オトナの食育 資料編 第13回 2008/9/10号掲載    千葉悦子(高28)

前回、資料編第12回08年8月10日号の補足
「21世紀の科学技術リテラシー像〜豊かに生きるための智〜プロジェクト 
生命科学 専門部会報告書」の薦め
・うま味のイベントに参加して

 

      
 9月に入り、東京も残暑が厳しくなりました。
☆お薦めの資料
 前回、08年6月に出ました「21世紀の科学技術リテラシー像〜豊かに生きるための智〜プロジェクト 総合報告書」Science for All Japaneseの、p.166〜p.182「食料、その量と安全性の確保」をご紹介しました。
 今回は、「専門部会報告書の中の生命科学」のお薦めです。この中の「食の確保―農耕―」p.41〜55などが、食に直接関係します。そして、前回の主な話題である「遺伝子組換え農作物」について、p.47〜p.48にコラムの形で簡潔に述べてあります。さらに、「BSE(牛海面状脳症)」についてのコラムがp.54〜p.55にあり、これもお薦めです。

☆「日本うま味調味料協会」が主催する展覧会の報告
 前回お知らせしました「日本うま味調味料協会」が主催する展覧会と「うま味体験」コーナーに8月24日、参りました。「うま味体験」では、だしの入っていない湯に味噌を塩分少なめに溶かしたものが試飲用の小さな紙コップに入っていて、まずそれを一口か二口程度飲み、その後、味の素を一振り(極小のビンなので、一振りが少なめです)程度入れて味を比較する、というのがありました。薄かった塩加減が全然気にならない程度になり、ぐっと飲みやすくなりました。「うま味」の力が非常によく分かるやり方でした。
 ご家庭でも学校でも、たいした予算や設備・時間なしにでき、かつ、味について考えるきっかけになる「おもしろい体験」の一つと思います。
 なお、「味の素」の成分は、その会社のHPによると、L‐グルタミン酸ナトリウム97.5%、5`‐リボヌクレオタイドナトリウム2.5%です。
 100年前に、池田菊苗博士が昆布だしのうま味成分であるグルタミン酸を主成分とした調味料(グルタミン酸ナトリウム)を製造する特許を取得された頃は、5`‐リボヌクレオタイドナトリウムは味の素に入っていませんでした。が、うま味の相乗効果があるので、近年は加えてあります。なお、日本うま味調味料協会のHPによると、<「リボヌクレオチドナトリウム」はイノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウムの混合物です。>とあります。
イノシン酸は鰹節、グアニル酸はしいたけの旨味です。
 なお、私の夫は1人暮らしをはじめたとき、みそ汁に「だし」が必要ということを知らずに、みそ汁を作ろうとして、味噌だけ使い「おいしくない」と気がついたそうです。
 その年代の男性なら無理もないと思いますが、現行の小学校学習指導要領では「米飯とみそ汁」は必須ですから、小学生のうちにきちんと理解し、自分で作れるようにしておくとよいです。
 近頃は食品会社やその協会のHPがしっかりしていて、たいていのことは調べられますが、イベントに出かけて直接人に会えるのは楽しいものです。
 その上、私が長年疑問でしたことについて、どのような文献を見ればよいか質問することができました。メールアドレスを伝えれば、後から文献名を知らせてくださるということで名刺交換し、翌日にはお返事を頂けました。私にとりましては、ありがたいことでした。
 歩くと体にも良いようですし、涼しくなりましたら、あまり混まないイベントに参加されると収穫が多いかもしれません。

■引用文献等
日本うま味調味料協会のHP http://www.umamikyo.gr.jp
おもな参考文献等
「21世紀の科学技術リテラシー像〜豊かに生きるための智〜プロジェクト 総合報告書」
 Science for All Japanese http://www.science-for-all.jp/
  科学技術の智プロジェクト
「食品学 食品成分と機能性」スタンダード栄養・食物シリーズ5  久保田紀久枝・森光康二郎編 
  東京化学同人(2003)
「食品加工貯蔵学」スタンダード栄養・食物シリーズ7 本間清一・村田容常編 
  東京化学同人(2004)
朝日新聞08年7月25日朝刊
 「DO科学 偉人をたどる うまみ解明 池田菊苗 五つ目の味 とらえた! 
  昆布煮出しグルタミン酸 トマト・チーズにも多く含有」
『ドキドキ発見!うま味の世界』日本うま味調味料協会
『なるほど!うま味調味料』第2版 日本うま味調味料協会(2007) 味の素株式会社のHP