オトナの食育
誰も儲からない 知ってて得する食の情報
第6回 2006/8/10号掲載  千葉悦子(高28)
6

バランスのよい食生活 その6

 
 残暑お伺い申し上げます。
 以前、近所のトラックの八百屋の主人が、あれこれ迷っている私に
「暑いですねぇ。何を食べたらいいのでしょうかねぇ?(食事は)毎日のことだからね。」と話したものです。
 ご飯・みそ汁・糠漬けなどの漬物・主なおかず、が基本でしょうし、野菜の和風煮物は油の低減につながり、健康的でしょう。けれど、洋食や中華等も食べたいもの。夏野菜のカレーが毎夏、新聞や雑誌に登場し、栄養豊富ですが、他に簡単でおいしい野菜料理はないかしら?野菜スープでは暑苦しいし・・・と考え、ラタトゥイユを提案します。
 夏バテ解消といえば、まずビタミンB1でしょうから、今回の理論編では、それについて載せます。
疲労には睡眠が一番でしょうし、食事では鉄不足の貧血も考えるべきでしょう。が、鉄については第2回、昨年12月号に載せましたので、微量栄養素の1つとして、不足すると味覚障害などになると近頃話題に上る亜鉛を取り上げます。

古くて新しい脚気(かっけ)
 江戸時代に「江戸わずらい」と言われたものが、今の脚気です。地方では搗精度の低い米を食べていた人々が、江戸に来て白米を食べると、おかずを今ほど食べなかったので、糠にたくさん含まれるビタミンB1をはじめとする微量成分が不足し、脚気になったのです。
 静岡県出身の鈴木梅太郎が米糠の脚気に対する有効成分をオリザニンとして1912年ドイツの生化学誌に発表したということです。しかし当時、梅太郎の説は受け入れられず、さらに、白米中心の食生活を改善できなかったため、1935年には2万人以上の日本人が脚気で亡くなっているそうです。
 1954年の脚気死亡者は447人、1977年は8人ということですが、「基礎栄養学」p.24によると「インスタント食品や清涼飲料の普及に伴い、体内でのビタミン消費の激しいスポーツ選手などに脚気の症例が見られることがある。」とのことです。
 数年前、上司の親戚の20歳代男性が、脚気で亡くなりました。インスタントラーメンをよく食べ、食生活が極端に偏っていたということでした。
 ビタミンB1の主な生理作用としては、補酵素の構成成分として、糖代謝などで重要な働きがあります。砂糖だけでなくデンプン(消化により糖になる)を摂取したら、ビタミンB1が必要です。糖代謝などによりエネルギーを作ります。運動しなくても、生きているだけでエネルギーが要りますから、大事な栄養素の1つといえます。
 朝はコーヒーとパン、昼はそうめんだけでは、糖質(炭水化物)に偏り、ビタミンB1を始め、各種栄養素の不足になるでしょう。
 ビタミンB1を多く含む食品は、動物性食品では豚肉、植物性食品では大豆、小麦胚芽、胡麻・落花生をはじめとする種実類があります。が、いろいろな野菜に少しずつ含まれていますし、魚介類にも含むものが、かなりあります。野菜をしっかり摂取し、ときどき豚肉料理にし、魚も食べるというような食生活で十分摂れます。
 「厚生労働省 平成15年国民健康・栄養調査報告」の各年代のビタミンB1の平均値だけ見ると、食事摂取基準の推定平均必要量くらいで、問題がないように思えます。が、男性の18~49歳の推定平均必要量が1.2㎎、推奨量が1.4mgであるのに対し、18~29歳と30~49歳の中央値は0.86㎎です。50~69歳は推定平均必要量が1.1㎎であるのに対し、中央値が0.88㎎と低めです。一部の人がビタミンB1補助食品で非常に多く摂取するので、平均値が高くなっています。また、30~49歳男性の75パーセンタイルが1.15mgですから、30~49歳男性の75%が不足かもしれない、ということになります。なお女性も似たような傾向です。
このことからも、バランスの良い食生活を心掛けたいものです。
たとえばインスタントラーメンは炭水化物・脂質に偏るので、野菜や肉等を組み合わせたいですね。暑くても、そうめんだけでなく、他のおかずも食べましょう。
 夫は食事以外の時間帯にインスタントラーメンを自分で作るとき、何も加えないか、せいぜい卵を入れるだけです。冷蔵庫にある野菜を切って茹でれば良いのに、労を惜しむのです。そういうことの積み重ねが、問題なのでしょう。

