ミュージカルに魅せられて 高54回 土屋春菜 さん Next |
54回卒の土屋春菜です。現在、アメリカ、ニューヨーク州立大学フレド二ア校にてミュージカルを専攻しています。 ニューヨークと聞くとマンハッタンの摩天楼、自由の女神、イエローキャブを思い浮かべると思いますが、ここはそのニューヨーク市から車で約10時間。カナダの国境に近く、ナイアガラの滝からは車で1時間ほどの片田舎です。長く厳しい冬は下田の人間には信じられないものです。韮高在学中に一人で「韮山は寒い!!」と言っていましたが、今はあんなものでは済まなくなり、ルームメートが最初に覚えた日本語が「さむい」です(いかに私が頻繁に使っていたかお分かりになるでしょう?)。そのかわり夏は湿度も低く、草花も木々も生き生きとして素晴らしい気候です。秋の紅葉も最高。ただ、夏は帰国したので、蒸し暑い夏に厳しい冬とあまりよろしくない気候を往復しましたが・・。
授業はだいたい朝8時から3時までで、一般教養はもちろん、専門教科は演技、ボイス&ムーブメント(発声とアクロバット的なこと)、声楽、ダンスなどがあります。公演がある時はその後夜6時から10時まで稽古があります。今は3月の学部公演「危険な関係」(ラクロ作)の稽古中です。役者として出演しない時には舞台装置、衣装作りが夜4時間、週2回あります。正直、好きじゃなきゃやっていられないですね。でも、韮高演劇部で鍛えられたおかげで大工作業もミシンも慣れたものですよ。韮劇に感謝!
日常生活の英語にはほとんど困りませんでしたが、最初にショックを受けたのは授業の為のモノローグ(一人芝居の台詞)を探しに図書館へ行った時のこと。台本を開いてはみたものの、どれが女性の名前か分からないのです。これにはびっくりしました。日本だったら真理さんは女性なんておよそ当たり前のことですが、その当然のことがここでは当然でないのです。それから、でてくる、でてくる。インチにポンド、それから華氏。日本の生活の基盤の単位は19年間体に染み付いていて、アメリカの単位には未だに困惑しています。 外国語で学び、演じるということは大変でもあり、面白くもあります。私には未知なことだらけで、皆と違った観点から見たりするので周りも面白いようです。英語もただ通じればいいというものから、正しい文法、発音で、というものに変わりました。当初は同じ学部の友人とは背負ってきた文化、経験が全く違い、自分には出来ないことばかりがあふれているようで、どんなにほめられても素直に受け止められない感じでした。
実は、この8月に下田市民文化会館で下田青少年フェスティバルの一環としてこちらの教授、生徒とともに「ミュージカルの歴史的発展」と題したコンサートを行うことになりました。下田東中の時の恩師、今野哲子先生ご夫妻のご尽力でこの計画が実現に向かっています。フェスティバルでは、下田青少年合唱団とフレドニア校とのジョイントコンサート、また、フレド二アの教授による声楽、ダンス(演技)のワークショップなどを行う予定でいます。教授達はニューヨークのリンカーンセンターでオペラを歌われていたり、モスクワ芸術学院の講師をされていたりと非常に多才な方々です。是非、たくさんのお客様に来て頂ける事を祈っています。 このフェスティバルは今野先生の主催する「音の会」と下田市との協賛事業ですが、市の財政難で、今のところフレドニアの参加生徒がかなりの額を負担しなければなりません。そこで、もしご協力いただける方がいらっしゃいましたら、下記の連絡先まで是非お願い致します。 まだまだフレドニアの冬は続きますが、おいしい魚と日本のお米を食べられる日々を楽しみに、この寒さを乗り切ろうと思います。
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連絡先:〒413−0502 |
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