オトナの食育
誰も儲からない 知ってて得する食の情報
第2回 2005/12/10号掲載    千葉悦子(高28)


バランスのよい食生活その2
―女性・子どものやせの問題―飽食の時代に栄養素の不足!


 皆様、お久しぶりです。
 第1回が発行されてから、八重洲ブックセンターの食育コーナーに参りまして、青くなったり赤くなったりする気持ちでした。
服部幸應先生が「大人の食育」という同名の本をNHK出版、生活人新書に書かれていました。偶然同じになりやすいネーミングでしょうが、せめて表記方法だけでも変えようと思い、今月から「オトナの食育」とします。
メルマガには、編集委員さんのお一人のご意見の「カタカナ」の方がぴったりなのかも、と思い直しました。

 炊き込み飯を作られた方、いかがでしたか?新婚の姪が読んでくれて、栗ご飯を作ったところ、第1回の作り方を参考にしたため、「おいしかったけれど、少し塩分が濃い目かも」とのこと。栗ご飯は例外的に、塩分控えめが合っていると私は感じます。夫に「塩気が欲しい」と言われますが、私は、塩分を何も入れずに炊くことが多いです。後から各自がごま塩とかを振ればよいし、私自身はそのまま頂きます。2年前、自分の1日分の食事の塩分計算をして、当時の日本の基準 10g/日未満(現在でも男性は同様、女性は8g/日未満)は満たしていましたが、WHOの勧告6g/日以下にはとても到達しないと分かりましたからです。
 このように自分の感覚・考えに合わせた味を作れることが、手料理の良さと思います。
 また、一般論からはみ出るような材料配合・味つけ等があるからこそ、  一つ一つのレシピに価値があり、たとえば炊き込み飯のバリエーションだけ載っている本が存在するのでしょう。ですが、料理に時間や労力それに書籍を置くスペース等、十分かけられない人の方が多いでしょうから、応用がきく基本を載せました。

バランスのよい食生活その2
―女性・子どものやせの問題―飽食の時代に栄養素の不足!
                  貧血・骨粗しょう症等

肥満ではないのに、やせたがる女性や子ども
 日本の成人男性にとりましては、肥満が一番の問題でしょうが、女性や子どもは、やせすぎとか、無理なダイエットの方が問題です。
 「平成13年度厚生労働省国民栄養調査結果」(もっと新しい統計がありますが、手持ちの本で失礼いたします)によると、BMI18.5未満でやせと判定される20歳以上の男性は4.9%であるのに対し、女性は10.0%で、20歳代・30歳代女性は肥満の率より、やせの方が多く、19.9%、16.1%です。
 「平成12年度 児童生徒の健康状態サーベイランス事業報告書」では 「かなりやせたいと思っている」「少しだけやせたいと思っている」を足すと、中学生男子が37.6%、高校生男子が39.9%、中学生女子が80.8%、高校生女子が87.3%です。この4グループでBMIのもっとも高いのが高校女子の21.1です。つまり、やせる必要のない中高校生の多くが、「やせたい」と考えているのです。しかも、その思いは年々低年齢化し、小学生までもやせたがる傾向が強くなっているようです。

無理なダイエットの主な問題
 第1回で述べましたように、BMI22辺りは一番病気が少ないです。
22から離れるほど、統計的には病気が増えると考えてよいでしょう。
中高校生の平均値は22より低いのに、さらにやせようと思う生徒が多いのですから、理屈に合いません。
 ダイエット方法として健康的なのは、運動量を増やし、食事の量は今までどおりというものでしょう。この場合でも、身体が必要とする栄養量が増えるので、微量栄養素の無機質・ビタミンなどが不足するかもしれません。
 食事そのもので安全にダイエットをするのは、さらに難しいです。単に食事の全体量を減らせば、微量栄養素もたんぱく質もその分減るので、貧血・骨粗しょう症・脚気等の問題が起こりやすくなるからです。
 長年、家庭科では「日本人は鉄やカルシウムが不足しがち」と問題視してきました。日本では栄養の量を考える際「栄養所要量」が基準でしたが、今年度から「食事摂取基準」となりました。その値と、栄養の現状を考えると、まだ全体的に日本人は鉄やカルシウムが不足しがちです。
 リバウンドといった問題は大事ですが、今回省かせていただきます。
 なお健康障害を起こすやせ薬は、論外です。

