輪が 自由勝手旅の醍醐味

第46回 
★続 ある運命的な出会いの思い出☆ ★ September/10/2010
2010/9/10号掲載  栗原 一 (高2回卒)


  



 遠藤周作先生は以前にもご紹介しましたが、大変に茶目っ気の神経を豊富にお持ちのお方でした。そのご当人が母校系のK応病院に入院したのですから、そちらの神経がおとなしくしている理由はありません。たちまち本来の行動発揮の芽がすくすくと育ち始めました。
 どのような手段で調達されたか存じませんが、本物の聴診器を首に下げて病室を巡回・往診を始めました。もちろん病棟婦長はご存知ありませんでしたがほとんど黙認の様子でした。有名な文筆賞を受けられた誇るべき名物患者さんでしたから無邪気の延長くらいの認識だったでしょう。遠藤先生も限界はよく承知されていて私も“栗ちゃん”の範囲内でお供していました。とても郊外の清瀬コロニーとの比較にはならない体験をさせていただいたわけです。
 ”食“に関しても特別病棟なみの食材を仕入れられるルートが自然に出来まして、私も患者らしからぬ料理趣味の恩恵に浴しました。自作の生パン粉で池田首相と同じ車海老のフライを退院患者の配膳に加えたりしました。総理の私邸は特別病棟のトイメンに位置していたのです。私の本職は退院まで謎でして料亭の板前と誤解されたことも?。
 身分はいまでも私自身で理解できません。


オ!心臓の鼓動が聞こえる!あなたは生きているからだいじょうーぶ!