オトナの食育 所感編 第17回(通巻46回)2010/2/10号掲載 千葉悦子(高28)

赤ちゃんを待たれている方・妊娠中の方への情報
食品安全委員会ホームページの活用を身近な方が知らせましょう

 

 寒いですが、年度の終わりに近づき、今年度の反省と、来年度への抱負といった「春を迎える気持ち」も起こります。
 私はここ2年間、食品安全委員会のモニターでしたが、大して貢献できていないことは申し訳ないと思います。そこで、食品安全委員会のホームページの活用を提案します。このホームページには有用な情報がたくさんありますが、そのことが知れ渡っていないようで、もったいないです。
 しかし、たとえばテレビコマーシャルをすると、税金が投入されることになり、国債が非常に多い時代に合いません。そこで、ボランティアでこの場をお借りして書きます。
 大学生を教えていると、お姉さんがいるようで「妊娠中は、何か食生活について気を付けることはありますか?」といった質問を受けることがあります。
 そういったときはぜひ、食品安全委員会のホームページをご覧ください。
表紙の「お母さんになるあなたへ」「妊婦の方向けの情報をお探しの方はこちら」をクリックしましょう。比較的分かりやすく、正しい情報が得られます。
 本人は気がつかないことも多いでしょうから、伴侶はもちろん、赤ちゃんを待っている女性の周囲の方々が、さりげなく知らせてはいかがでしょう?

ビタミンAの過剰摂取は避ける
 この中に、ビタミンAの過剰摂取はいけないことも載っています。妊娠の有無が判然としない時期も含めて大切なので、「赤ちゃんがほしい」と思われたら、「何を飲食しようと私の勝手」ではすまされないと思います。もちろん素人判断でサプリメントやビタミン剤を過剰に摂取するのは、妊娠中でなくても危険ですが、特に妊娠中は気を配る必要があります。ですから、「お母さんになる前の予習」をお勧めします。
 高校時代、数学の予習をしなかった私がこう書くのもおこがましいですが、「親になる」とは、「自分以外の人に責任を持つこと」と私は思うので、「親になるための最低限の予習」を提案します。もっとも、韮高OGには責任感が強過ぎて、辛くなる方もいらっしゃるでしょうから、親というのは“good enough”であればよい、という考え方もあることを書き添えます。

大型魚を食べ過ぎない
 大型魚やイルカのような海獣は、メチル水銀が濃縮されていることが多いです。妊娠中の方や幼児は食べる量や頻度に気を付ましょう。畝山千香子氏の<ほんとうの「食の安全」を考える ゼロリスクという幻想>に次のようにあります。
 妊娠する予定のある人や妊娠中の人、あるいは小さい子どもに対して大型の捕食魚を食べる量を制限するというのがほとんどの国でとられているリスク管理手法です。
 このように書くと、妊娠中以外も大型魚を食べたくなくなりがちですが、そこは冷静に受け止めて頂きたいです。魚は健康へのメリットが大きいですから、お召し上がりください。「○○には××という危険な物質が含まれている」と考えると、何も食べるものがなくなってしまいます。どのような食品にも極微量は危険な物質が含まれるのですから。
 詳しくは「魚介類等に含まれるメチル水銀について」をご覧ください。

アルコールの摂取は控えましょう
 これは説明するまでもないほど知れ渡っていますよね?控えるよう女性だけに押し付けるのでなく、伴侶も配慮が必要と思います。私自身は飲めない体質なので問題なかったですが、もしも目の前で伴侶がおいしそうに知らん顔してアルコール飲料を飲んだら、飲める女性はむっとするのではないでしょうか?

科学は進歩するので、必要なときに新しい情報を学びましょう
 この他にも、注意する方が良い情報がいろいろあります。
 女子だけ必修の4単位の家庭科の時代には、保育分野も比較的時間がかけられましたが、現在、男女共学の家庭科になり、いわゆる進学校では2単位しか家庭科を学ばない高校が増えているようです。そうなると「ずっと先のことであろう妊娠中の注意」など、とてもカバーできません。また、科学は進歩するので、その時の新しい情報を得る必要があります。
 そういうわけなので、クリックするだけで見られる食品安全委員会のホームページを必要に応じてご活用ください。さらにそこから農水省・厚労省などのリンクもあります。時間に余裕がある方はそちらもご覧ください。
 なお、メディアの都合で流す、触れなくても何とかなる情報の洪水に身を任せることにより時間の浪費を知らず知らずのうちにしなければ、きっと時間が作れると思います。

引用文献等
畝山千香子<ほんとうの「食の安全」を考える ゼロリスクという幻想>化学同人(2009)
主な参考文献等
食品安全委員会のホームページhttp://www.fsc.go.jp/