近頃話題になる味覚障害・・・亜鉛不足の場合も
 普通と考えられてきた食事をしていれば、亜鉛不足にはなりません。が、「新版 栄養学総論」p.66に
「冨田ら(1993)の調査によれば、大学生男女31人のうち16人は血清亜鉛値が正常値以下で、そのうち6人は味覚異常であったという。その原因として食事量の減少、食事内容のかたより、亜鉛キレート能の強い食品添加物を含む加工食品への依存度の増大をあげている。」とあります。
「新・病気とからだの読本 第10巻 のど・歯の病気と全身の症状」p.43・44に
「保存料をふくんだ食物などは亜鉛の代謝に影響しますから、保存料の多い食品はさけたほうがいいかもしれません。」とあります。
 お茶大LWWC再教育講座を受講していると、使用量が非常に少ないので、食品添加物にあまり神経質にならなくて良さそうですが、上記のように本に書いてあると気になります。
「食物とからだ」p.73によると「日本では亜鉛欠乏を指摘した研究は少ないが、米をあまり食べずサラダ、果物、牛乳、嗜好飲料に偏った食生活では軽度の欠乏症が起こる可能性があるといわれている。」とのこと。
つまり間違えた方法のダイエットはいけませんね。
 「厚生労働省 平成15年国民健康・栄養調査報告」によると、亜鉛の平均摂取量は食事摂取基準の推奨量くらいです。とはいえ、亜鉛摂取量の分布を見ると、不足する人もかなり存在します。亜鉛の欠乏により、味覚障害だけでなく成長障害、食欲不振、皮疹、精神障害(鬱状態)、免疫能低下、生殖能異常などをきたすそうです。
 亜鉛を多く含む食品は冬なら牡蠣(昨年12月号に書きました)、その他の季節なら、うなぎ、どじょう、いわし、はぜやわかさぎの佃煮をはじめとする魚介類、牛肉や豚肉やレバー、アーモンド・カシューナッツ・胡麻・松などの種実類、大豆やきな粉があります。「精がつく」と言われるものばかりですね。
なお、味覚障害の原因は薬や病気の場合もあるので、「味を感じない。」とお思いになったら病院へ。
 
サプリメントに頼る前に、ナッツなどを食べましょう
 インターネットで「味覚障害」と検索すると何万件も出てきます。
どうやら、健康食品販売のサイトが多いようです。「日本人に不足気味の亜鉛をどうぞ」というのです。しかし、健康食品とかサプリメントといわれる物の中にはいい加減なものもあり、本当に大事な成分が入っているか、危険な不純物はないかなど心配です。この夏休み前に東京都は、中学生とその家族に健康食品について注意を促すプリントを配布したほど、健康食品によっては問題があるのです。
 昔からある本来の食品ならそういう心配がないし、微量成分がバランスよく含まれています。「でも時間がない」という方は、種実類―ナッツをそのまま少しずつ、あるいはサラダや炒め物に入れてはいかがでしょう?種なので命の源、無機質や脂溶性のビタミンE抗酸化作用があり、活性酸素から体を守る)が豊富、たんぱく質もあり、植物性なので脂質の種類も比較的安心です。(4月号に書きました。)ただし、食べ過ぎは禁物。脂質が多いので、たとえばアーモンド100g中のエネルギーは598kcal、成人女性の1食分近です。我家の秤ですと、7粒で10gですから、私は1回にその程度にしています。
 夏は皮脂が出やすいので、私はたまにしか食べませんが、秋・冬は特にお薦めです。もっとも、肥満を解消するのが一番の課題の方には合わないでしょうが・・・
 また、塩の摂り過ぎにならないように、塩分を加えていないものをお薦めします。
 さらにカビの生えた物は、食べないようにしましょう。ナッツやとうもろこしなど、特に外国産の物に生えたカビには、熱に強いアフラトキシンという強い経口毒素もありえるので、ご注意ください。

亜鉛などの過剰摂取にも注意しましょう。
 「基礎栄養学」p.141によると「亜鉛の過剰摂取は腸管における銅や鉄の吸収阻害による銅欠乏や鉄欠乏が問題となる。」とあります。
「栄養キーワード事典」p.161によると「カリウムが過剰摂取になる心配はほとんどありません。ただし、腎臓の機能に障害があると、高カリウム血症を引き起こすことがあります。」ということです。
 カルシウムをはじめとする過剰摂取のことは、昨年12月号に書きました。
 従来の食品だけとっていれば、過剰摂取はほとんどないですが、栄養剤やサプリメントなどで量を考えずに摂取すると、たいへんなことになる場合があります。なるべく、そういうものに頼らず、バランスの良い食生活を送るようにしたいです。

