オトナの食育 所感編 第6回(通巻35回)2009/3/10号掲載 千葉悦子(高28)

冷凍食品・輸入食品について心配し過ぎないで
 

 


 先月書きました照射食品の続きは、近いうちに書きます。
 今月は、4月からの弁当作りなどについて、悩んでいらっしゃるかもしれない方々に向けて、良い資料の紹介です。
 運動部に所属する男子高校生のために、この1年間弁当作りをしてきて、本当にたいへんだと思いました。人生でもっともエネルギーの要る時期に、激しい運動をすると、1日4,000〜5,000kcalくらい必要です。つまり、母親の2倍かそれ以上です。弁当の量もすごく多いです。男子を育てていた旧友や近所の知人の「詰めても詰めてもまだ足りない(スペースが空いている)。」という嘆きがよく分かるようになりました。
 冷凍食品だけに頼るのは疑問がありますが、毎日買い物ができない環境や仕事の多忙さを思うと、冷凍食品は弁当作りの強い味方です。
 昨年1月末から報道された、中国から輸入した農薬入り冷凍餃子の事件が大きな引き金となり、冷凍食品の売り上げが落ち込み続け、中国からの輸入食品を警戒することも多いようです。
 しかし、この事件は「意図的に入れた」としか思えない高濃度であり、「残留農薬」ではないので、そこを混同してはいけません。
 また、「中国」からの輸入食品を必要以上に警戒するのは、統計上、非論理的です。このあたりの説明は、『学術の動向 2009年2月号』の唐木英明先生の「食品の安全と消費者の不安」を読まれるとよいです。なお、この雑誌はネットで見ることができます。
 厚労省H.19年度輸入食品監視統計によると、中国からの輸入食品は件数が突出して多く、違反件数も多いですが、違反率は米国・フランス・タイ・イタリア(輸入件数の多い順)より低いです。週刊誌などの中国産食品への恐怖を煽る記事に踊らされない冷静さも必要です。
 さらに、国産の方が輸入より残留農薬に関して安全とは言えないことが、同雑誌の上野民夫先生の「農薬と食の安全」を読まれると分かります。
 なお、弁当についての私の考えやヒントは、『オトナの食育』資料編に書きましたので、そちらをご覧ください。
 情けないことに、私は息子の朝練に合わせて早起きして弁当作りをすることで、寝不足から体調を崩しましたが、それでは困ります。心配し過ぎず、ご自分のお財布に合わせて輸入食品や冷凍食品も上手に使いながら、弁当作りの時期を乗り切りましょう。


■主な参考文献等
月刊『学術の動向』09年2月号 特集1「食の安全と科学」
    http://www.h4.dion.ne.jp/~jssf/text/doukousp/2009-02.html
日本経済新聞09年2月20日朝刊 「ギョーザ事件後に急伸 
   ひき肉モテモテ 手作り志向定着 安さ魅力 ソースや皮 関連品好調」

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