♪〜♪「グリーンピースのボヌ・ファム」をめぐるお話♪〜♪
15年くらい育てたベランダのサボテンに、初めて花が咲きました!
つぼみの段階では、月下美人に比べてグロテスクですが、咲いたら大きな白い花で立派です。改めて『待つ』ことの大切さを感じます。それから、この間の冬が異常に暖かだったことが一番大きな理由かな?と家族で話しました。
料理でも教育や育児でも、加減を気にしながら『待つ』ということは大切ですね。「言うは易し、行うは難し」ですが…。
今回は、前回5月号に載せました「グリーンピースのボヌ・ファム」をメルマガ編集委員さん(A)が作ってくださり、それについての私(E)とのメールのやり取りを載せます。
料理の細かなコツが伝わるようにと存じます。
5月10日
E: グリーンピースのボヌ・ファムという料理は知っていらっしゃいましたか?
A: いいえ。グリンピースとレタスのスープというわけでもなさそうですよね?
レシピを調べて作ってみます。もしお手間でなければ教えてください。
E: スープでなく、煮物です。煮汁は少ないです。
ヤフーでは「グリーンピースのボヌ・ファム」そのものでは、出てきません。
A: レタスは煮込んでもシャキシャキ感が残りますね。
どんなふうになるのか楽しみです。ぜひレシピをお送りください。
5月16日
A: レシピ、届きました。カラーコピーもつけていただいたおかげで、
イメージがつかめました。材料を買って帰り、今夜作ってみます。
村上さんの料理本ってこんな風に書かれていたのですね〜。
NHKの「今日の料理」の再放送で流れていた映像と重なります。
5月17日
A: 昨夜、作ってみました☆
グリンピースは、鞘から出した状態でパック詰めで売られていて
1パック80g強で298円。
村上レシピはアバウトな分量表示だったので、レタスの量などで
調整すればよいと考え1パックで作ることにしました。
タマネギもMサイズを選択、ベーコンはあまり好きではないので
少しだけにしました。
E: ベーコンがお薦めですが、好きでない方は、ソーセージとか
1枚余ったハムとかでもかまいません。
A: レシピどおりの調味料で作ってみましたら、ホコホコした豆の味で
とても美味しかったです。
E: 私もそう思いますが、かぼちゃや芋のホコホコが嫌いな人には、
ダメなのかもしれませんね。
A: 豆の甘さを出すために
隠し味に砂糖を加えるのでしょうかね?
最初は「砂糖〜?」と思いましたが、塩コショウだけではあっさりし
過ぎて甘味が感じられなかったかもしれません。
E: 砂糖が少し入るとおいしくなって食べやすいということでしょう。
A: 私はレシピどおりの味付けをしたあと、固形スープを入れてアレンジ
してみました。すると、ご飯のおかずで食べるのなら固形スープを入
れると、ご飯が進みます。(塩分がプラスになりますしね)
でも、固形スープの味が強くなると普通のコンソメスープのように
なってしまい、グリンピースの甘みが薄れてしまいました。
塩コショウ・砂糖少々の味の方が感動しました。
E: そうですか。固形スープは、ほんの少し入れると、おいしいと思う方が
多いでしょう。 学生時代の調理実習の先生が一般論として、
固形スープの量は、メーカーの指示の「半分」とお話しなさいました。
A: 最初に入れた水が多過ぎたため、村上氏の本のような状態になるには
相当煮詰めなければいけなくなりました。
煮込むからと思って、レタスの水切りをしっかりしなかったのと
レタス自体からも水分が出てくるので、レタス投入後に煮込むと水気
が多くなってしまいました。
最初の水分量をかなり控えても大丈夫なようです。
E: なるほど。「ひたひた」というところがけっこう大事ですね。
蒸発量は鍋の種類にもよります。
村上氏の鍋は昔ながらの鍋で、蒸発量は大目でしょう。
が、比較的最近のふたと鍋本体とがピッタッとするステンレスクラッド
鍋(多層構造鍋)ですと、蒸発量が少ないので「水が多過ぎ」となり
やすいでしょう。
A: でも、これはとてもいいです。簡単ですしね!
レタスも、少人数では使い切れないうちに美味しくなくなってしまい
ますから、
サラダ以外にこんな利用法があるといいなと思いました。
ついつい缶詰のグリンピースも買ってしまいましたが、よく見たら
着色料使用。
なので、村上レシピには「缶詰でよい」と書かれていましたけれど
今なら冷凍食品のグリンピースの方がよいでしょうね。
E: 昔は冷凍食品などなかったので、「缶詰でもよい」としたのでしょう。
学生時代のノートにもそう書いてありました。
冷凍ですと、組織が柔らかくなっている場合が多く、その上に煮ると、
クターっとなりそうで、心配です。ただし、実際に試したわけでないので、
断定はできません。
煮る時間は短めにして、味がしみ込むように、火を止めてから
煮汁にしばらく漬けておくとよいかもしれません。
しかし、冷凍とか缶詰にすると、栄養が少し減りますから、この時期は
生を使えばおいしいし、良いですね。
下ごしらえが簡単という意味では、お薦めですね。
今時、鞘のない、中身だけ売っているグリンピースの方が、
東京のスーパー・デパート・生協では主流ですしね。
A: 汁気が多かったらジャガイモを入れてスープ状にしてもいいかも
しれないし、
臨機応変にいろんな利用ができそうで、よいヒントを
いただきました。
E: そうですね。もう全然違う料理ですが・・・。
5月29日
A: 昨日、冷凍グリンピースを使ってみました。
冷凍は1袋300gで240円でしたので、村上氏のレシピどおり260gを
使いました。
(値段的には使いやすいですよね)
そして前回失敗した「
ひたひたの水」の解釈は、
「鍋にタマネギと豆を入れてから水が具の上にかぶらない程度
(八分目くらい)」を目指しました。
レタスを入れるタイミングは「
タマネギが透明になってから」として
煮上がりのタイミングは「レタスが見えなくなる状態」。
ここで今回の発見!