お薦めの料理・・・ラタトゥイユ 
夏野菜たっぷりでビタミン・無機質・食物繊維を十分摂取


ラタトゥイユとは?
ラタトゥイユを外食で美味と思い、城戸崎愛の「洋風の家庭料理」を見ながらこしらえるとおいしくて、我家の夏の定番の一つになりました。
 「食の世界地図」のフランス料理の小事典の部分、p.322によると「タマネギ、ニンニク、トマト、ナス、ピーマン、ズッキーニなどの野菜を
煮込んだプロヴァンス料理。温製、冷製どちらでも、また一品としても付け合わせとしても供される。」とのこと。
改訂 調理用語辞典」p.1242によると「数種類の野菜を取り合わせて作る南フランスの煮込み料理。ラタトゥイユとは、粗末な料理という意味。イタリアで作られるものはカポナータという。」とのこと。同辞典のp.242のカポナータは「イタリアの代表的野菜料理。仏名ラタトゥイユ。シチリア風カポナータは特に有名で、揚げたナス、セロリを、オリーブ、ケーパー等を入れたトマトソースで軽く煮込み、ワインビネガー、砂糖で仕上げる。ズッキーニを加える場合もある。」
 つまり、本場でも材料や作り方にバリエーションがあるのですね。
ですから今回、城戸崎愛の「洋風の家庭料理」を基にした、私のタイプを載せますが、自分の家にある、あるいは手に入りやすい旬の素材を上手に使い、自分の口に合う味になさってください。
 なお、この「洋風の家庭料理」を含むシリーズは、学生時代所属した調理学研究室、同期の友人からの結婚祝いで、どれもおいしくて、作り方が丁寧に書いてあり、途中の写真も多い、大変役立つ物です。今となっては古いでしょうが、もしもお母様や姉妹といった遠慮のいらない方がこの本をお持ちなら、処分される際には譲って頂いて、再度活用なさってはいかがでしょう?
 また、「食の世界地図」p.275に次のような説明があります。
「鮮度のよい野菜で上手に作れば日本人の味覚にもあうたいへんおいしいものなのだが、ラタトゥイユの名は実は、南フランス以外ではまずい料理の代名詞ともされる。理由は、この料理が長いこと、軍隊や刑務所の食事の定番とされてきたからである。
 材料費も手間もかからないというこの料理の長所が利用されたわけだが、そのような場で大鍋で雑に調理されては、さしものニース名物もたんなるごった煮と化す。」
 正直なところ、この本を読むまで、否定的な意味があるなど知らず、子どもが小さい頃、近所の奥さんたちとの持ち寄りの会に持参し「おいしい!」と喜ばれたことをヒヤッと思い出します。
 とにかく家庭料理は「安い・おいしい・栄養がとれる・あまり手間がかからない」が基本で、夏ばて気味のこの季節にピッタリの野菜料理の一つです。

各材料の成分・保存も含めた取り扱いについて
今回の材料の野菜はどれもカリウムを始めとする無機質が豊富で、高血圧の方にも良いですし、もちろん亜鉛も少量ずつ含まれています。また、各種ビタミンも含まれます。

トマト
 「医者いらず」と昔から言われます。
 トマトの酸はおもにクエン酸で、ついでリンゴ酸が比較的多いです。
クエン酸は筋肉の疲労物質を分解し、疲れやすい夏に合いますね。また、こういった酸はカルシウムの吸収率も上げます。
 遊離グルタミン酸が豊富で旨みがあり、料理にたっぷり使うとおいしくなります。
 色はカロテノイド系のリコピンが主で、強い抗酸化作用(第4回、4月10日号参照)があります。

なす
 「食品学」p.190によると、「なすの機能性として、抗変異原性抗酸化作用などが報告されている。」そうです。また、「低温障害を受けやすい野菜であり、10℃前後の温度が適している。」ので、冷蔵庫の野菜室か、涼しいところに置くようにし、冷蔵庫の温度の低い場所に保存しないようにしましょう。また、できるだけ早く召し上がるのが基本でしょうから、今回の材料分量に2個と書いてあっても、たとえば後1個残り中途半端な場合、3個入れてかまいません。
 さらに「ナスは揚物、炒め物など油を使った料理によく合う。これは油がナス独特の渋味成分をマスクするために、甘味を強く感じるようになるからである。」ということで、炒め煮にすると、こどもにも食べやすくなることでしょう。
見れば分かるかとは存じますが、新鮮なナスのヘタにはとげがあるので、切るときはなすの実の方を持ち、手がふれないように切り落としてください。

