴らしいものでした。
 これを見た瞬間、私の専門とする装丁とデザインで完全な歌集にしなくては…という思いに駆られてスタート。 3人のエンジンが全開し、文字ひとつ、音ひとつについても検討が重ねられ、気が付くと1年以上が過ぎていました。
 鈴木先輩は炎天下や寒さの中を取材に走り、飯田君から送られてきた不使用のレーザープリントの楽譜は、100枚以上が私の手元に残されました。ボランティアといえども、これだけの熱意を示した両氏には頭が下がる思いです。
 さらに嬉しいことは、これも同期で学生時代に飯田君たちとバントを結成し、そのリーダーだった坂内秀郎君(医療関係に従事)が、コンピュータを駆使して音作りの協力をしてくれました。坂内君は初めてコンピュータを手にしたとき最初の作品として母校の校歌を選んだという友人です。
 今回は、ピアノ伴奏譜の「校歌」と「勝利の歌」の録音を飯田君が担当し、その他の曲を坂内君が担当してくれました。いずれ聴いて頂くことができると思います。
 これまで、私たちの龍城魂を励まして下さった旭太四郎先生、貴重な旧校歌の資料を探してくださった狩野功氏、そのほか多くの方に感謝申し上げます。