オトナの食育
誰も儲からない 知ってて得する食の情報
第2回 2005/12/10号掲載 千葉悦子(高28)
バランスのよい食生活その2
―女性・子どものやせの問題―飽食の時代に栄養素の不足!
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12月・1月のご馳走 【牡蠣の炊き込み飯】 ■ お薦めの理由 牡蠣は、たんぱく質・鉄・カルシウム・亜鉛(これが足りないと味覚障害になるということは、最近店頭でも宣伝していますね。)・ビタミンB群などを豊富に含み、脂質は少ないです。 コレステロール低下作用・血圧降下作用などのあるタウリンも含みます。 11月以降、冬が旬です。鍋物以外の油を使わない日本料理として、牡蠣ご飯を提案します。 ■ 牡蠣の選び方 「オールフォト食材図鑑」p.283に「むき身は、粒がそろっており、肉が太って乳白色で光沢のあるもの、衛生的に管理されて生食用として売られているものがよい。」とありますが、これは生食の場合の話です。 信頼の置けるお店で冬に購入するのであれば、炊き込み飯には「加熱用」で十分で、かえっておいしいという話もあります。 ■ 牡蠣の扱い 「改定調理用語辞典」p.207によると「黒っぽく汚れて見えるものは、むくときに出る液汁に浸してあるためで、この液の中で2日間は生きているというから、調理直前まで洗わぬほうがよい。」そうです。 ■ 応用 牡蠣茶づけ・・・牡蠣ご飯に、出し汁を調味した物 (砂糖 だしの1.5%、塩 だしの0.8%、しょうゆ だしの1%) を煮立ててかけ、好みの薬味(わさび・もみのり・ さらしねぎ等)を添える。 注:このレシピは私が駆け出しの教員の頃使用した、中教出版 「新版食物Ⅱ」の教科書のものです。今では薄味が広まっているので、 もう少し塩分を控える方が良いかもしれません。 牡蠣の炊き込み飯・・・第1回「きのこの炊き込み飯」の応用 材料分量・・・およそ茶碗8膳分 (大人およそ4人分、我が家の場合、中1男子と夫婦の計3人分) 約186kcal 米 2.5カップ 1カップ(200ml)は約160gと考え、 160g×2.5=400g 牡蠣 米の50% 400g×0.5=200g 炊き込み飯の具の量は、米の30~50%が基本ですが、 今回は多めにしてください。 50%で作りましたところ、ちょうど良かったです。 主菜とするなら、50%より少し多くても良いでしょう。 昆布だし 水の量は400g×1.5=600g 600mlから液体調味料を引く 600-15-30=555 ml 塩分 600g×0.01=6g 塩としょうゆを塩分について約1:1に分けるとして、 食塩 3g(小さじ3/5)、 しょうゆ 塩分3gを5倍して15ml(大さじ1) 酒 炊き水の5%程度 600×0.05=30ml(大さじ2) 牡蠣ご飯なので10%とし、60mlでもよいでしょう。 もみのり・あさつき等お好みで 作り方 ① 昆布だしを作る。鍋に蒸発量を足して水を入れ、できれば昆布を30分つけておき、火にかけ、沸騰直前に昆布を取り出す。昆布の量が多いと旨味は強くなるでしょうが、今回の分量で、ざっと長さ10cmくらい 使えば、入れないよりぐんとおいしくなります。昆布の太さ・質によるので、厳密に分量を示すのは困難です。 ② 洗米し浸水。 米に555mlのだしを加え、最低30分、なるべく1時間浸けておく。 調味料は入れず加熱直前に加えるのが要点。初めから入れると米の吸水が悪くなり、ふっくらしたご飯にならない。 炊飯器を使い、きっちり測る手間を省く場合、2.5カップのところ (実際には、2カップと3カップの線の中間)よりずっと少なめに 水を入れておき、濃い目のだしを入れて、調味料分少なめに調節する。 ③ 調味料を入れ、米を壊さないように混ぜる。 ④ 米を炊く。自動炊飯器なら白飯と同じスイッチでかまわない。鍋で炊くときは、調味料により焦げやすいので注意する。 ⑤ 牡蠣を一粒ずつ殻のないように、2%の食塩水(冷水)で洗う。水を切るため、ざるに入れる。 ⑥ 牡蠣の場合は、加熱し過ぎを防ぐため、沸騰したら米の上に入れる。 味つけ飯は沸騰を見逃しやすいので、沸騰する頃になったら注意。 加熱開始から5分くらいが目安。 ⑦ 炊き上がり蒸らし終わったら、すぐにふたを開け、かき混ぜて余分な水分を逃がす。牡蠣を壊さないように。 ⑧ 盛り付け、好みでもみ海苔・あさつきとかを散らす。 【だて巻き卵】 中教出版「新版食物Ⅱ」の教科書を基にして、私なりの工夫を入れています。 材料分量 ☆ 5人分・・・底面12×16cm程度の卵焼き鍋1枚分には少し多く、 焼きにくく、巻きにくいです。