ズッキーニ
 ウリ科ですが、きゅうりよりかぼちゃに近いです。夏が旬です。

ピ-マン
 カロテンが多く、かぼちゃとともに緑黄色野菜の代表例です。よく熟した物ほど栄養が豊富になり、青ピーマンより完熟の赤ピーマンの方がカロテンもビタミンCもずっと多くなります。黄色のピーマン(別名キングベル、イエローベル)も青ピーマンより各栄養素が多いです。
 「食品学」p.191によると、「貯蔵最適貯蔵温度は10℃で、約5℃になると低温障害を受ける。」ので、なす同様気をつけましょう。 

玉ねぎ・にんにく・オリーブ油 
 4月号に書きました。

マッシュルーム
 昨年10月号に書きましたように、きのこ類には他の野菜に含まれていないビタミンD があり、骨を丈夫にします。が、夏は旬ではないので、手に入るきのこ類に代えるか、ラタトゥイユの場合、なくてもそれなりのものができます。
 たとえば、『栄養と料理』2006年7月号 今月の野菜レシピ10の、オクラと夏野菜のラタトゥイユに、きのこは入っていません。なお、この場合は、青ピーマンの代わりに夏が旬のオクラを使っています。
いろいろな工夫が楽しめますね。

ブーケガルニ
 「改訂 調理用語辞典」によると「パセリ、タイム、ローリエ、セロリ、チャービル、エストラゴンなどの香草類を、用途によって数種類束ねたもの。煮込み料理などの風味づけに用いる。」ということです。
 材料分量のところにブーケガルニの代替香辛料の1つとしてオレガノを書きましたのは、いろいろな本に「トマトを用いる料理にもよく合う」とありますし、自分でトマト料理に試して、たしかにそう感じるからです。
ただし、妊娠中避けた方がよいハーブの1つにオレガノも載っていました。詳しくは参考文献に載せたホームページをご覧ください。正直なところ私はハーブについて詳しくないので、これを書くべきかどうか迷いましたが、よくわからないときは、とりあえず警告に従えば安全・安心ですから、書き添えます。
 なお「世界薬用植物百科事典」p.317に「妊娠中でも料理にハーブを使うのは安全である。」と書いてあり、煎じて飲んだり、精油を使ったりする場合と、料理とを分けて考えています。たいがいは大丈夫でしょうが、「転ばぬ先の杖」ということばもあります。
 
調理する際の注意点
1人分の分量について
 「洋風の家庭料理」は4人分で、トマト6個、なす3個・・・と非常に多いですが、私の家なら、下記の分量で8人分(4人で2回)です。
 冷蔵庫を過信しないことは大事ですが、日常生活は時間や手間の節約も必要。2回分作って冷蔵庫に保存し、翌日は冷製というのも、夏の生活術の1つと考えます。
 中2の息子の好物であれば、この分量では足りないでしょうが、ギリシア風煮サラダ同様「一つ一つの野菜は好きだけれど、この味付けがいや」なのだそうです。19歳の娘は「今回の味つけはおいしい」と言いました。きっとこの料理も「大人の味」なのでしょう。お子様がいらして、タイムに慣れていない場合は、入れない方が食べやすいでしょう。
 カリウムの栄養価計算をしましたら、1人分約340mgでした。食事摂取基準のカリウムの目安量は、成人男性2000 mg、成人女性1600 mgで、男性1食分の51%、女性1食分の約64%です。穀類、肉や卵、魚等にもカリウムが含まれているので、何とか足りそうです。エネルギーは1人分58kcalと少なめですので、この料理をもっと多く召し上がると、カリウムを始め微量栄養素をたくさん摂れます。
 また、ビタミンB1が1人分0.07mg、亜鉛が0.29mgでした。主なおかずや主食を組み合さないと、足りません。
 なお栄養価計算するにあたり、次の分量で計算しました。
トマト70g、なす25g、ズッキーニ20g、玉ねぎ15g、マッシュルーム10g、青ピーマン8g、にんにく1g、白ぶどう酒6g、オリーブ油3g

