輪が 自由勝手旅の醍醐味

第42回 
★北の大国ロシアに住む友人とPCを使って通信なんて夢だった★ April/2010
2010/4/10号掲載  栗原 一 (高2回卒)




































  
 記念すべきユーラ君宛の自筆の手紙第一号です。レブダ市はウラル山脈の西側にある工業都市でエリチン大統領の出身地に近い街です。
 新年のころから驚きのメールが散見されるようになり、ワイフと夢をみているのではないかと未だ半信半疑の状態です。
 昨年暮の10月にロシア本土で投函されたクリスマスカードに一行のe-mailがタドタドしく、しかし他の日本語の文章より大きく書かれていました。書いた本人は間違いなく私が中国・東北部・旧名満州の奉天(現在の瀋陽)での出会いが今もって続いている白系ロシア人ユーラ・シチュ−キン君の筆跡です!私が日本から父の転勤により山口県下関経由→遼東半島の大連に上陸したのは三歳の夏でした。6歳になって父は奉天の新支店長として就任、翌年春私は千代田尋常小学校新一年生として入学したのです。男女混合の3クラスに組み分けられたのですが、金髪・青い眼・長身のユーラ君は何処にいても目立ちました。驚いた事にはこの外国人が私達よりも日本語がぺラぺラなことでした。理由はすぐ理解されました。「どうして日本人学校に来たの?」「お父さんが決めたからさ!」「何故?」「勉強が優秀だから」ユーラ君のパパは反革命側だったので将来を賢明に判断し、一家の運命を守ったのです。しかしこの国も皇帝一族を赤い旗で消し去り、世界と肩を並べるのは容易なことでは有りませんでした。独裁者の強引な軍事政策は原子核兵器のトップ争いから宇宙の征服へと、世界の恐怖は人間らしさの遠のく方が強く拡大するになったのは実に悲しい運命でした。 *自由勝手旅14回を参照
 どうして隣の国への航空便が3ヶ月も時間を必要とするのでしょう?レーダーの性能が低いために森林の山火事でジェット機が飛行する方向がわからなくなったこともありました。日本からの航空便は翌日モスクアに到着します。然しその後別の街で郵便局からの知らせが入るのは4,5週間の未来になります。戸別配達はもっとあとです。ですから電話とファックスが一番早い伝達法ですが、問題があります。海外ですと5〜10$の出費になりユーラ君の年金の1割以上になります。
 そんなときに、彼の孫ちゃん夫妻から奇抜なメールが届いたのです。ユーラ君の手書きの作文によると孫夫妻のアイデアで漢字まじりの文章をスキャナで取り込み、写真として添付したようです。ご存知のように、英文以外の文字は専用ソフト無しでは文字化けしてしまいます。私達の場合はロシア語と漢字・カナとも見事に化けます。4月号はその珍テクニックを実例でご紹介しましょう。とても理解できない悪条件である郵便事情なのに、まるで魔法のように3秒で我が家のパソコンに届くのです。私の場合まだ成功した訳ではありませんので失敗になる可能性も充分有ります。その節はどうぞご容赦下さい。ユーラ君というロシア語も日本語も読み・書きできる翻訳器みたいな人が存在すればこそなのです。でもこんなマジックのような実験をあなた自身が体験するのも面白いと思いませんか?

ユーラ君にとって可愛くてならない孫娘のカーチャです。
私がロシアで会った時は5歳でした。今は学生結婚をして看護医学のお勉強中ですが、こんなチャ-ミングなロシア美人に成長しました。
ユーラ君の心配はまだ続きそうですね。