もう少し大きい鍋の方が良いです。 21×21cmの卵焼き鍋ですと、この2倍の量にしてください。 卵 3個(正味150g) 白身の魚 卵の50% 75g 白身魚のすり身やはんぺんを使っても よいが、その場合、その分塩分を控える。 塩 魚の2% 1.5g 小さじ1/4強 砂糖 卵と魚の20% 45g 大さじ5 だし汁 卵と魚の20% 45cc 大さじ3 しょうゆ 卵と魚の 2% 4.5cc 小さじ1弱 作り方 ①卵は殻が入らないように割っておく。 ②白身の魚は皮や骨が入らないように身をかき取り、フードプロセッサーに入れ、塩を加えてしばらく混ぜる。すり鉢でするのが従来の方法。 ③卵・だし汁・調味料を入れ、よく混ぜる。すり鉢の場合、よく混ぜた卵を少しずつ加えて練りのばし、卵と魚が完全に混ざってから次の卵液を入れ、調味する。 ④卵焼き鍋に、ごく薄く油を引き、③を一度に流して弱火で焼く。 ふたをするとよい。鍋のふちに火が通り、白く固まり始めたら、もう1つの大きめのフライパンを適度に温めておき、ごく薄く油を引き、そこへそっと置いて、ふたをして弱火で加熱。(邪道かもしれませんが、不器用でもうまく行く方法です。) 卵焼き鍋がない場合は、オーブンと天板を使ってもよい。天板が大き過ぎるときは、適当な大きさのバットを使うと適度な厚さになり、仕上がりがよい。ただし卵焼き鍋・直火より加熱時間がかかる。 ロールケーキを焼くのと同じような感覚で焼いてください。 ⑤ごく薄く油を塗った鬼すだれに取って、だて巻の内側になる上の面に、厚さの途中まで切れ目を何本か入れる。巻き始めの方は、間隔を短めにして切れ目を入れる。 軽く巻き、ときどきすだれを絞めて型を整える。外から輪ゴムで止めておくとよい。鬼すだれがない場合は、海苔巻き用の普通の巻きすを使う。 ⑥冷えてから、すだれを外し、1.5cmくらいの厚さに切る。 卵焼き鍋などについて 弁当を今後作るのでしたら、厚手で上質の卵焼き鍋(卵焼き器)を求めることをお薦めします。1つ500円などというのは、熱容量が小さくて焦げやすく、また、テフロンといった特殊加工の質も良くなさそうですから、長持ちしないでしょう。家庭の台所仕事というのは、子どもの話を聞きながらするといった、ながら仕事ですから、台所暦が長くなりましても、失敗はつき物でしょう。それだけに、失敗の少ない調理器具をそろえるのは、意味があると思います。 だて巻だけでなく、出し巻き卵や、普通の卵焼き、薄焼き卵にも重宝です。もちろんホットケーキもよいでしょう。子どもが3人家におりましたときは大きい卵焼き鍋(21×21cm)が便利でした。今でも2回頂くときは、大きい方です。家族の状況に合わせて、調理器具も見直せると良いですね。 1月の松が取れる頃になると、上質の調理器具が安価になる場合があるので、4月からの弁当作り合わせて購入しておくのは、賢いかもしれません。 お詫び・・・ギリシア風サラダは今回省略させて頂きます。 |
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引用文献 「スタンダード栄養・食物シリーズ9 基礎栄養学」 倉田忠男・鈴木恵美子・脊山洋右・藤原葉子編 東京化学同人(2005) 文部省検定済教科書「新版食物Ⅱ」松本文子・宮崎基嘉ら著 中教出版 (1975) 「オールフォト食材図鑑」荒川信彦・唯是康彦監修 社団法人全国調理師養成施設協会 (1996) 「改定調理用語辞典」社団法人全国調理師養成施設協会編 調理栄養教育公社 (1998) 参考文献 「カラーグラフ食品成分表5訂」実教出版 「調理と理論」山崎清子・島田キミエ共著 同文書院(1975) 「食物と身体」野口忠・今井悦子著 放送大学教育振興会(2000) 「国民栄養の現状 平成13年度厚生労働省国民栄養調査結果」 健康・栄養情報研究会編 第一出版(2003) 「平成12年度 児童生徒の健康状態サーベイランス事業報告書」(財)日本学校保健会 「スタンダード栄養・食物シリーズ3 人体の構造と機能 Ⅱ.生化学」 近藤和雄・脊山洋右・藤原葉子・森田寛編 東京化学同人(2003) 「スタンダード栄養・食物シリーズ5 食品学」久保田紀久枝・森光康次郎編 東京化学同人(2003) 「スタンダード栄養・食物シリーズ10 応用栄養学」 近藤和雄・鈴木恵美子・脊山洋右・藤原葉子編 東京化学同人(2005) 「全網羅 食品添加物危険度事典」渡辺雄二著 ワニのNEW新書(1999) 「食品報道」のうそを見破る「食卓の安全学」 松永和紀著 家の光協会(2005) |