日本人に不足しがちな鉄やカルシウムの摂取の仕方
 本来は他の微量栄養素も大事ですが、この二つを栄養剤やサプリメントでなく、従来の食品の形で十分摂取すれば、他の微量栄養素もほとんどいっしょに取れますので、この二つの栄養素についてお話します。

①貧血とその予防・・・鉄の摂取の仕方
 貧血は、血液の中に含まれる赤血球の数が少ない、あるいはヘモグロビン濃度が低いことを意味します。献血をしようとして「薄過ぎるのでダメ」となれば、気をつける必要があります。貧血の原因は、食事から摂取する鉄やたんぱく質の不足だけでなく、病気や感染症などもありますので、後者が疑われる場合や貧血の程度がひどい場合(妊娠中はなりやすいです)は、すぐにお医者さんにかかりましょう。
 ここでお話しするのは、治療は不要ですが、食事からの摂取量が少ないという場合の対処です。
 赤血球の主なものはヘモグロビンで、主成分はたんぱく質と鉄です。
たんぱく質は現在の日本で不足する人は少ないでしょう。とは言え、フライドポテト・スナック菓子・カップラーメン・菓子パン・おにぎり・清涼飲料ばかりといった糖質や脂質に偏る食事をすれば、たんぱく不足や ビタミンB₁不足(脚気)等もありえます。また、栄養不良になると免疫の低下を起こし種々の感染症にかかりやすくなります。

 鉄は、各種栄養価計算や国民栄養調査を考え合わせると、女性はかなり不足している人が多いです。また、成長期にも、さらにその時期に激しい運動をすると、不足する場合があります。
 
鉄を多く含む食品といえば、レバー・肉・ほうれん草とお考えでしょう。それ以外には、魚介類・卵・ひじき・煮干・ゴマ・切り干し大根・大豆・きな粉・凍り豆腐・小松菜などの青菜などがあげられます。乾物は水分が少ないので、100g当りの鉄の量は多いですが、1回に食べられる量で考えると、レバー・赤身肉・魚介類・青菜・ひじきといったところでしょう。
ただし、食物中の鉄は、動物性食品に含まれる“ヘム鉄”と植物性食品に含まれる“非ヘム鉄”の2種類に分けられ、吸収率が異なります。
ヘム鉄の吸収率は15~25%、非ヘム鉄の吸収率は2~5%ですが、同時に摂取する食事内容が強く影響します。非ヘム鉄の吸収を良くするには、
ビタミンC(3価の鉄を2価にするという還元作用があります)と組み合わせます。また、非ヘム鉄の多い豆類・野菜類・藻類などは、動物性食品と組み合わせます。
 
鉄の吸収を阻害する物を控えましょう。コーヒー・紅茶・緑茶等に含まれるタンニン酸、加工食品に含まれるリン酸塩などの食品添加物、野菜―特にほうれん草に含まれるシュウ酸塩などです。ほうれん草をゆでるとシュウ酸がかなり流出しますので、気にし過ぎないでください。ただし、「ポパイ」のイメージが強過ぎて、ほうれん草は他の青菜よりパワーがあるという先入観があるでしょうが、そうとも限りません。他の青菜もお召し上がりください。
 食後の緑茶とか、コース料理の最後にコーヒー・紅茶・中国茶というのは、理にかなっていますね。
 たまに加工食品を食べるくらいは、大丈夫でしょう。
ですが、国が一般的な摂取量をもとにして安全基準を作成しても、加工食品を極度に多く食べれば、広く使われているリン酸塩を取り過ぎる可能性もあることを、心に留めておいて頂きたいです。
 また、胃酸分泌抑制薬や制酸薬には、鉄吸収阻害作用があるので、専門家に相談なさってください。
 