油の量について
 「オトナの食育」で、油の摂り過ぎをしないようにと書いてきましたので、城戸崎先生のレシピより減らしています。が、多過ぎなければOKですし、野菜に含まれる脂溶性のビタミンやカロテンは油と摂取すると吸収が良いと言われています。
 さらに、「調理学」p.141によるとナスの表皮の紺色はアントシアニン色素で、「ナスの煮物をする場合には、ナスを油で揚げてアントシアニンを安定にしてから煮ると色落ちが抑えられる。」ということです。
なすを油で炒めてから煮るのは、色よく仕上げる意味もあるので、色にこだわるなら油をあまり減らしてはうまくいきません。
 家庭料理の良さとして、「見た目重視」か「健康重視」か、あるいは「どちらもほどほどか」を選択できることがあります。

材料分量(8人前)
  トマト(完熟)        4個
  なす             2個
  ズッキーニ         1本 (きゅうりでもよい)
  玉ねぎ         1/2個 (100gくらい)
  マッシュルーム      10個 
              (ぶなしめじ・しいたけ等、他のきのこに代えてもかまわない)
  ピーマン        2~3個 (緑・赤・黄が揃うとお店の雰囲気になりそう。
  (パプリカ)          京都の万願寺とうがらしでも大丈夫でした)
  にんにく          1片
  白ワイン       大さじ3
  オリーブ油      大さじ2 (サラダ油でもよい)
  ブーケガルニ      1束 (代わりにロリエの葉1枚、オレガノ小さじ1弱、タイム
                      小さじ1弱(粉末状のものなら少々)、等を入れてくだ
                      さい。ただし、妊娠中オレガノは避けてください。
                      3種類全部入れなくても、十分おいしいです。)

  塩      小さじ1と1/4位・・・材料の量・水分の飛ばし方・好み等によるので、
                      あくまで目安です。
                      まず少なめに入れて、味見をして調節なさってください。

  胡椒           少々
  飾り用にあればミントの葉、パセリの葉を刻んだ物  
 
作り方
(1) トマトはへたをくりぬき、頭に十文字の切込みを入れて熱湯につける。
  皮がめくれてきたら冷水にとって皮をむき、あらく刻む。
   この時、「洋風の家庭料理」では「種をとる」とありますが、とらなくても
  日常食としては支障がないです。水分を蒸発させる時間やエネルギーが
  かかりますが、種の使い道に困るくらいなら、とらなくてもよいと私は思い
  ます。
   料理研究家、奥園壽子さんの「正しいズボラの7カ条」の
  その1が 「面倒くさいと思う気持ちに素直になること」
  その6が 「料理の既成概念を捨てること」とあり、この例はそれに当たる
  のではないかと考えます。
   城戸崎先生には怒られそうですが・・・
(2) なすはへたを落として、時間があれば皮を縞にむき、縦2つに切って、
  幅1cmの半月切りにし、塩水につけてあく抜きする。
   「野菜のおかず大集合」p.113によると、なすは「切ってから調理する
  前に、海水位の塩水につけて、油で揚げたり、焼いたりすると、油を吸
  いすぎない」です。小林カツ代先生はこの本で、なすのカレー煮・なすの
  味噌炒めでも同様の方法を薦めています。私も試してみて、「たしかに」
  と思います。
(3) ズッキーニは皮を縞にむいて(なすより縞にしやすい)
  幅1cmの輪切りにする。
  なお、あくが気になる場合は、水にしばらくつけておく。
(4) 玉ねぎは皮をむいて上下を落として1cmの角切りに、にんにくは皮を
  むいて薄切りにする。
(5) 厚手の鍋にオリーブ油大さじ2を熱し、にんにくと玉ねぎを入れて
  しんなりするまで炒め、ズッキーニ、水けをきったなすを炒める。
  なすの皮が炒められたら、トマトを加えて、強めの中火で手早く
  炒め合わせる。
(6) 全体に油がなじんでしんなりとしてきたら、白ワインを注ぎ、
  ブーケガルニを入れ、鍋にふたをして弱火で蒸し煮にする。なお、あくが
  気になるならとる。
(7) ピーマンはへたと種を取って、適当な大きさに切る。
  城戸崎先生は「縦二つ割り」とされていますが、ピーマンが大きいと食べ
  にくい場合は、もう少し小さ目に。
(8) マッシュルームは洗って石づきを落とし、4つ割りにする。
(9) ピーマンとマッシュルーム(6)がとろっと煮えてきたら加える。
  城戸崎先生は油炒めしてから加えるとしていますが、そのまま加えても
  あまり支障がないので、手間をかけたくない場合は、そのままどうぞ。
  さらに煮込んで塩・胡椒で味をととのえて仕上げる。

