浅草の寄席は、平日だというのに立ち見が出るほどの盛況ぶりでしたが、落語ブームや土地柄が影響しているのでしょうか?
.【鯉之助】最近は確実に寄席にお運びになる方が増えています。 また、一口に寄席といっても立地条件や営業方針によって客層や混み方が違います。 浅草は観光地で明治以来の劇場街にありますし、新宿、池袋、上野というのはベッドタウンにつながる繁華街です。池袋演芸場、上野広小路亭は一人当たりの持ち時間が 長いのでじっくり話を聞きたいという人が、新宿末広亭は雰囲気を味わいたいという 人が多いようです。 ところで、どこの寄席も昼の部のほうが込むんですがなぜでしょう?
【どらえもん】多分(笑)、暇つぶしにちょうどいい。 仕事が休みのときなんかは、昼間ずーっと寄席に居るだけでいろんな芸が 見られて飽きない。夜は、ゴハン食べてお酒飲むほうが忙しい!
寄席も、ライブハウスのようにドリンク&おつまみサービスが付加できて 座席に余裕があれば、夜に行く人も増えると思いますよね。
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あと団体のお客様が昼間に予約をされるからかもしれないですね。当日も2組入っていたようです。
都心のツアーに寄席を組み込むというのは 目から鱗でしたが、寄席ならどなたでも楽しめますし、入退場の時間も自由ですので、いいところをついてるなぁと思いました。
実際私たちも、「昼の部」の後半に入って 「夜の部」の前半に退出しましたから。幅広い年齢層の方を対象としているツアーの場合、今なら「赤坂サカス」か「寄席」を選択できたら面白そうですね。
←当日頂いたパンフレットより |
ところで、高座が始まる前に流れる出囃子(でばやし)とは何ですか?
簡単に言うと入場テーマです。 ひとりひとり自分の出囃子を持っています。ですから通な人になるとめくりが返さ れる前に次は誰が出るかわかるようになります。 「猪木ボンバイエ」がかかるとアントニオ猪木が登場するのがわかるようなものです。 ちなみに高座を降りるときの曲は“送り囃子”といいますがこれが特別に演奏される ことはほとんどありません。だいたい次の演者の出囃子がそのまま送り囃子になりま す。
当日は生のお三味線の演奏でしたね。そんなところにも贅沢な気分を味わえました。
鯉之助さんの場合は、「こいのぼり」でしたが ご自分で選ばれたのでしょうか?
前座は自分の出囃子をもつことは出来ません。“前座の上がり”という曲が3曲あ り、お囃子さんがその3曲の中のどれかを気分でチョイスして弾いてくれます。 二ツ目になるとお囃子さんの偉い人と相談して自分の出囃子を決めます。 私の場合は師匠が以前使っていた「こいのぼり」がたまたまあいていたのでそれを使 わせてもらうことになりました。
お三味線で奏でる「こいのぼり」は とても印象的でした。
今回のようにたくさんの落語家の方の高座をお聞きしていると、皆様それぞれ個性的ですが、基本的に鯉之助さんのスタイルは、正統派と言っていいですか?
う〜ん、難しい質問ですねぇ。こちらで判断するよりもお客様がどう思うかだと思 います。 例えば、かの昭和の爆笑王・林家三平師匠も時々きっちりと古典落語をやることがあ りまして、そうするとそれは正統な落語の芸になりますしね。 正統だとかそうでないとかでなく、楽しんでもらえることを意識してやっておりま
す。 "芸人に上手も下手もなかりけり行く先々の水にあわねば"とも言いますしね。
鯉之助さんは、ライブハウスでも落語をされるそうですから、お客様の反応は、場所によって違うかもしれないですね。
では、当日やった演目は?
.「犬の目」です。 人間の目玉と犬の目玉を取り替えてしまうという、大変コミック色の強い噺ですが、 実は新作ではないんです。 作られたのは明治末期で意外と古いです。 噺の冒頭で出てくる“ヘボン先生”って、あのヘボン式ローマ字のヘボンさんですよ !
ツウにならないと、演目の背景がわからないのですよね。 時代背景や人物像 です。 明治や江戸にタイムスリップできるかどうか、聞き手がどこまで理解できる かが大切 な気がしました。
NHKの連ドラでやっているような、お芝居形式でストー リーを見せてしまって 改めて落語を聴く方法は、初心者にはありがたいですよ。 そういえば!「えほん寄席」という番組がある人気らしいですよ。新シリーズがNHK 教育テレビで4/10から月〜金の朝7時25分から10分間。落語のネタをアニメで見・聞 かせるのだそうです。子供向けながら大人の私も興味津々。何事も、予習復習が大事 ということなのでしょうか??? せめて、その日の高座に何がかかるのかが事前にわかっていると 予習できるんです けどね〜! 浅草演芸ホール→ |
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残念ながら演者自身も何をやるかは当日楽屋入りするまでわかりません!前の演者
が何を演じたか書いてある"ネタ帳"を見て決めますので。高座に上がって喋り出して も決まってなかったりします(笑)
個人的には、「スペインに渡米する」というくだりで「それではアメリカ行っちゃうよ!強いて言えば渡西かな?」と突っ込みを入れたくなりました(笑)
当時の最新ネタが今では古典となっているわけですね。
「スペインに渡米」はたぶん戦後になってから入ったくすぐり(噺の中に入るギャ グ)だと思います。新たに入るくすぐりもあれば、演者がつまらないと感じたり意味
が通じなくなったくすぐりは淘汰されます。落語は新陳代謝がいいのです(笑)
私達が行った日には、色物で女性が続いて登場してビックリしましたが、女性の芸人さんって多いんですか?女性の落語家は?
音曲(俗曲や三味線漫談)、講談、奇術などは女性率が高いですね。 落語家はあまり多くありません。東京では真打が4人、二ツ目・前座で数人いる程度 です。古典落語は男性がやるように出来ているので、皆さんその辺は苦労されている ようです。朝ドラの「ちりとてちん」を見て落語家にあこがれてる女性諸君、要注意 ですよ(笑)
その「ちりとてちん」を取り上げていらした方や、曲ごま、手品、講談、ものまね等々、初心者の私たちも本当に楽しめました。
最後に鯉之助さんから一言お願いします。
テレビ・ラジオでも聴くことが出来ますが、落語は生のほうが面白いですよ!
ご協力本当にありがとうございました。色物が入ることによって、より大衆的になっている「寄席」
皆様もぜひ一度足をお運び下さい。
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都内の演芸場でどんな寄席が行われているかは、
こちらでチェックしてみて下さい。
ちなみに、浅草演芸ホールは昼夜入れ替えなしで一日居ても2500円。 一日30組の芸人が出るとして1芸=83円!(噺のネタになってました)
お弁当持込可なので、私達は東京駅で買って2階席で食べました。 でも 席が狭いので豪華なお弁当は苦しいです(笑)。
←ちょいと一杯後の三人 浅草演芸ホールの木戸口にて
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