ひじきのヒ素の問題の対処としては、ひじきをたっぷりの水で戻すことがポイントとなります。もともと乾物を戻すには、たっぷりの水が必要です。
イギリスでヒ素が問題になったのは、ひじきの食経験が浅く、戻し方が違ったことによるようです。海産物には海の汚染物質の問題が付きまといますが、ベネフィットとリスクを天秤にかけ、リスクを少なくする工夫をして、不足しがちな鉄分をはじめとする栄養分を摂取したいものです。なお、ひじきの問題を詳しく知りたい方は、「『食品報道』のうそを見破る食卓の安全学」をお読みください。
 
レバーを食べ過ぎないようにしましょう。たとえば、豚レバー100g中には鉄が13gある反面、ビタミンAがレチノール当量で13000μg、鶏レバーは14000μgです。食事摂取基準のビタミンA上限量は成人で3000μgRE/日なので、計算上厳しいものがあります。「基礎栄養学」p.118によると、ビタミンA を「一度に大過剰を摂取した場合では腹痛、吐き気、嘔吐、頭痛、皮膚の全身的な剥脱などの急性症状が、慢性的な過剰摂取では頭蓋内圧亢進症や皮膚の剥脱、口唇炎、脱毛症、食欲不振、筋肉痛などの症状が見られる。」そうです。ただし、身体の中でビタミンAに変わるカロテンは、食事の形で取る分には過剰摂取は考えられないと言われているので、ご心配なく。
 私や家族が鶏レバーの串刺しを一度に2本くらい食べても何の症状もないのは、いくつか理由が考えられます。上限量というのは、全ての人に問題が出ないようにと考えた値であり、もっとたくさん食べても大丈夫な人も多いでしょう。また、たまに食べるだけで、毎日食べるわけではありません。
その上、レバーの料理は、臭みを消すために、水や牛乳に浸したり、味をつけながらしょうゆ・酒・しょうが汁等の中に浸けたりすることが多く、レバーの成分が流出し、鉄も減る反面、ビタミンAも減少するのでしょう。
 とにかく、レバーが身体に良いからといって、一人で一回の食事に山盛り召し上がるのは、やめましょう。

②カルシウムの摂取の仕方
 カルシウムといえば、骨や歯の構成成分と思い浮かべるでしょうが、血液の血漿中にも存在します。そういうカルシウムは血液凝固、筋肉収縮、神経の興奮、免疫機能の維持など、生体での重要な役割をもつため、その濃度はいつも一定に保たれています。カルシウムの摂取量が足りないと、骨から  血漿に持ってきますので、長期にわたりカルシウムが不足すると、骨がスカスカになり、
骨粗しょう症になるのです。なお、重力を身体が感じないと骨は弱りますので、1日の内に何時間か立っている必要があるそうです。食事を気にするだけでは、いけませんね。
 食物からの
カルシウム吸収率は、年齢とともに低下します。子どもに、「成長期なので、しっかり食べなさい」と言いながら、父母や祖父母は自分たちこそ自戒しましょう。
 