コーンスターチを入れると、とろみだけではなくてグリンピースが光って
エメラルドみたいになるんですね〜!!
冷凍は、煮始めた頃には表面がシワシワな感じがして
「生には勝てない!」と思いましたが、煮ているうちにふっくらしてきて、
見た目には生のときと変わりません。
でも、食べたときの感触は、生のホコホコさを味わえませんでした。
やはり
旬の時期に生豆で作って感動してほしい。
・・・しかしながら、値段の手ごろさで「洋風惣菜」の1品となりますし、
この分量が4人分とすると、1人分の分量はかなりボリュームがあり
ます。 ご飯(又はパン)とボヌ・ファムだけで充分なくらい。
味付けは、かなり薄味を目指さないと味が濃くなってしまいます。
グリンピースの甘さを味わうために、私はコンソメ使用を薦めたく
ありません。
素直に、村上レシピでお豆を味わってほしいです。
グリーンピースのボヌ・ファムのよさは、美味しさだけではなくて
応用力ですね。
材料に無駄もありません。
タマネギ好きなら小さいサイズ1個を
使ってしまえばいいと思うし、
レタスは煮ると小さくなるので半端なら
使い切ってもOKです。
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「帝国ホテル総料理長のおいしい家庭料理(上)」を基にした
グリーンピースのボヌ・ファム千葉悦子風のレシピ(油・塩・砂糖控え目)
【材料(約3人分)】
グリンピース・・・・1カップ(120gくらい)
玉ねぎ・・・・・・・大1/4個 (80gくらい)
レタス・・・・・・・3枚(100gくらい)なければ、入れなくてもOK。
ベーコンの薄切り・・1枚(20gくらい)
このおかずをメインにしたい場合は
多めにすると良いでしょう。
バター・・・・・・・大さじ1弱(10gくらい)
砂糖・・・・・・・・小さじ1(甘めの好きな方はもう少し多く)
コーンスターチ・・・小さじ2(汁気の残り具合によって加減)
塩・・・・・・・・・小さじ1/4(あくまでも目安です。加減してください)
こしょう・・・・・・少々
【作り方】
(1)玉ねぎは1センチくらいの角切りに、ベーコンも1センチ幅くらいに切る。
レタスは5ミリ幅のせん切りにする。
(2)鍋に玉ねぎ・ベーコン・グリンピースの順に入れ、ひたひたに水をはります。
なお、<『ひたひたの水』とは、材料が煮汁から少し顔を出している状態。
煮汁は材料の重量の約70%。>と高校家庭科の副読本の一つである
「調理BOOK」に書いてあります。が、この場合70%でも多いので、
「これで大丈夫かしら?」と心配するほど少な目がよいです。
(3)バターを入れ、砂糖も加えて、ふたをして煮ます。沸騰したら弱火にします。
(4)しばらく煮たところで、レタスと塩・こしょうを加えます。
レタスはすぐ煮えますから、グリンピースがやわらかくなってから入れます。
(5)最後にコーンスターチを同量の水で溶いたものでとろみをつけ、味をみます。
クリーミーな感じが好きな方は、生クリームを仕上げに少し入れてください。
【献立のヒント】
筆者の6月のある日の夕食例です。これで完璧というわけでなく、冷蔵庫にあった
ものを使っただけの一例で、参考程度。
グリーンピースのボヌ・ファムだけで野菜が100g摂れ、他の料理にも少し野菜が
入っていて、何とか野菜の総量の目安に届いていると思います。
・白飯
・カマスの塩焼き・大根おろし
・グリーンピースのボヌ・ファム
・長ネギのさっと煮
・エノキと豆腐のみそ汁
・きゅうりの糠漬け
《第7回のおわりに》
編集委員Aさんには、頭が下がります。家族が好まないため、私がなかなか試せないうちに、生の豆と冷凍の豆とでさっそく試して、素敵な写真まで撮ってくださいました。いつも編集委員さんが励ましてくださり、この「オトナの食育」を続けることができます。「誰かに支えられる」というのは、こういうことかな?と思います。
《引用文献》
「調理BOOK」基本・応用・理論 実教出版
《参考文献等》
「帝国ホテル総料理長のおいしい家庭料理(上)」
村上信夫著 中公文庫 ビジュアル版700 (1995)
「5訂増補 食品成分表 2006」女子栄養大学出版部
「カラーグラフ食品成分表」五訂 実教出版
「調理機器総覧 電気ガス機器とつき合う」
価格帯別便利機能からメニュー提案まで
肥後温子・平野美那世編著 食品資材研究会 (1997)
●もうおわかりかと思いますが、編集委員(A)とはドラえもん=古瀬明美。
千葉さんのおかげで料理が楽しくなりました。
私と千葉さんが知り合ったのは帝国ホテルでの関東地区韮山同窓会。
一昨年までは村上シェフが優しい笑顔で登場してくださいました。
ちなみに、ボヌ・ファム(bonne femme)とは「良い妻」という意味の仏語。
多分日本で言う「おふくろの味」的な、フランス家庭料理の呼び方でしょう。
・・・にしても、「おふくろ」ではなく「妻」というあたりは、文化の違いというか
夫婦が基本!の考え方なんですね〜☆
なお、ここで使用した写真は私が撮影したものです。