オトナの食育
所感編 第55回(通巻88回)2013/8/10号掲載 千葉悦子(高28)
シンジェンタジャパン中央研究所見学会感想
試食もあり! シンジェンタジャパンの案内役の方は「スイートコーンと言っても、アメリカの品種ですから、皮がややしっかりしていて、日本のとは少し違います。アメリカでは生で食べるより缶詰といった加工用が主です。」と話されましたが、私には十分おいしかったですし、そう言われなければ、日本のとは異なる品種と気がつかなかったです。今年、デパ地下としては安価と思われる、1本150円のトウモロコシがハズレで、がっかりしたこともあり、今回試食したものは美味に感じました。 トマトの品種の多様さに驚き トマトは遺伝子組み換えではなく、数えるのが面倒になるほど、ハウスの中にいろいろな種類がありました。試食したのは4種類、その中の一つが「アンジェレ」http://ameblo.jp/ja-town/entry-10986524343.html という赤いミニトマトで、果肉が多く、完熟してから収穫するそうです。全農だけが種を得て、サミットストアで売っているそうですが、私はそのスーパーマーケットには行く機会がないので、これまで気がつきませんでした。果肉が多い方が、切ってから盛りつけるような場合、見栄えが良いですし、種の部分があまり好きでない人には、良いでしょう。 試食はしませんでしたが、「オスカー」(サンマルツァーノタイプ)http://www.syngenta.co.jp/seeds/prod/oscar.html という、縦長の渋柿をさらに細長くしたような形の加工原料となるトマトや、品質は良いが紫色っぽい「クマト」という品種も見られました。改めて「自分はいつも身近な店だけで野菜を選んでいる」ということを思い知りました。 クマトは、日本では商品化されていなくて輸入だけで、見せて頂いたものはコストコ(アメリカ合衆国に本社のあるスーパーマーケット)で買ったものでした。説明者によると、「ヨーロッパではよく使われる品種。日本はピンク色のトマトが好まれ、このような色ではなかなか売れそうにない。」ということでした。確かに従来のトマトとは似ても似つかない色でしたが、もしもおいしくて栄養や機能性成分も豊富で、テレビで楽しげに紹介されれば、たとえ色が黒っぽくても「1回試したい」と思う消費者がいるのではないか?と私は思いました。 新品種の商品化には手間と長い年月が必要 説明者によると、「新しい品種のトマトを、日本で栽培できるようにするために7年くらいかかるが、その間、社会の有り様が変わり、求められるタイプが変わる場合がある。たとえば、以前は『大きいトマト』が求められ、開発したところ、最近は家族の人数が少なくなり、大きいのは売れなくなった。」と残念そうでした。農業をするにも種苗会社も、未来の社会の要請を見通す必要があると改めて強く感じました。 見たこともないタイプのトマトをいろいろ見たり、お話を聞いたりして、「野菜とは?」「好まれる品種とは?」「そもそも食べ物とは?」などと、考えるきっかけになりました。 その他、農薬の効果を調べるためのキャベツ畑の見学もありましたし、研究所内で農薬の開発の工夫の一端について、簡単な実験も入れながらお話をして頂きました。考えたこともないことを知る貴重な機会でした。 昨夏、モンサント社の見学に参りましたが、内容がかなり違うので、「シンジェンタジャパンの見学会も参加して良かった」と思いました。そして、時間さえなんとかなれば、どちらにも参加すると、農業や品種や食物に対してより理解が深まると思いました。 「オトナの食育」7月号にも書きましたように、都会とは異なる風景や空気の中で、良い気分転換となりました。皆様も、今年まだ間に合う見学会に参加なさるとか、来年の参加を考えてみませんか? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ■主な参考文献等
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