オトナの食育 所感編 第40回(通巻72回)2012/4/10号掲載 千葉悦子(高28)
台北旅行

 

 
 4月1日〜4日に、長女と二人で台湾の台北市に旅行しました。一番の収穫は、ボーダーレスとか世界中の競争とかを直に感じたことです。
 街には、日本のユニクロ・100円ショップ・セブンイレブンやファミリーマート・居酒屋チェーン店等も多く、デパートの中には日本のブランドが入ってい て、チャイナドレスやその襟のブラウスはほとんどなく、女性用衣料だけ見ていると日本にいるような錯覚に陥るほどでした。日本でもおなじみのスターバック スやマクドナルドもあちこちにあり、アイスクリーム店も多く、欧米の高級ブランドだけでなく、H&Mといった店もあり、また、長女が3年前に来た ときより韓国の店が多くなったそうです。
 私自身は30年以上前に訪れたことがあり、様変わりでした。もっとも、東京もこの30年間で高層化が進み、地下鉄が増えるなど、街の様子が変わっているので、同じことと言えばそれまでです。

お薦めの店・・・和昌茶荘(お茶問屋で、小売りもする)
            店主:張正忠 台北市敦化南路一段190巷46號
                     TEL886-2-27713652 FAX:886-2-27513774
 地下鉄板南線の忠孝敦化駅から近いです。道が直行していない裏通りなので、少し迷いました。通りから見ると地味な店なので、調べておかないと、立ち寄ることは少ないでしょう。
 長女の友人が調べて「良さそうだ」ということで、3年前に卒業旅行の際に数名で行った店で、店主は長女の顔を覚えていました。店主の父親は、静岡県のお茶の栽培技術者(大野先生か小野先生か分かりにくかったです)と親交があったそうで、日本語が堪能です。
 日本の先生がお茶の木の品種改良をしてくれたことに感謝していて、お茶畑の中に先生の碑もあるということです。静岡県―ひいては日本―の誇りとして、もっと静岡県でも広報すれば良いのに・・・と思いました。
 店主は中国茶の入れ方を実演しながら、メモをとるよう促し、熱心に教えてくださいました。いろいろなお茶を試飲させてくれました。
 高山烏龍茶と東方美人の最高級品が、この店では533元/100g で、50gでも分けてくれました。長女によると、日本ではもっと高価だそうです。もちろん、もっと手頃な価格帯のお茶や、ティーバッグ状のお茶や、茶具も あります。ファックスを送れば、見積書を出して、日本へ送る仕事もしているそうです。個人輸入ができるとなると、世界中の競争という感じが強まります。
 放射性物質がお茶にも検出されたことを店主は知っていて、その話題以外は柔和な表情が、にわかに曇り「大変ですね」などと言いました。改めて、物だけでなく、情報も世界を駆け巡ると思いました。
 「中国のお茶は農薬がたくさんついているので、一度お湯を入れて、捨ててから、と聞いたことがあるのですが、どうなのでしょう?」と私が聞くと
「それは大陸のお茶。台湾は法律が厳しく、大丈夫。」という説明でした。
 台北市の他のお茶問屋と比較したわけではありませんが、戦前静岡県から渡った先生を敬ってくださり、日本語堪能で気さくな人柄の店主なので、私としてはお薦めの店として紹介させて頂きました。

 道行く人々のファッションも、東京とあまり変わりがなく、ファーストフードやチェーン店も多く、ある程度良いものはどんどん受け入れている様子です。ただ、どの都市もあまり変わらないとしたら、旅行する意味がなくなるので、いかに自国の文化の良いところを残していくかが課題、と強く思いました。また、食文化については、アジアの良さを大事にしないと、欧米諸国のように肥満が問題になりそうと、ラーメンや肉料理やアイスクリームの1人分の多さを目にして、 心配になりました。
 日本の食の良いところを大事にし、私自身は教員として生徒や学生にきちんとそれを伝えていこうと決意を新たにしました。

        
        <写真は、百果園(高級フルーツ卸店)にて撮影>
           (右側) 白いフルーツで、黒い種が見えるのは、釈迦頭
                すごく甘くて酸味もけっこう強いものでした。
                味が強いので、一人で食べるには多いほどの分量でした。