輪が 自由勝手旅の醍醐味

第34回 
★続 忘れ得ない印度、そしてユニークなインドの人々・・・B
2009/6/10号掲載  栗原 一 (高2回卒)


兎小屋城の我が家に嫁さんの里帰りで、東京へも一家で上京。
 豆台風のようなアリシャ:サヤカの姉妹の洗礼を受けました






































  
   神秘であり、不思議の連続の印度への自由旅で出会った実に個性的な人間像。その三番目に忘れ難い少年がいます。
@のC,M,カプール氏 Aのスバッシュ・ジャイン氏との出会いを結んでくれた彼、モハメド・イドリス君を省くわけに行きません。
名前の示す様に前記の二人の紳士と異なりイスラム系のインド人です。デリーの銀座コンノット広場で「コンニチワ!」と挨拶した少年です。あの流暢な日本語は彼がインド人特有の豊かな音感で耳から覚えたアクセントと発音だったからです。人間の坩堝であるカルカッタのマザーテレサ修道院の建つ同じ街に生まれました。一家の長男に生まれ育ったイドリスは、貧しい生家を離れて仏教の聖地であるブッダガヤに小僧として紛れ込んだのです。聖地には日本から僧侶が研習のため修行に来ていました。気転が利き行動の素早いイドリス小僧は便利な走り使いとして可愛いがられました。手真似と簡単な日本語で用を足してくれるチビさんは、チップで大人に勝る収入にも恵まれたのです。さらに幸運だったのは、アルバイトについた僧侶が関東の出身だったことでイドリス君の日本語が標準語で成長したからです。さもなければジャイン氏が店員兼通訳として採用しないし、彼の将来も無かったでしょう。
 解りやすい日本語が話せることから、邦人相手の現地ガイドを志し旅行社に転職しました。当時イドリス君が一番手にしたかった宝物は「モバイル:ケータイ電話」でした。まもなく日本人のヤングレデイのガイドを務め、遂にグリーンカードまでを手に入れたのです。仲人さんは前述の主人公、C,M、カプール氏でした。旅行業とコーディネーターと日本語と向学心が、インドの“WA・輪”になったと言えます。目出度く結婚後、自身のビジネスに必要な教科となお高度な日本語をマスターするために、京都大谷大学に留学したのです。無論、愛妻・明日香さんと自動車デーラーである実家の援助無しでは実現は無理だったでしょう。
 さて、努力の人・イドリス君のキャラクターですが、多くのインド人と同じくイドリス君も60%しか笑いません。ムスリムがそうであるように眼光鋭く射るような眼差しは、彼の生い立ち・ストリートチルドレンのそれを感じます。彼は100%心から笑う事は無く常に心底は冷めていて、心を開かない人間と感じていました。印度の首都ニューデリーのイドリス家を初めて訪問した時も、日本人同士の方が良いだろうとの配慮かも知れませんが明日香さんと私達を部屋に残し、自分はキッチンで隣人と話していて一度も談笑という事にならず、とても残念に思った記憶が有ります。
 こんなイドリス君のDNAを見事に受け継いだ二人の驚くべき愛娘がいます。先ず彼女達の年齢は日本人の誰もが当てられませんでした。とてもその年とは想像できない行動や頭脳、容姿、これらは正にイドリス君のもの。一言で表現すれば日本人の真に好きな「凄―い!」に尽きるでしょう。大人になったら判りませんが姉妹とも美人です。二人のやんちゃぶりはほんとに破天荒といえます。
☆一例として、レストランに入れば店内で木製の間仕切りに造花を這わせたディスプレイ・フェンスに二人でよじ登っているではありませんか!他の客も驚いて見上げています。急ぎ下に降ろすと今度は厨房にスタスタ見学に入ってしまう始末。こんな事は日本なら男の子でもしない行動では?全く大人を大人とも思わない傍若無人ぶりです。デザートの時間になりました。好物のアイスクリームに鼻歌まじりの花咲き顔。舌舐めずりをしながらアリシャがにんまりと「アイスクリーム アイライク ベリマッチ!」と正確な英語で言いました。
☆親子四人揃って我が兎小屋城に来た時のこと。昼食が終わるやいなやアリシャが先ず外に繰り出します。バイクの後ろに乗せて中庭を一回り、目ざとく砂場を見つけると一目散。先に遊んでいた子供たちをものともせずバケツとスコップを「あっボクのスコップ!」なんて言っても平然と使ってお砂遊び。それに飽きると今度は滑り台、順番も何も有ったものじゃありません。そこどけと言う感じで悠々とお滑り!親達も子供たちもその美貌と迫力にただ唖然とするばかり。それにも飽きると皆の視線を尻目に悠然と引きあげるのです。アリシャにはスター性が有るようです。
☆イドリス家を訪問した折のこと 部屋の入り口の何処から何処までが靴をはいて入ってよいのか判らなかったので、おづおづ入室しますと姉のアリシャがスリッパを持ってきて「だめ!土足であがっちゃ!」と言うので「アイムソリー」と履き替えました。ふと気が付くとアリシャも土足のままです。私が「なんだアリシャも靴はいたままじゃないの」と言うとその時の照れ笑いと恥かしそうな態度はとても三歳の誕生日前とは思えませんでした。
☆さて妹のサヤカちゃんもスゴーイのです。その内の一例。実家からの納車と思われる日本製のワゴン車で外出の時でした。サヤカちゃんはワイフのイヤリングが大層御気に召した様子。欲しくて仕方がないのですが「チョーダイ!」とは言えません。ずっと考えた末長い間、何度も何度もワイフの肩をたたき、イヤリングを指差し「それ可愛いよ、それ可愛いよ」と言い続けたのです。それも流暢な日本語で。彼女はなんと二歳とチョットなのでした。
☆公用語が多かった印度でしたが、英語・ヒンディ語・ベンガル語・アラビア語・日本語と五ヶ国語を話す恐るべきNewインデァなでしこなのです。
 

インド人と日本人の混血ハーフです。
パパのDNAを完全に受け継いで 頭脳明晰 容姿チャーミング 演技力のある
 スター・タレント・モデルの可能性を内に秘めているアリシャです。
半年くらい養女にして映像を残したいと思ったほどです。
貴方なら撮影時の年齢を何歳と想像なさいますか?