ビタミンDはカルシウムの吸収を助けます。ビタミンDが多いのは、乾物のきくらげ、クロカジキ・カワハギをはじめとする魚、イクラ、アンコウの肝、干ししいたけなどです。前回も書きましたが、日光に当れば、きのこも有効です。
 食物からとる
カルシウムとリンの比率がCa:P=1:1~2であると吸収  利用率が高いと言われています。ところが、「平成13年度厚生労働省国民栄養調査結果」によると、30~49歳の男性のカルシウム摂取量の平均は483.9mg、リンは1120mgで、1:2.3ですから、理想的とは言えません。この年代の男性の食事摂取基準のカルシウムの目標量は600mgですから、カルシウムを積極的にとることがまず大事でしょう。また、牛乳や乳製品のカルシウムは吸収率が高く、植物性食品や小魚のカルシウムは吸収率が低いです。ですが、非常に多く牛乳や乳製品をとると、脂質の過剰摂取の問題が生じますので、小魚・サクラエビ・海藻・切り干し大根・ゴマ・青菜等も組み合わせましょう。
鉄のところで書きましたシュウ酸や、穀類や大豆に含まれるフィチン酸は 吸収を阻害します。食物繊維も阻害すると考えられてきましたが、最近の研究では吸収を促進するという報告が見られるようになっているそうです。食物繊維と複合体を形成しているフィチン酸が、真の阻害物質である可能性が高いと考えられているそうです。
 なお、フィチン酸は血糖を制御するという機能もありますから、悪者と決めつけることは、できません。
 ナトリウムの摂取量が多いと、カルシウムの排泄量喪失が増加します。
塩を摂り過ぎないことも大事です。
 また、たんぱく質の摂取量が増加すると、カルシウムの排泄量が増加するので、たんぱく質は免疫力を高めるとはいえ、ほどほどが良いでしょう。
 カルシウムの過剰摂取により泌尿器系結石、他の必要な栄養素の吸収阻害などがあるので、「背が伸びるように」とか「骨粗しょう症にならないように」などと安易に栄養剤やサプリメントを取り過ぎて、障害を起こさないようにしましょう。

③まとめ
 以上、鉄とカルシウムだけを取り出しました。「それぞれの栄養素は他の栄養素と密接な関係があり、バランスが大切」とご理解頂けたのでは?と期待いたします。サプリメントや健康食品の売り手は、都合の良いデータのみを示して「○○の栄養素が足りなくなりがちなので、これをどうぞ。」
といった巧みな話をするでしょうが、安易に使うと、かえってバランスを崩す、あるいは過剰摂取になる場合もあります。ご注意ください。
 加工食品の利用が年々増え、私自身も使いますが、リンの過剰摂取による鉄やカルシウムなどの吸収の阻害という問題もありますので、加工食品に頼り過ぎないことを、お勧めいたします。
 けれど、このような知識を伴侶や家族に押し付けて、自分は手伝わないというのは最悪です。どうぞご自分でも買い物や料理をなさって、加工食品に偏らず、栄養バランスの良い、楽しい食事を実践なさってください。


12月・1月のご馳走

【牡蠣の炊き込み飯

■ お薦めの理由 
  牡蠣は、たんぱく質・
鉄・カルシウム・亜鉛(これが足りないと味覚障害になるということは、最近店頭でも宣伝していますね。)・ビタミンB群などを豊富に含み、脂質は少ないです。
 コレステロール低下作用・血圧降下作用などのある
タウリンも含みます。
 11月以降、冬が旬です。鍋物以外の油を使わない日本料理として、牡蠣ご飯を提案します。

■ 牡蠣の選び方
  「オールフォト食材図鑑」p.283に「むき身は、粒がそろっており、肉が太って乳白色で光沢のあるもの、衛生的に管理されて生食用として売られているものがよい。」とありますが、これは生食の場合の話です。
 信頼の置けるお店で冬に購入するのであれば、炊き込み飯には「加熱用」で十分で、かえっておいしいという話もあります。

■ 牡蠣の扱い
  「改定調理用語辞典」p.207によると「黒っぽく汚れて見えるものは、むくときに出る液汁に浸してあるためで、この液の中で2日間は生きているというから、調理直前まで洗わぬほうがよい。」そうです。

■ 応用
  牡蠣茶づけ・・・牡蠣ご飯に、出し汁を調味した物
          (砂糖 だしの1.5%、塩 だしの0.8%、しょうゆ だしの1%)
           を煮立ててかけ、好みの薬味(わさび・もみのり・
            さらしねぎ等)を添える。
 
 注:このレシピは私が駆け出しの教員の頃使用した、中教出版
   「新版食物Ⅱ」の教科書のものです。今では薄味が広まっているので、
   もう少し塩分を控える方が良いかもしれません。