盛り付け
 パセリのみじん切り、ミントの葉などをあしらうと、きれいです。

召し上がり方
 水溶性のビタミンや無機質がたっぷり含まれていますので、汁も残さずお召し上がりください。家庭での食事はそういう面でも気が楽ですね。 

引用文献
「新版 栄養学総論」菅生道廣ら著 朝倉書店(1996)
「食物とからだ」野口忠・今井悦子編著 放送大学教育振興会(2000)
「厚生労働省 平成15年国民健康・栄養調査報告」健康・栄養情報研究会編 第一出版(2006)
「食の世界地図」文春新書378 21世紀研究会編(2004)
改訂 調理用語辞典」社団法人全国調理師養成施設協会編(1998)
スタンダード栄養・食物シリーズ5 食品学」久保田紀久枝・森光康次郎編 東京化学同人(2003)
スタンダード栄養・食物シリーズ6 調理学」畑江敬子・香西みどり編 東京化学同人(2003)
スタンダード栄養・食物シリーズ9 基礎栄養学」倉田忠男・鈴木恵美子・脊山洋右・藤原葉子編
   東京化学同人(2004)
「新・病気とからだの読本 第10巻 のど・歯の病気と全身の症状」
  岩田誠・織田敏次・小坂樹徳・杉本恒明・野村恭也・石川烈監修
  味覚障害の部分は、池田稔執筆 暮しの手帖社(2006)
「栄養キーワード事典」五十嵐脩監修 池田書店(2005)
「世界薬用植物百科事典」A.シェヴァリエ原著、難波恒雄監訳  誠文堂新光社(2000)
「クッキング・エチュード 母から娘へ伝えるお料理2 洋風の家庭料理」 
  城戸崎愛著 講談社 (1983)
「小林カツ代の野菜のおかず大集合」小林カツ代著 大和書房(1988)
『くらしの風2006年6月号』奥園壽子「新・おかず宣言」朝日新聞社

参考文献
「仏英=和 料理用語辞典」3訂版 山本直文著 白水社(1980)
「料理の基礎の基礎コツのコツ」だいわ文庫Y571 小林カツ代著 大和書房(2006)
「五訂増補 食品成分表2006」女子栄養大学出版部
「オールフォト食材図鑑」荒川信彦・唯是康彦監修 社団法人全国調理師養成施設協会 (1996)
「国民栄養の現状 平成13年度厚生労働省国民栄養調査結果」
  健康・栄養情報研究会編  第一出版(2003)
スタンダード栄養・食物シリーズ3 人体の構造と機能 Ⅱ.生化学」
  近藤和雄・脊山洋右・藤原葉子・森田寛編 東京化学同人(2003)
スタンダード栄養・食物シリーズ7 食品加工貯蔵学」本間清一・村田容常編
   東京化学同人(2004)
スタンダード栄養・食物シリーズ10 応用栄養学」
  近藤和雄・鈴木恵美子・脊山洋右・藤原葉子編 東京化学同人(2005)
日本経済新聞2006年7月21日夕刊 土井善晴の食卓応援団009夏野菜
                 「夏野菜カレー」の理
日本経済新聞2006年7月29日朝刊 医食同源 かぼちゃで紫外線対策
                 新宿医院院長 新居裕久
朝日新聞2006年8月1日朝刊 ビタミン研究の先駆 鈴木梅太郎 見方さまざま 
                   報告早く概念は最初 発見者というには無理
『栄養と料理』2006年7月号 今月の野菜レシピ10 オクラ 女子栄養大学出版部
お茶大化学・生物総合管理の再教育講座 化学物質総合評価管理学特論5 
 食のリスク評価・管理の基礎 2006年7月20日講義資料 
 『食におけるリスクコミュニケーション』唐木英明(食品安全委員会委員)

http://home.tokyo-gas.co.jp/shoku110/note/136.html
東京ガス:食の生活110番Q&A 「味覚障害」と亜鉛の関係
http://home.tokyo-gas.co.jp/shoku110/note/235.html
東京ガス:食の生活110番Q&A 妊娠中に避けたいハーブ