如月です。
だしぬけに前回の補足から入らせていただきますが…。
ひとくちに寄席といってもいろいろ意味がありまして 、広義では落語会、演芸会の興行・名称を指しますし、狭義では定打ち(じょううち)といいまして、常に興行を打っている専門の小屋のことをいいます。
このコラムでは後者を“寄席”と呼ぶことにします。
反対の人!? …はい、いませんね。
それではさっそく、初心者には敷居が高いという噂の寄席に実際に入ってみましょう。
「テケツ」 英語の“tickets”が訛ったという
説あり もちろん明治以降のシステムです
入場 料は“木戸銭
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まずは通称“テケツ”と呼ばれるチケット売り場でチケットを買います。
だいたい2〜3千円ぐらいです。大人にとってはどうということもない値段ですね!歌舞伎や相撲、オペラやクラシックよりも断然安いです。
全席自由なので早めに行けば芸人のツバキが飛んでくるという最前列をゲットすることも可能。
またほとんどの場合昼の部・夜の部の入れ替えがないので、気合の入った方は9時間ほど寄席に陣取ることもできます。隅に佇んでお気に入りの芸人だけ見てすっと去るという乙なのもあり。
もちろん予約は要りません。 |
寄席には“代演”というシステムがあり、芸人の都合により出演順が入れ替わったり違う人が出演することがあります。
他の仕事が入っていたり、病気になったり(年寄りが多いので)、寝坊したり、忘れたり、夜逃げしたり、という場合です。夜逃げ以外のダマヌキ(連絡なしで休むこと)はよっぽど根性が座っていない限り、菓子折りを持って席亭(寄席の社長)に謝りに行きます。
出演変更は従業員が教えてくれるので、気になる方は入場前にチェックしておくとよいでしょう。
休む理由はプライバシー保護のため聞かないでおいて下さい。
次は入場です。
入り口にある通称“モギリ”というところに姐さんなりお兄さんなりおばさんなりおじさんなりがいます。
ここでチケットを切ってもらいプログラムを受け取ります。
後は席について開演を待つばかり。
入退場は自由ですが、途中入場の場合はお静かに。
途中退場は演芸と演芸の間の“切れ場”がお勧め、周りの人の迷惑にならず、芸人が無駄に自分の芸に疑問を持つこともないでしょう。
中には売店もあり、基本的に飲食自由で持ち込みもOK。
ただ本格的なお食事は自分が芸に集中できないだけでなく、あまりガサガサすると周囲に迷惑をかけますし、いい匂いが高座まで漂って芸人が腹を鳴らしたりしますので、開演前や休憩中がお勧めです。 |
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モギリ
文字通り“もぎる”ところから
入り口は“木戸口”といいます |
演芸は1本が15分前後
一番最初が前座さん、こちらはプログラムには載っていません。その後二ツ目、真打と続きます。
真打は何人も出ますが、前座・二ツ目は一人ずつしか出ません。早い時間は先物買いの方にオススメです。
もしその芸人がゆくゆく名人になったとしたら、「俺はあいつが前座のうちから知ってるんだぜっ」などと自慢することができます。ならなかったら諦めてください。
お客さんに出演者の説明をする
末広亭のお席亭・北村氏 |
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3本のうち1本くらいは漫才、奇術、曲芸、俗曲、紙切りといった、“色物”という芸が入ります。
表の出演者の看板の中に赤い字で書かれたものがありますが、そこから“色物”と呼ばれるようになりました。
これはその寄席の本芸以外(この場合は落語以外)の芸を意味します。
ですから関西の漫才の寄席や講釈場に行くと落語も色物なんです。
特別に名前がついている出番があります。
前座もしくはその後が“サラ口”、仲入り(休憩)前がそのまま“仲入り前”、仲入り後が休んだお客様を高座に食いつかせることから“食いつき”、そして最後は“主任”または“トリ”と呼ばれます。
これは寄席の給金を2倍もらう(とる)から“トリ”といいます。 |
亡くなった桂文治師匠(前名の伸治で有名、目玉焼きみたいな顔した人)が、「だから大トリだとか中トリなんて言葉はないんだよ!だいたいトリってのは楽屋の符牒(ふちょう)だから素人が使うもんじゃねえんだ、ちゃんと主任て言わなくちゃいけねえんだよ!」と、いつも楽屋で怒ってました。
だから紅白の司会者の方、気をつけてください。文治師匠が怒ってます。
というわけで、トリ(!)の芸を堪能したらば追い出しの太鼓を背にして寄席を出ます。
このまんま まっつぐ帰るのは勿体無いという方、寄席は必ず繁華街にあります。
(例外、国立演芸場・最高裁判所の隣)
赤提灯やネオンに引かれて一杯、というのも悪くないでしょう。
(朝には帰りましょうね)
それでは今回のおさらいを。
会場まで行く
↓
お金を払う
↓
見る
↓
飲みに行く(任意)
簡単ですね!
ご来場お待ちしております!
2007/02/10
瀧川鯉之助(菅沼忠行・高42)
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夜の街でちょいと一杯… |
其の壱
其の参
瀧川鯉之助公式HP |
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