牡蠣の炊き込み飯・・・第1回「きのこの炊き込み飯」の応用

材料分量・・・およそ茶碗8膳分
       (大人およそ4人分、我が家の場合、中1男子と夫婦の計3人分)        約186kcal

 米      2.5カップ 
1カップ(200ml)は約160gと考え、
        160g×2.5=400g
 牡蠣    米の50%   400g×0.5=200g
         
炊き込み飯の具の量は、米の30~50%が基本ですが、
         今回は多めにしてください。
         50%で作りましたところ、ちょうど良かったです。
         主菜とするなら、50%より少し多くても良いでしょう。
 昆布だし  水の量は400g×1.5=600g 
                      600mlから液体調味料を引く
                      600-15-30=555 ml
 塩分     600g×0.01=6g 
        
塩としょうゆを塩分について約1:1に分けるとして、
   食塩     3g(小さじ3/5)、
   しょうゆ   塩分3gを5倍して15ml(大さじ1)
 酒      
炊き水の5%程度 600×0.05=30ml(大さじ2)
         
牡蠣ご飯なので10%とし、60mlでもよいでしょう。
 もみのり・あさつき等お好みで
 
作り方
① 昆布だしを作る。鍋に蒸発量を足して水を入れ、できれば昆布を30分つけておき、火にかけ、沸騰直前に昆布を取り出す。昆布の量が多いと旨味は強くなるでしょうが、今回の分量で、ざっと長さ10cmくらい 使えば、入れないよりぐんとおいしくなります。昆布の太さ・質によるので、厳密に分量を示すのは困難です。
② 洗米し浸水。
米に555mlのだしを加え、最低30分、なるべく1時間浸けておく。
調味料は入れず加熱直前に加えるのが要点。初めから入れると米の吸水が悪くなり、ふっくらしたご飯にならない。
炊飯器を使い、きっちり測る手間を省く場合、2.5カップのところ
(実際には、2カップと3カップの線の中間)よりずっと少なめに
水を入れておき、濃い目のだしを入れて、調味料分少なめに調節する。
③ 調味料を入れ、米を壊さないように混ぜる。
④ 米を炊く。自動炊飯器なら白飯と同じスイッチでかまわない。鍋で炊くときは、調味料により焦げやすいので注意する。
⑤ 牡蠣を一粒ずつ殻のないように、2%の食塩水(冷水)で洗う。水を切るため、ざるに入れる。
⑥ 牡蠣の場合は、加熱し過ぎを防ぐため、沸騰したら米の上に入れる。
味つけ飯は沸騰を見逃しやすいので、沸騰する頃になったら注意。 加熱開始から5分くらいが目安。
⑦ 炊き上がり蒸らし終わったら、すぐにふたを開け、かき混ぜて余分な水分を逃がす。牡蠣を壊さないように。  
⑧ 盛り付け、好みでもみ海苔・あさつきとかを散らす。

【だて巻き卵
  中教出版「新版食物Ⅱ」の教科書を基にして、私なりの工夫を入れています。
材料分量
☆ 5人分・・・
底面12×16cm程度の卵焼き鍋1枚分には少し多く、
       焼きにくく、巻きにくいです。もう少し大きい鍋の方が良いです。
       21×21cmの卵焼き鍋ですと、この2倍の量にしてください。
  卵       3個(正味150g)
  白身の魚  卵の50% 75g 
白身魚のすり身やはんぺんを使っても
                      よいが、その場合、その分塩分を控える。
  塩       魚の2%       1.5g    小さじ1/4強
  砂糖     卵と魚の20%   45g    大さじ5
  だし汁    卵と魚の20%    45cc    大さじ3
  しょうゆ   卵と魚の 2%    4.5cc   小さじ1弱

作り方
卵は殻が入らないように割っておく。
白身の魚は皮や骨が入らないように身をかき取り、フードプロセッサーに入れ、塩を加えてしばらく混ぜる。すり鉢でするのが従来の方法。
卵・だし汁・調味料を入れ、よく混ぜる。すり鉢の場合、よく混ぜた卵を少しずつ加えて練りのばし、卵と魚が完全に混ざってから次の卵液を入れ、調味する。
卵焼き鍋に、ごく薄く油を引き、③を一度に流して弱火で焼く。
ふたをするとよい。鍋のふちに火が通り、白く固まり始めたら、もう1つの大きめのフライパンを適度に温めておき、ごく薄く油を引き、そこへそっと置いて、ふたをして弱火で加熱。(邪道かもしれませんが、不器用でもうまく行く方法です。)
  卵焼き鍋がない場合は、オーブンと天板を使ってもよい。天板が大き過ぎるときは、適当な大きさのバットを使うと適度な厚さになり、仕上がりがよい。ただし卵焼き鍋・直火より加熱時間がかかる。
ロールケーキを焼くのと同じような感覚で焼いてください。
ごく薄く油を塗った鬼すだれに取って、だて巻の内側になる上の面に、厚さの途中まで切れ目を何本か入れる。巻き始めの方は、間隔を短めにして切れ目を入れる。
  軽く巻き、ときどきすだれを絞めて型を整える。外から輪ゴムで止めておくとよい。鬼すだれがない場合は、海苔巻き用の普通の巻きすを使う。
冷えてから、すだれを外し、1.5cmくらいの厚さに切る。

卵焼き鍋などについて
 弁当を今後作るのでしたら、厚手で上質の卵焼き鍋(卵焼き器)を求めることをお薦めします。1つ500円などというのは、熱容量が小さくて焦げやすく、また、テフロンといった特殊加工の質も良くなさそうですから、長持ちしないでしょう。家庭の台所仕事というのは、子どもの話を聞きながらするといった、ながら仕事ですから、台所暦が長くなりましても、失敗はつき物でしょう。それだけに、失敗の少ない調理器具をそろえるのは、意味があると思います。
 だて巻だけでなく、出し巻き卵や、普通の卵焼き、薄焼き卵にも重宝です。もちろんホットケーキもよいでしょう。子どもが3人家におりましたときは大きい卵焼き鍋(21×21cm)が便利でした。今でも2回頂くときは、大きい方です。家族の状況に合わせて、調理器具も見直せると良いですね。
 1月の松が取れる頃になると、上質の調理器具が安価になる場合があるので、4月からの弁当作り合わせて購入しておくのは、賢いかもしれません。
 
お詫び・・・ギリシア風サラダは今回省略させて頂きます。

引用文献
スタンダード栄養・食物シリーズ9 基礎栄養学」
       倉田忠男・鈴木恵美子・脊山洋右・藤原葉子編 東京化学同人(2005)
文部省検定済教科書「新版食物Ⅱ」松本文子・宮崎基嘉ら著 中教出版 (1975)
「オールフォト食材図鑑」荒川信彦・唯是康彦監修 社団法人全国調理師養成施設協会 (1996)
改定調理用語辞典」社団法人全国調理師養成施設協会編 調理栄養教育公社 (1998)

参考文献
「カラーグラフ食品成分表5訂」実教出版 
「調理と理論」山崎清子・島田キミエ共著 同文書院(1975)
「食物と身体」野口忠・今井悦子著 放送大学教育振興会(2000)
「国民栄養の現状 平成13年度厚生労働省国民栄養調査結果」
        健康・栄養情報研究会編 第一出版(2003)
「平成12年度 児童生徒の健康状態サーベイランス事業報告書」(財)日本学校保健会
スタンダード栄養・食物シリーズ3 人体の構造と機能 Ⅱ.生化学」
    近藤和雄・脊山洋右・藤原葉子・森田寛編 東京化学同人(2003)
スタンダード栄養・食物シリーズ5 食品学」久保田紀久枝・森光康次郎編   東京化学同人(2003)
スタンダード栄養・食物シリーズ10 応用栄養学」
    近藤和雄・鈴木恵美子・脊山洋右・藤原葉子編 東京化学同人(2005)
「全網羅 食品添加物危険度事典」渡辺雄二著 ワニのNEW新書(1999)
「食品報道」のうそを見破る「食卓の安全学」 松永和紀著 家の光協会(2005)